京都議定書、温室ガス削減、チームマイナス6%など「なんとなく知っている」気候変動にかかわる言葉は増えたが、きちんと理解しているだろうか。気候変動対策を大きな使命のひとつとして掲げるJICAの気候変動対策室 須藤智徳室長代理にビジネスパーソンが知っておきたい気候変動の諸問題をレクチャーしていただいた。
text: 羽田祥子(編集部) 資料提供: JICA

世界の二酸化炭素排出量に占める主要国の排出割合と各国の一人あたりの排出量の比較(2006年)(全国地球温暖化防止活動推進センターWebより)

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京都議定書 ポスト京都 COP15

 97年に京都でCOP3が開催され、京都議定書が採択されました。その中で「08年から12年の5年間平均で、90年比、先進国全体で排出量5.2%削減」という数値目標を設定されました。日本は6%、EUは8%の削減目標です。枠組条約の締約国である米国にも7%という目標値が課せられましたが、アメリカは国内の反対で議定書を批准しませんでした。
 この目標達成のための柔軟措置として、京都メカニズムが定められました。内容は排出量取引(ETS)、クリーン開発メカニズム(CDM)、共同実施(JI)で、他国の排出削減量を自国のものとしてカウントする方法を定めたものです。他国から排出量を購入するということはコストがかかります。しかし国内で大幅に炭素排出量を削減するということは、国内の設備投資や生産量の削減による経済の停滞などにもつながりますから、これも経済コストなのです。どちらを選択するか、各国に委ねられていますが、いずれもコストを考えることが重要です。

 また、京都議定書には途上国の削減目標はありません。途上国はマクロな地球環境よりも目の前の生活向上を優先しがちです。しかし気候変動の影響を真っ先に、そして甚大な被害を受けるのは貧困層をはじめとする途上国の人々です。また、途上国の経済成長によって温室効果ガスの排出が増加すると気候変動につながります。気候変動への備え、貧困削減や経済成長と温室効果ガスの排出抑制の両立、つまり「低炭素な開発」というこれまで先進国が経験してきたこととは異なる開発が必要です。途上国にとっての気候変動問題は、環境問題というよりもむしろ「開発問題」であることも心に留めておきましょう。
 現在、13年以降の次期枠組(ポスト京都)の話し合いが進んでいます。主要なテーマのひとつは、途上国の計測・報告・検証可能な(MRV Measurable,Reportable,Verifiable)削減活動です。次期枠組はこの12月にコペンハーゲンで開催されるCOP15で話し合われ、合意の上、採択される予定です。ニュースなどでも取り上げられますから是非注目してください。

気候変動に係る国際的な取り組み【全体像】

気候変動対策室 室長代理 須藤智徳氏

クォーターインパクト、鳩山政権「マイナス25%」

 COP15に向けた日本の動きも少し知っておきたいですね。
 鳩山由紀夫首相は今年9月の国連気候変動首脳会合で演説し、20年の中期目標として90年比25%のCO2削減を表明しました。麻生太郎元首相が05年比マイナス15%という20年までの中期目標を表明していましたが、これは90年比の数字に換算するとマイナス8%となります。こう考えてみると25%という数字の大きさがわかると思います。
 日本の積極的な数値設定に影響を受け、ヨーロッパも大幅な削減を打ち出してきています。また、米国のオバマ大統領も積極的に参加する意思を表明していますので、今後、炭素市場取引価格の高騰が懸念されますね。削減目標の達成のコストが上がることを意味しますから重要なことです。その意味でも12月のCOP15は環境立国を掲げる日本にとって注目すべき会議です。

■次回は応用編として、気候変動問題における日本およびJICAの役割などを紹介します