2009年4月、日本郵船は「NYKスーパーエコシップ2030」の構想を打ち出した。
構想では、2030年を目標に1コンテナを1マイル輸送する際のCO2排出量を69%削減できるという。
「エコシップ」とは? 海運が実現する地球のサステナブルな未来とは――?
text:永野幸(アクビ・インタラクティブ)

 製品、部品、エネルギー、鉱物、世界中でやり取りされるモノ。その9割は海運、つまり船によって運ばれている。海運により排出されるCO2は年間約8.5億トン(※)。海上輸送は飛行機や自動車などに比べて環境に優しい輸送モードとはいえ、年間のCO2排出量は全世界の約2.7%もの割合を占める(※)。
 日本郵船は「NYKスーパーエコシップ2030」でどのように69%ものCO2を削減しようとしているのか。その内容を見てみよう。
※2008年6月にIMO(国際海事機関)の研究者グループが発表した中間報告による

推進に必要なエネルギーの削減

 NYKスーパーエコシップ2030では、超高張力鋼などの新素材の使用や新型の構造設計、推進プラントの軽量化などにより船体重量を2万7500トン軽量化する計画だ。
 船体の軽量化の中でも注目したいのは急速に研究が進められている「バラスト水」の削減である。バラスト水とは船の安定性を保つために用いられる海水のことだ。世界中を移動するバラスト水は年間120億トン。その中には多くの水生生物が含まれているため、気候風土の異なる地域で積載されたバラスト水を他地域で排出すると、生態系がかく乱されることなどがこれまで問題とされてきた。バラスト水を削減しても安定した航行が可能なノンバラスト船の開発により、船の軽量化と燃費向上だけでなく生物多様性の観点からも地球にやさしい船が実現する。
 その他にも海水の摩擦抵抗を軽減するナノテクノロジー分野での研究などが進められており、船体重量削減と摩擦抵抗低減によるエネルギー削減で19%のCO2排出量が削減される計画だ。

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