JICAは世界各地で地球環境を守る活動を行っている。
美しい自然に囲まれた南洋諸島の小さな島国も、時代の変化とともに島国特有の問題を抱え、困難な課題に直面している。高い技術力を持つ島国である日本のごみ処理技術を活用し、南洋諸島の島々の生活に貢献するJICAの取り組みを追った。
text: 羽田祥子(編集部) 写真提供: JICA

JICA国際協力専門員 天野史郎氏

技術協力の目的は人づくり

 ごみの収集方法も改善した。「00年当時、ごみ収集は首都周辺だけで行われていました。サモアは大きく二つの島に分かれており、収集方法にも工夫が必要なのです。時間がかかりましたが、昨年からはサモア全土でごみ収集が行われるようになりました。また廃棄物処理に必要な予算も確保できるようになりました。現在、00年と比較して約3倍の予算が付いています」。  一方で島民の意識を変える活動もJICAは行っている。「ボランティアとともに生ごみをコンポスト化するなどリサイクル活動を積極的に行いました。処分場の容量には限界があります。ごみを減らす技術が島国には特に必要なのです」。
 このサモアでのJICAのプロジェクトは広域の十数カ国を対象としており、効果が現れにくいとされていた。しかし現在では、タファイガタ処分場の改善、ごみ収集全島実施、リサイクルの徹底など、大洋州のごみ処理技術導入のモデルケースとなっている。
 周辺国のスタッフを集めた研修も行った。「彼らに改善提案を作ってもらい、各自国に帰って実現するのです。そのフォローアップも重要な任務の一つでした。技術協力の目的は人づくりです。将来、彼らが独自に設計・運営できるようにすることが大切ですね」。

 サモアでは、タファイガタで学んだ研修員が技術指導を行い、隣のサバイイ島に自主財源で最終処分場を建設した。またミクロネシア連邦のコスラエ州でも、元研修員と青年海外協力隊員が草の根無償資金協力により準好気性埋立構造を導入した処分場改善を成功させている。サモアでの技術協力は本来の目的を達したと言えるだろう。今後彼らがどのように運営していくか、それをフォローしていくのが次の課題となる。
 問題もある。せっかく育てた人材が先進国などへ流出してしまうのだ。また廃棄物処理の仕事は概して人気がなく、人材を集めにくい。賽ノ河原に小石を積むような思いを抱えながらも、JICAは根気良く人材育成に取り組んでいる。

周辺地域への広がり
減量化と再資源化

 タファイガタの成功例を他の島国に普及するため、JICAは06年に「太平洋廃棄物管理プロジェクト」を開始した。サモアを拠点に、バヌアツやパラオ、フィジーなどに福岡方式の導入など様々な技術指導を行っている。
 パラオは環境資源を守ることに非常に熱心な国である。ダイビングスポットとして人気が高く、世界中から多くの観光客が訪れる。これらホテルやダイブショップが立ち並ぶ市街地のすぐ裏にごみ処分場があるのだ。「以前は訪れたダイバーがブログで『ホテルの窓からごみだらけの場所が見えた。臭かった』などと書き込みをしたこともありました」。サモアの方式に倣ってこのパラオの処分場にも福岡方式が適用され、悪臭は消え、きれいに生まれ変わった。「処分場が市街地にあったため、その変化はかなりインパクトがありました。ごみをきちんと処理しなければならないという意識が高まったようです」。
 大洋州地域の核でもあり国力のあるフィジーでは、ごみの減量化、再資源化に焦点を当てたプロジェクトを行っている。フィジーはコンポスト以外のリサイクルを行うことができる大洋州唯一の国でもある。「小さな電炉があるので、スクラップメタルを溶かす鉄のリサイクルを行っています。都市が大きいためごみの量も多く、最終処分場を改善する要望もありますが、まずは上流を改善してごみを減らすことに注力しています」。このフィジーの取り組みは日本のある自治体から多くを学んだものである。

独立行政法人 国際協力機構

Japan International Cooperation Agency(JICA)
www.jica.go.jp

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