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派閥に加わればがんじがらめ。リスクとリターンをよく考える必要がある

派閥に加わればがんじがらめ。リスクとリターンをよく考える必要がある

時代は変わり派閥も変わった

「派閥」は、日本独特の美しいデファクト・システム終身雇用制度が薄らいで、昔ほどのインパクトはなくなっていると思われる。このご時世、派閥騒動に明け暮れている企業は間違いなく競合に負けてしまう。しかも企業への忠誠度は薄れ、職の流動性が高まっている現在、優秀なスタッフほど派閥騒動に嫌気がさして、転職していってしまうことも十分考えられるのである。
 もはやアフター・ファイヴに部長や課長が若手に対して「君、ちょっと一杯やっていかないか?」などと言って、派閥に誘う時代ではなくなった。
 給料は常に外資企業の日本支社からしかもらったことのない私は、あまり派閥に関して語る資格がないのかもしれないが、昔の同僚たちと話し合ってみると、いろいろ面白い話が聞けるので、興味がわいていた。では外資の日本支社には派閥はないかというと、これがあるのだが、それを語るとあまりにも生々しいので、別の機会にしたいと思う。

変化した派閥形成のきっかけ

 最近のようにM&Aが盛んになってくると、株主構成の変化が、新たな派閥発生の原因になる可能性は十分ある。また特に外資の日本支社などにおいては、トップが本社の指示で一夜にして交代ということも珍しいことではないから、旧社長派vs.新社長派が発生することも十分考えられる。こういう場合旧社長派は粛清されることが多い。
 また、大企業の親会社からの出向組と生え抜き型の対立ということもある。「占領軍vs.民族軍」などと揶揄されるケースだ。

リスクとリターン

 派閥間の軋轢に時間をはじめとするエネルギーを割かれるくらいばかばかしいことはないが、否応なく巻き込まれざるを得ないケースもあるだろう。その場合どう対処するか、一番簡単なのは、そんな会社に見切りをつけて、転職することだが、この未曾有の不景気の時、転職もそう簡単にはいかない。一番良いのは、洞ケ峠を決め込んで、仕事に打ち込むことだろう。筒井順慶や小早川秀秋というところだが、筒井家も小早川家も断絶になった。
 派閥に加わるには、やはり、リスクとリターンを考える必要があるだろう。情緒的なことを考えた時には、派閥はあなたにとってはマイナスの要因以外の何物でもない。理性的に考えなければならない。
 派閥を引っ張っていくくらいの覚悟があるのなら、大いにやればよろしい。だがナンバー1になると、リスクと心労は極限まで達する。ちょうどいいのは、たとえば周恩来のようにナンバー2の地位を維持することではないだろうか。これはハイリスク、ハイリターンということになるだろう。洞ケ峠を決め込むことはローリスク、ローリターンということになる。
 この派閥への対処というのは、個人差が大きい問題。しかし、根本において考えておかなければならないのは、保身とリターンのトレイド・オフということだろう。


石原憲一(いしはら・けんいち)
1962年慶應大学卒業(英文学専攻)。日本Olivettiに入社し、ソフトウェア統括部長、子会社社長を経て、1982年GE(ゼネラルエレクトリッ ク)社にて商用ネットワーク部門を担当、電通国際情報サービス常務取締役を兼任。1999年に退職後もGEに嘱託として残り、同時に KDD、シェル・サービス、JetFormの顧問やコンサルタントとして2003年末まで勤め、現在は長野県の森の中で隠遁生活中

石原憲一

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