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パワー

ビジネスも外交も「パワー・ゲイム」。プレッシャをかける方に回れビジネスには絶対不可欠

ビジネスには絶対不可欠

 わが国では特に最近「パワー」という言葉はどちらかというとネガティヴに感じられているようだ。残念なことである。
 たしかに「パワハラ」などという言葉を聞くと、パワーは悪いことのように思われるのは、特に「みんな平等」という悪平等の教育を受けて来た面々には「よろしくない」と思われるためかもしれない。
 だがビジネスにおいて、パワーは絶対不可欠なものである。ビジネスにおいて必要なものは一に戦略、二にパワーである。

プレッシャをかける方に回れ

 戦略と戦術を混同してはならない。戦術はあくまでも戦略の下位層なのである。サムスンの携帯電話がアメリカを席巻しているが、その部品の95%は日本製なのだそうだ。「携帯電話を売る」という戦略において、日本の諸メーカは下位に置かれているのである。
 これは国家間の駆け引きにおいても、最重要事項なのである。「弱腰外交」などと批判されているようでは、国家の存立が危ぶまれる。
 プレッシャという言葉がある。大事なことは、ビジネスにおいても、プレッシャはかけられるより、かけるほうに回らなければならないということだ。
 そのためにはまずプレッシャに強い自己研鑽をしなければならない。ちょっと一言言われただけで、落ち込むようであってはならないのだ。
 不幸なことに現代社会では、モンスター・ペアレント、モンスター・ペイシェントがあちこちで見られるのだが、彼らに引っ掻き回されて、普通のペアレント、普通のペイシェントが迷惑を蒙っている。これは学校なり病院がプレッシャに弱いからに他ならない。一部の雑音のために大多数の普通の人々を犠牲にしているのである。「目には目を、歯には歯を」という宗教上の諺(ことわざ)があるが、プレッシャに押されっぱなしになっていては、ビジネスの世界では生き残ることができない。
 以前「明暗」について書いたが、常にビジネスの相手側や競合からのプレッシャに対しては、それをはねのける精神が必要なのだ。

ビジネスも外交も「パワー・ゲイム」

 残念ながら今は絶版になっているが、昭和51年に徳間書店からマイケル・コーダが書いた『パワー』という本の日本語版が発行された。この本は実に明快にビジネスにおいて「パワー」がどういうものであるか、パワーを身につけるにはどうしたら良いかが細かい戦術ととに描かれている。
 一読に値する本である。
 もちろん、西欧人を相手に書かれたものなので、日本では通用しないと切って捨てることは簡単だ。しかし、国際化が進み声を出すことが当然と考えられている国々(その中にはかなりの“ダメモト“が含まれているのだが)を相手に展開する上においは「パワー」こそが今の日本の外交、ビジネスに必要なものなのだ。「外交とは最も汚いことを最も美しい言葉で語ること」とはよく言われることであるが、ビジネスも利益を目的に行う行為であるからには、同様な要素を含んでいる。
 ビジネスも外交も「パワー・ゲイム」であることを忘れてはならない。
 今回はやや過激な言葉になったと受け取られるかもしれないが、これも一種のパワーの発揮と思い、ご寛恕いただきたい。


石原憲一(いしはら・けんいち)
1962年慶應大学卒業(英文学専攻)。日本Olivettiに入社し、ソフトウェア統括部長、子会社社長を経て、1982年GE(ゼネラルエレクトリッ ク)社にて商用ネットワーク部門を担当、電通国際情報サービス常務取締役を兼任。1999年に退職後もGEに嘱託として残り、同時に KDD、シェル・サービス、JetFormの顧問やコンサルタントとして2003年末まで勤め、現在は長野県の森の中で隠遁生活中

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