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再び見聞を広げること

再び見聞を広げること

「友達の輪」を広く持てば持つほどReferenceは増え、ビジネスの遂行がスムーズになる

複雑多岐にわたる現代のビジネス環境

 現在のビジネスを巡る環境は複雑多岐にわたっている。20世紀と比べると、考えられないくらいの知識、情報が要求される。
 これは食品関係の会社に勤めている知人から聞いた話であるが、かつては食品を仕入れて卸していればよかったのだが、最近のように食の安全や産地偽装の問題が出てくると、以前のように「商業的」ノウハウだけではビジネスの遂行ができなくなったとのことである。
 例えば、仕入れる食品に使われる農薬についての知識も必要になってきた。生産者を指定してある場合、その使用する農薬が、自社の規格を満足させるかどうかは農薬の知識なくしては判断がつかない。また、農地に散布する農薬と通路などに使う農薬とは当然異なる。
 このように仕入れ先の農家で使われる農薬などをよく理解するためには、その知識や資格(例えば毒物劇物取扱者資格)が重要になってくる。また、取引先の状況を見るためには当然財務諸表を評価することが必要になってくる。
 自分の専門領域のこと以外に要求される知識、ノウハウ、情報は広範囲に及ぶのである。

同窓会をバカにすることなかれ

 しかし、個々人の能力には限界がある。そう何でもかんでも頭に詰め込むことはできない。そこで必要になってくるのがReference(問い合わせ先)である。自分にとっては未知なこと、不得意な領域の知識が必要になることは必ず出てくる。今ではInternetでかなりのことを調べることができるが、それでも、そういうことを得意とする人を知っていることに勝ることはない。
 そういう「友達の輪」を広く持てば持つほど、ビジネスの遂行がスムーズになる。「一を聞いて十を知る」というのは昔のことわざだが、たとえ「一を聞いても一しかわからない」のであっても、それに加えて「知ったかぶりをして説明できる能力」が加われば、鬼に金棒である。こういうことを言うと、昔気質の人は顔をしかめるだろうが、現在のビジネスのテンポにおいては重要なことである。
 1960年代の哲学者マクルーハンは「メディアはメッセージである」と喝破した。今やどんなに素晴らしい内容のプレゼンテイションでも、Excelで作った表だけのものより、内容が少しくらい劣っていても、上手にできたPowerpointのものにはかなわない。
 そのために役立つのは色々な「異業種交流の会」、「趣味の会」や「同窓会」なのである。「同窓会」などというと、馬鹿にする人も多いが、こういうところで意外なノウハウや知識を持った人に出会うチャンスは結構あるものだ。
 こういう会の幹事とかまとめ役は率先して引き受け、顔を売ることは、現在のビジネスにおいては必須である。
 顔を売ることで見聞を広め、Referenceを増やすことは、ビジネスにおいても、またこの経済状況における転職においても、最大の武器なのである。


石原憲一(いしはら・けんいち)
1962年慶應大学卒業(英文学専攻)。日本Olivettiに入社し、ソフトウェア統括部長、子会社社長を経て、1982年GE(ゼネラルエレクトリッ ク)社にて商用ネットワーク部門を担当、電通国際情報サービス常務取締役を兼任。1999年に退職後もGEに嘱託として残り、同時に KDD、シェル・サービス、JetFormの顧問やコンサルタントとして2003年末まで勤め、現在は長野県の森の中で隠遁生活中

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