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レファレンスのもつもう一つの意味

レファレンスのもつもう一つの意味

採用企業が要求してくる紹介状は良質なものを用意したい。そのためには良質な人間関係を日頃から築いておく必要がある

候補者のことが一目瞭然

 ヘッドハンターとコンタクトをとったことがある方はご存知だと思うが、彼らは色々な情報を持ってくる。とにかく優秀な社員を顧客企業に売り込むのが商売なので、多くの候補者との継続的なコンタクトは欠かせない。しかし、彼らとて誰でもいいからというわけにはいかず候補者を選別する必要がある。やはり優秀な人間を紹介しないと、「あのヘッドハンターの紹介してくれる候補者には、ろくな者がいない」と判断されてしまい、もう相手にしてもらえなくなってしまうからだ。
 また、採用企業側も、履歴書と面接だけではなかなか人を見抜くのは難しいもの。特に転職回数が多い人(外資系に多いのだが)には細心の注意が払われる。なぜ転職(言い換えれば離職)回数が多いのかは当然大きな判断材料となる。
 事情は色々あるだろう。業績不振、会社が倒産、上司と息が合わない、能力不足……。しかし、転職時の事情はともかく、その候補者の能力はどこで分かるのだろうか? 履歴書や職歴書だけでは分からない。それだけであれば、「作文のうまい人」が勝つからだ。 面接だろうか? 人生経験豊かな人ならば、面接やテーブルを囲むことである程度のことは判断できるだろう。
 しかし、それはあくまでも主観に基づくものであり、候補者側のタクティクスによっても左右されかねない。早い話、性格が悪くても、面接時に「猫をかぶる」ことによって克服できるだろう。
 そこで採用企業の要求してくるのが、紹介状(Reference)。あなたの人となり、能力、業績などを分かりやすく、かつ説得力を持って書いたものである。

良質な人間関係がもたらす良質な紹介状

 紹介状は誰が書いたものでもよいというわけにはいかない。企業側が要求するのは、社会的に認められた人、地位のある人、よく知られた人などが書いたものである。「あの人は社会的な地位がしっかりした人だが、私のことは嫌いなようだ」という人に頼むと藪蛇になりかねない。また文章力のしっかりした人に頼む必要がある。
 現役時代、私も多くの面接に携わってきた。新卒の学生、あるいは転職組など色々だ。そこには紹介状(新卒の場合はほとんどがゼミの先生のもの)を携えた人もいたが、その紹介状も千差万別。何を言いたいのか分からないものから「この学生は採用しないほうがよろしい」というびっくりするようなものまであった。
 以上のことから、常日頃から、人との接触は大事にしなければならない。Referenceとして、取引先の有力者、現在あるいは過去の上司、大学の先生、業界の知名人などとの接触は普段から心掛けておく必要があるのだ。
 ただし、政治家は適当ではない。彼らの言うことを信じるビジネスマンは少数派なのだから。


石原憲一(いしはら・けんいち)
1962年慶應大学卒業(英文学専攻)。日本Olivettiに入社し、ソフトウェア統括部長、子会社社長を経て、1982年GE(ゼネラルエレクトリッ ク)社にて商用ネットワーク部門を担当、電通国際情報サービス常務取締役を兼任。1999年に退職後もGEに嘱託として残り、同時に KDD、シェル・サービス、JetFormの顧問やコンサルタントとして2003年末まで勤め、現在は長野県の森の中で隠遁生活中

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