ホーム / Column / 提言 / 会議は踊る
会議は踊る

会議は踊る

多忙なビジネスパーソンにとって無為な会議は苦痛なもの。効率的に進めて有意義なものにしたい

会議=懐疑

 40年を越すIT業界でのビジネスマン生活を振り返って、何が一番無駄であったかを考えると、「会議」である。当時は電子手帳とかパソコンによるスケジュール管理などは思いもよらなかったので、手書きのスケジュール表が頼りであった。そのスケジュール表には「懐疑」(誤植ではない)という文字があちこちに踊っていた。
 秘書には「会議」と書かせずに、「懐疑」と書かせることが多かった。場合によっては「寄り合い」であった。初めから「何のための話し合いなのかわからない」ことが多かったからである。
 各国の代表が集まって話し合うことも多かったが、こういう時の多くは「結論を導き出すための話し合い」という側面が大きかった。だから会議なのであった。
 しかし、国内での社内会議は「だから、何なのだ?」という種類の会議が多かったことも事実である。

二通りの会議

 会議には二通りあって、「結論を導き出すための話し合い」が主目的の会議と、「上層部で決まったことを伝達するだけのためのもの」である。
 後者がかなり多いのではなかろうか? 要するに一片のメモランダムや通知だけで通達すると、トラブルが発生する可能性があるので、形の上では諮問したことにして、通達するものである。見掛け上の民主主義的通達である。
 前者の形式をとっても、実質的には後者で反論を封じるためのものが多いのではなかろうか?
 ともかく会議では、多くの人の意見を取り上げ、討議することが必要なのだ。

円滑な進行のための秘策

 会議においては「声の大きい人」の発言が主流を占めることが多い。しかし「声が大きい人」が必ずしも会議の進展に貢献するとは限らない。換言すれば、大声でわけのわからないことを滔々(とうとう)と述べることも多い。
 こういう時には進行役(議長)の役割が重要になる。
 英語には「So what?」(だから結論は何なんだ?)という慣用句がある。長々と会議を占有する人に対して効果的な質問である。
 これが日本ではなかなか言うことができない。特に発言者が進行役より上位の人だったり、先輩だったりすると困ってしまう。こういうことで困った人は多いのではなかろうか。ではどうしたらこういうシチュエイションに対処できるのであろうか。
 秘策は黒板(最近は白板)である。こうなることが予想される場合、最初から発言内容を一つひとつ黒板にサマライズすることである。そしてもっと重要なことはサマリの後に発言者の名前を書くことである。こうすると会議参加者は「誰が何を言ったか」が一目瞭然となる。そして自ずから、愚にもつかないことを長々としゃべった人の意見は等閑視されてしまう。
 こうすれば、会議の運営もスムーズにいく。私も各国の代表が集まって喧々諤々となる会議においては、この種のタクティクスを使って、結論を速めたことがあった。
 たとえ議長や進行役ではなくても、紛糾してきた時には、黒板のところへノコノコ出掛けて、発言者の内容を私なりに解釈して書き出す。こうすると、不思議に会議は進行した。
 その度胸と実行力がないのならば、おとなしく「会議は踊る」のを傍観するしかないのである。


石原憲一(いしはら・けんいち)
1962年慶應大学卒業(英文学専攻)。日本Olivettiに入社し、ソフトウェア統括部長、子会社社長を経て、1982年GE(ゼネラルエレクトリッ ク)社にて商用ネットワーク部門を担当、電通国際情報サービス常務取締役を兼任。1999年に退職後もGEに嘱託として残り、同時に KDD、シェル・サービス、JetFormの顧問やコンサルタントとして2003年末まで勤め、現在は長野県の森の中で隠遁生活中

Scroll To Top