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ブアイソー世代のための資格講座(第2回)司法書士

司法書士

仕事の幅が広がる
司法書士

「払い過ぎた利息が返ってきます」
 そんな電車内の広告ですっかりおなじみになった、司法書士という資格。
「以前は弁護士しか訴訟代理ができませんでしたが、平成15年、司法書士に簡易裁判所での訴訟代理権が付与されました。以前は本人訴訟の支援という形でしか訴訟の手助けができませんでしたが、これによって名実ともに”街の法律家“として助けてあげられるようになりました。この簡裁代理権が付与されたからこそ、”クレジット・サラ金“のような業務が本格的にできるようになったんです」(伊藤塾・企画部第三企画課・笠田佑介課長)
「”クレジット・サラ金“は、以前は返済に困っている人のために債権の交渉をして返済計画を立ててあげるとか、何とか生活できるようにしてあげるとか、そういう地味な業務でした。そこへ、平成18年に過払い金は返さなくてはいけないという最高裁判所の判決が出て、面倒な手続なしに払い過ぎたお金を取り戻せるようになったのです。そうした訴訟の報酬で司法書士も潤い、”過払い金バブル“と言われています」(司法書士、辰已法律研究所・海老澤毅専任講師)
 それだけではない。
「昔は司法書士といえば登記でしたが、仕事の幅が広くなりました。簡裁代理のほか、高齢者の方の成年後見人を務めたり。平成17年に会社法が改正されてからは、会社員の経験を活かして企業法務専門で開業する、そういう方も増えています」(前出・海老澤専任講師)
「今年の本試験では、午前の科目の中で会社法が1問増え、そのかわり民法が1問減り、実務での会社法の重要性を実感しています。例えば、事業承継のケースで、成年後見とも関わってくるのですが、個人商店を営んでいたお父さんが亡くなった、認知症が進んだ、となる前に話し合い、会社の株式を誰々に譲るという遺言書を作る手助けをしたりするのです」(前出・笠田課長)
 仕事の幅が広がった分、新規参入がしやすくなっている。
「これからの数年は、受かったばかりの人、これから勉強する人にとって、いい時期だと思います。今はオンライン申請ができるようになりましたし、携帯電話があればどこでも連絡を受けられる。自宅の一室でも開業できます。そういう資金面でも開業しやすくなりました」(前出・海老澤専任講師)

辰已法律研究所 海老澤毅専任講師

辰已法律研究所 海老澤毅専任講師

開業型の資格は
人生の選択肢を増やす

 ほかに、司法書士という資格にはどんなメリットがあるだろうか。
「人生の選択肢が増えます。私のことをお話しするのが一番わかりやすいと思うんですが、私は北海道・小樽出身です。地元で受験勉強をしてきて平成19年に司法書士試験に合格、上京して司法書士試験対策講座の企画部門のリーダーをしています。私自身が合格まで4年かかり、苦労したものですから、同じような立場の人たちの手助けをしたいと思ったのです。ただ、父も母も小樽にいますので、将来的には北海道に帰って開業するつもりです。こういう人生設計が可能なのは、司法書士の資格があるからこそ。全国の約99%の地域に司法書士がいるというデータがありまして、逆に言うと、司法書士はどこでも開業できるのです。私のように将来地元に帰りたいと考えている人も、資格を持っていればいつでも帰りたい時に帰れますが、勤め人になると、なかなか難しいでしょう」(前出・笠田課長)
「学生の時に合格した方で、就職活動の時に司法書士の資格を持っていると言わないで就職した方がいたんです。『すぐ辞めると思われるから』と言っていました。開業するまでのつなぎだと見られるんですね。実際にもそうだったりします。まず銀行に勤めて将来のお客さんをつかまえてから。あるいは将来、銀行がお客さんになるから金融のノウハウを勉強しておこう、とか。
 資格の中には就職のための資格もありますが、司法書士は最終的に開業することが目的となる、開業型の資格と言えるのではないでしょうか。もっとも最近は、合格してもすぐには開業しないのがトレンドになっているようですが」(前出・海老澤専任講師)
 ただ、試験の合格率は3%弱と、難関だ。
「よく言われるのは、試験の問題自体はそんなに難しくない、だけど、受かるのは難しい」(前出・海老澤専任講師)
「まず、量が膨大なんです。全部で11科目ありますので。当然、覚える量も膨大なので、そこが難しいと言われる原因だと思います。それから、試験対策としてやること自体は単純明快で、過去問をやってテキストに戻って、条文を読んで、の繰り返しなんですが……人間、同じことの繰り返しって、なかなかできないんですよね(笑)」(前出・笠田課長)

正確ではなくても
問題を答えられる知識

 となると、仕事をしながら勉強するのは無理だろうか。
「もちろん簡単なことではありませんが、仕事をしながら1年で合格されている方は何人もいらっしゃいます。勉強のやり方と本人の覚悟。その2つがそろえば、仕事をしながらでも合格することは可能です」(前出・笠田課長)
「たっぷり時間がある方が効率よく時間を使えるかと言ったら、意外とそうでなかったりします。時間があった分、余分な勉強をしてしまったり。ですので、すでにお勤めを持っている人は、できる限りお仕事を続けながら、忙しい中で時間を作って勉強したほうが、むしろいいんじゃないかという気がしています」(前出・海老澤専任講師)
 仕事の合間の限られた時間の中でうまく勉強するコツは、あるだろうか。
「まず、独学は非常に難しいです。試験向けに特化した学習書があまりありませんし、本から学べることと講義で聴けることには、差があると思います。本というのは間違いのないことを書かなくてはいけませんが、試験勉強としては、あまり正確ではなくても問題に答えられる知識を身につければいいのではないかと思うのです。講師を始めて今年で22年目になりますが、だんだんそう思うようになりました。
 仕事を持っている人はそういう割り切りがうまいんです。経験から、勉強のやり方の本音と建前的な部分、正攻法の勉強と点数を取るための勉強の違いがわかるのでしょう」(前出・海老澤専任講師)
 最後に講座のおすすめポイントを聞いた。
「ただ知識を1個1個、これはこうなっていますよ、と教えるだけではなく、試験を受けるための戦略、点数を取るための勉強のやり方を指導します」(前出・海老澤専任講師)
「これからの司法書士の在り方、
”街の法律家“として市民の立場に立って法律を使った手助けをするか、それともただの代書屋に終わるのか、というところまで視野に入れた講座になっています。例えば、試験では憲法は35問中3問しか出題されません。さらっと勉強すれば試験対策としては十分なのですが、司法書士として社会に出て行った時にその程度の理解でよいのかというと、決してそうではない。そこで他のスクールよりも憲法の講義の回数を多く設定しています。また、10月開講の講座では、塾長・伊藤真も憲法の講義を担当します」(前出・笠田課長)

コラム「資格マメ知識」
MOT(技術経営)

 MOT教育自体は、既存の大学院修士課程において、またノンディグリー機関でも実施しているが、注目されているのはやはり、”MBAの技術者版“としてのMOT専門職大学院だろう。
 技術経営系専門職大学院に通うと、「技術経営修士」という学位が得られる。技術経営修士となると何が得られるのか、については謎が多い。経済産業省、日本総合研究所による平成20年度産業技術調査「産学における人材の活用および交流・流動化に関する調査研究」では、MOT教育プログラム修了生に対してインタビュー調査を行なった。一般的なMBAのイメージは、MBAを取ると転職、収入アップ、というもの。一方、同調査の調査報告書によると、MOT修了後はそのまま会社に戻るケースが多く、しかも、会社での立場や処遇は以前と変わらない人が多かった。MBAの華やかな印象に比べると何ともさえない。
 だが、調査報告書によると、多くの修了生は、技術経営能力が得られ、中小企業の経営や大企業における技術開発等に役立っている、と感じている。また、「クラスメートには社長もいるので、その考え方がよく理解できた」など、様々な業種、企業から集まった者同士の交流による発想の広がり、人脈作りをメリットとして指摘する声も複数あった。今後は最先端の”異業種交流サークル“として、ぜひ注目したい。


次回は、弁護士をご紹介します。

文:渡辺麻実

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