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魅惑の大国 インドネシア ~ジェトロに聞くインドネシアとジャカルタのいま

魅惑の大国 インドネシア ~ジェトロに聞くインドネシアとジャカルタのいま

ジェトロに聞くインドネシアとジャカルタのいま
ジェトロジャカルタオフィス シニアディレクター 塚田学氏

インドネシア、特にジャカルタ周辺地域には、日本企業が押し寄せるように進出し、正確な企業数が把握できないほどの勢いである。日本企業進出の相談を受け、進出後のサポートなども行うジェトロに、経済成長の現状を聞いた。

南ジャカルタに見る経済格差

 足元にバラックが広がり、その向こうに高層のツインタワーがそびえる。ジェトロジャカルタオフィスの会議室の窓からは新興国に共通する格差の風景が広がる。ジェトロでは進出する日本企業の相談などを受けている。
「ここ南ジャカルタは、ビジネスセンターが集積し、国や州政府にとっても重要な地域と位置付けられ、治安もかなりしっかり守られていますし、電力供給も優先的に受けています。正面に見えるツインタワーは住居とオフィスタワーで、住居は日本の数千万円に相当する値段と聞いています。投資用に購入し、外国人駐在員などに貸すケースが多いですね。急増するインドネシア人の富裕層が、シンガポールやマレーシア、香港に資産を移し、ごく一部を国内の不動産などに投資しています。これがシンガポールの不動産バブルの一因ともなっている。経済格差は広がっていますね」。

旺盛な民間消費が成長の原動力

「アジア通貨危機後の1997年、インドネシアはGDP成長率マイナス13.1%とASEAN諸国の中で最も打撃を受けました。2000年になっても短期政権が続いて安定せず、2000年代前半に5~6%程度の経済成長を示したものの国際的には無視され続けてきたのです」。
 塚田氏は08年3月、リーマンショック直前にジャカルタに赴任した。当時は日本からの問い合わせも少なかったという。
「リーマンショック後でも4.5%と堅実な成長を維持したため、世界から注目され、日本からの問い合わせも急増しました。今後も6~7%程度の成長率を維持するでしょう。経済活動だけを見ると本来二桁成長の勢いがありますがインフラの未整備が成長を押し下げています。都心は常に渋滞がひどく、郊外は舗装されていないところが多い。日本の円借款により、ようやくジャカルタの南北をMRT(都市高速交通機関)で結ぶ計画が決定しましたが、順調に進んでも完成予定は2016年です。そのインフラ不足を補って余りある成長エンジンが、名目GDPの6割を占める旺盛な民間消費と豊富な資源です。近隣諸国に比べて輸出依存度が低く、これがリーマンショックの影響が小さかった要因の一つですが、資源輸出は多く、経済成長のけん引役にもなっています。輸出で稼いだ外貨が、資源産業に従事する労働者の賃金を押し上げ、資源産業の投資を促進し、と消費と投資に還元されているのです」。

毎年300万人の新規労働者
道路中央にバス専用のバスウェイがあり、歩道橋を渡ってバス停に向かう

道路中央にバス専用のバスウェイがあり、歩道橋を渡ってバス停に向かう

 直接投資の国別動向を見ると、米国、日本、オランダの投資額が2011年上半期だけで2010年通年の投資額をそれぞれ上回っている。
「日本から進出する主な業種は自動車、二輪車、建設機械などで、最近はこれらの部品業界の進出が目立ちます。日本市場の縮小と円高が進出の理由として大きいようです。製造業については外資比率の規制がなく、100%外資資本でも進出でき、工業用地さえ手配できれば会社設立に難しい問題がありません。サービス業には厳しい外資規制があります。多くの企業は、創業後1~2年経つとソフトインフラの悪さに直面します。税関、税務署、労働局などとの関係を良好に保つのは容易ではありません」。
 製造業の進出を歓迎する背景には、増加する労働人口の受け入れ先を求めるインドネシアの事情が絡む。
「毎年、卒業などで300万人弱の新規労働者が誕生します。国の計算によると、1%の経済成長で新たに創出できる雇用は40万人程度だそうです。7%の成長で新規労働者人口をギリギリ吸収できる計算です。だから雇用を生む製造業を大歓迎するのです」。


取材協力:Ministry of Tourism and Creative Economy, Republic of Indonesia、 ガルーダ・インドネシア航空
文:羽田祥子 川口奈津子(編集部)

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