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突如、あなたの上司が中国人になったら

あなたの上司がいつ外国人になるかわからない時代。その時に備えて「国際性」に対するアレルギーを払いのけておきたい

あなたの上司がいつ外国人になるかわからない時代。その時に備えて「国際性」に対するアレルギーを払いのけておきたい

国際性に対するアレルギー

 給与は常に外資で頂いてきた身になってみると、さほど大きな問題ではないのだが、日本企業に勤めている方々には青天の霹靂かもしれない。
 家電販売店のLAOXが中国資本に買い取られたことは昨年の8月。もう記憶から薄れてしまったことである。そして今年、レナウンがわずか40億円でやはり中国資本の傘下に入ってしまった。
 こうなると、日本企業に勤めているからといって、いつあなたの上司が中国人などの外国人になってもおかしくない。そういう時に備えて「国際性」に対するアレルギーを払いのけておく必要がある。
 また逆のケースとして、最近は特に大企業において、入社2~3年の若手を海外に派遣して切磋琢磨させることが増加している。海外といっても、欧米などの先進国ではなく、開発途上国への派遣が多い。こういう場合にどう対処するかは、経験がない私にはわからない。
 しかし、どちらのケースも躊躇なく対応できる適応性の涵養は非常に重要になってくる。

ずるさを持って保身を考える

 上司が外国人になった時のことを考えてみよう。私事で恐縮だが、私の場合、ごく短い期間を除いて、上司は常に外国人であった。それを何とか切り抜けられた要因は一番には当然のことながら外国語である。そしてもう一つは「言うべきことはダメモトでも言う」という精神である。そこでは「誠意はいつか通じる」という甘っちょろい考えは全く役には立たない。沈黙は無能の証明になる。Assertiveという言葉があるが、これが大事なのである。日本的な意味での「誠意」は無益どころか有害なのである。
 一般的に外国人の管理職にとって重要なのは、自分を守ることである。業績はもちろん自分を守るために最も重要なことであるが、その業績を確保するためには、自分のやり方が一番であるという自信に満ちている。「そういうやり方は日本では通用しない」と発言することくらいリスクに満ちた行動はない。
 そのような事態は数多くある。本国での成功事例は外国でも通用すると思うことを責めることはできない。しかし、日本では通用しない方法が導入されようとする時、重要なことはその「通用しない」理由を細かに説明することである。ここでは語学力が非常に大きな役割を果たす。生半可な語学力では逆効果になる。一、二度説得してもダメな場合は、(1)辞表を提出する(2)面従腹背で従う、の二つしかない。
 日本的な誠意を持っていると、ともすれば(1)に傾くであろうが、(2)が正解であると私は信じている。これは二股かけたずるい方法である。うまくいけば「いやぁ、ボスはすごいですねぇ」とごまをするチャンスになるし、予想通りうまくいかなければ、業績が確保できないボスということで、新しいボスが送られてくるか、あなたが昇進できるかもしれない。
 こういうような「ずるさ」(誠意の正反対)を持っていないと、外国人マネジャーの下では息が切れる。その結果、神経症になったりしたら、馬鹿を見るのはあなた自身であることを忘れないでいただきたい。要はマネジャーが保身のためにあらゆることをするのであれば、あなたも保身を考えなくてはいけないのである、転職を避けたいのであるならば。


石原憲一(いしはら・けんいち)
1962年慶應大学卒業(英文学専攻)。日本Olivettiに入社し、ソフトウェア統括部長、子会社社長を経て、1982年GE(ゼネラルエレクトリッ ク)社にて商用ネットワーク部門を担当、電通国際情報サービス常務取締役を兼任。1999年に退職後もGEに嘱託として残り、同時に KDD、シェル・サービス、JetFormの顧問やコンサルタントとして2003年末まで勤め、現在は長野県の森の中で隠遁生活中

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