今後の成長産業と期待が高まる健康・福祉・医療関連産業。今、神戸がその集積地として注目を浴びている。神戸市は、医療産業都市構想として、雇用の確保、神戸経済の活性化、市民の医療水準向上はもとより、アジア諸国の医療水準向上による国際貢献を目指している。この核を担うのが先端医療振興財団だ。同財団先端医療センター長の田中紘一氏が描く日本の医療の現状と今後の展望に迫る。

注目される神戸の「再生医療」

 阪神・淡路大震災から15年。重厚長大産業をはじめ、約7兆円の大損害を被った神戸市は、医療産業を都市の産業基盤の一つと位置付けた。ポートアイランド第2期を中心に約10年の年月をかけて整備された研究・開発拠点には、先端医療振興財団を中心に163社が集積する。
 中でも、神戸が注目される分野の代表格として「再生医療」がある。再生医療とは、機能不全に陥った臓器や、何らかの原因で欠損した組織を再生、回復させる医療である。現在、治療が困難な病気に対する治療法の開発や、移植医療におけるドナー不足、拒絶反応といった諸問題の解決策として期待されている。田中氏がセンター長を務める「先端医療センター」では、研究開発が進むこの分野において、臨床への応用を推進している。
 将来的には、ライフサイエンス分野の国際的なゲートウェイとして、世界に開かれた重要医療拠点となることも視野に入れている。

活発化するメディカルツーリズム

 一方で、グローバルに見ると、日本の置かれる現状は甘くない。基礎研究では世界に負けず劣らずとも、こと臨床への応用となると、弱さは否めない。欧米だけでなく、アジア諸国内でも、韓国、シンガポール、香港、台湾、タイ、インドといった国々の躍進が目立ち、日本は影を潜めている。田中氏は語る。

「例えば、お隣の韓国は、国家として明確に医療産業立国を目指しています。先日訪れたサムソンメディカルセンターには、インターナショナルサービスセンターという組織があり、そこにはあらゆる言語に対応できるスタッフが常駐していました。組織的に海外から患者さんを呼べる体制がすでに確立されているのです」。
 事実、その国が得意分野として掲げる医療を求め、世界中から患者が殺到する「メディカルツーリズム」の動きが活発化している。残念ながら、現在、日本はこの主要拠点には含まれていない。 「インドは心臓手術のメッカになりつつあります。医療費が安い上に、アメリカのメディカルスクールで勉強した優秀な医者が多いからです。韓国には、美容整形目的で日本からの患者も増加しています。タイにも、すでに毎年数万人の日本人が、現地で形成外科の治療を受けています」。

田中紘一氏

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