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見聞を広めよう

見聞を広めるためには旅がいい。時間をうまく使うためにも出張を有効に使いたい

見聞を広めるためには旅がいい。時間をうまく使うためにも出張を有効に使いたい。

マルコが残した旅行記

 13世紀後半、マルコ・ポーロという人は父や叔父とともにイタリアからはるばる現在の中国まで旅をした。その際に見聞きしたことをまとめて旅行記として世に送り出した。日本では『東方見聞録』とされているが、この中で初めて我が国は「ジパング」として、西洋に知られることになったのである。
 20世紀に至り『東方見聞録』は居酒屋チェーンの名前となり、「ジパング」はピンク・レディーのヒット曲となった。

趣味を深めれば大きな武器に

 さて、本題は「どうか専門分野だけでなく、仕事に関係のない見聞も広めてください」ということだ。
 前回も書いたように、仕事を進める上で、コンタクトする人(顧客や取引先)たちは千差万別である。仕事上必要とされる専門知識やそれらに関する造詣は深くて当然である。それらが備わっていなければ話にならない。
 だが、それだけだと「専門バカ」と呼ばれることになりかねない。「技術者として徹しているからそれで良いのだ」という主張は分からないでもない。しかし、この本はエグビーのためのものである。
 その場合、専門領域を超えた何らかの、あまり好きな言葉ではないが「教養」というか「趣味を深めたもの」を持つことが大きな武器になる。それは、コンタクト先との会話において、あなたの人間としての幅を感じさせるものであり、相手の信頼を獲得するのに有利に働く。それと同時に「相手の品定め」も可能になる。

出張の有効利用で見聞を広める

 では、どのような「教養」や「趣味」が良いのか。それは自分で考えなければならない。運動に全く興味がない人に、「ゴルフ」のことを勉強しなさいと言っても無理だ。
 だが、誰でも興味を持つであろうものは「旅行」である。冒頭で述べた『東方見聞録』も旅行記であり、多くの人に膾炙(かいしゃ)した。
 どんなに偏屈で外出嫌いの人でも、故郷はある。そういった話題は、ちょっとした会話の中に出てくるので会話の糸口をつかむチャンスとなる。このチャンスをものにして会話をスムーズに運ぶようにするには、やはり旅行を多くするのが良い。「そんな金や暇がない」とにべもなく拒否反応を起こさずに。出張を利用するのである。出張のついでにあちこち回る癖をつけると、自然に見聞が広がり、コンタクト先との会話がスムーズになる。
 もちろんそれを会社の費用で賄おうなどという考えを起こしてはならない。例えば出張を週末にかけるようにすれば(例えば月曜か金曜に出張の仕事をつくる)、かなり自由に見聞を広めることができる。
 そうした見聞をブログなどで披露するようになれば、見知らぬ同好の士とのコンタクトも広まり、見聞を通しての人間の幅が広がろうというものだ。業界外の人たちとの会話ほど、エグビーの価値を高めるものはない。
 李白や芭蕉は人生は旅のようなものだと言っているが、旅がエグビーの幅と人生を広げることは間違いない。
 年末年始の休暇はいかがお過ごしでしたか? 見聞を広められたでしょうか?


石原憲一(いしはら・けんいち)
1962年慶應大学卒業(英文学専攻)。日本Olivettiに入社し、ソフトウェア統括部長、子会社社長を経て、1982年GE(ゼネラルエレクトリッ ク)社にて商用ネットワーク部門を担当、電通国際情報サービス常務取締役を兼任。1999年に退職後もGEに嘱託として残り、同時に KDD、シェル・サービス、JetFormの顧問やコンサルタントとして2003年末まで勤め、現在は長野県の森の中で隠遁生活中

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