前回は温暖化発生の原因や、発生量を削減する「緩和」対策と変動する気候に合わせて生活するための「適応」対策、京都議定書の内容、中長期的目標設定など、気候変動問題の基本事項を、JICA気候変動対策室室長代理・須藤智徳氏にわかりやすくレクチャーしていただいた。今号では具体的な対策や日本の役割などについて引き続き須藤氏にお話を伺った。
text: 羽田祥子(編集部) 資料提供: JICA

「JICAの気候変動支援MAP」
※JICA気候変動支援マップを元に作表。JICA's World November 2009

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途上国の問題は日本にも波及

 途上国では排出量削減よりも経済成長を優先し適応策も十分でないため、増水などにより被害を受ける水辺にまとまって住むことが多い貧困層が真っ先に甚大な被害を受ける。そして地球全体の温室効果ガス排出量削減のためにバイオ燃料が開発されたが、途上国ではトウモロコシや大豆など彼らの食糧が輸出用と燃料用に転用され、食糧不足という新たな危機が貧困層を襲った。
 途上国だけの問題ではない。食糧不足は価格高騰を招き、食料自給率41%(カロリーベース。生産額ベースは65%。08年度農林水産省発表)と食料を輸入に頼る日本の生活にも大きな影響を与える。
 日本人の生活を守るためにも途上国の生活を守る必要がある。途上国の開発援助戦略に低炭素化を図る努力が必要だ。「日本は省エネや防災に関する高い技術を保持しています。これを積極的に援助活動に活用するのがJICAの役割のひとつです」。

日本のリーダーシップ

 昨年12月に開催されたCOP15の主要課題のひとつは途上国による温室効果ガス削減努力の促進とそのための資金支援だった。
 途上国の積極的な温室効果ガス削減を図るために日本は長年にわたってリーダーシップを発揮している。京都議定書が採択された97年には「京都イニシアティブ」を発表。08年1月のダボス会議では福田康夫首相(当時)が、経済成長と温室効果ガス削減に積極的に取り組もうとする途上国を対象として08年から5年間で累計100億ドル程度の資金供給を可能とする新たな資金メカニズムとして「クールアース・パートナーシップ」を提言した。
 さらに昨年9月、鳩山由紀夫首相は新たな途上国支援策を提唱した。「この『鳩山イニシアティブ』には4つの原則があります。①先進国が、相当の新規で追加的な官民の資金で貢献すること②途上国の排出削減について、とりわけ支援資金により実現される分について、測定可能、報告可能、検証可能(MRV)な形での、国際的な認識を得るためのルールを作ること③途上国への資金支援について予測可能な形の、革新的なメカニズムを検討し、資金使途の透明性および実効性を確保しつつ、国連の気候変動に関する枠組みの監督下で世界中にあるバイやマルチの資金についてのワンストップの情報提供やマッチングを促進する国際システムを検討すること④低炭素な技術の移転を促進するための方途について知的所有権の保護と両立する枠組みを創ること」。
 JICAは資金協力と技術協力の両面で鳩山イニシアティブの促進に力を発揮する。

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