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理解しやすいプレゼンの流れ

武藍室長補佐(武) よう、磯、ひとりか? 横空いてるかい?

磯主任(磯) あ、どうも武藍さん、ええ、どうぞどうぞ。この間は「テーマ・結論・期待反応」のアドバイス、ありがとうございました。

おお、あれね。役に立ったか?

おかげさまで、あれ以来課長にもあまり怒られずにうまくやってます。実は今、うちが最近開発した例のICチップの医療機器メーカーへの営業戦略、僕のチームが任されることになったんですよ。

へえ、それは良かったな。

まあ、これまでは家電メーカー向けだったので、いざ医療機器メーカー向けに売るとなると、技術部隊との打ち合わせが必要だったり、なかなか大変ですけどね。さっきも、来週の社内会議向けの資料を作って課長に説明したら、やり直しを食らっちゃって。

ふーん、どんな感じだったの?

張り切って大手医療機器メーカーにヒアリングをかけたり、営業攻勢をかけるため、どのくらいの人員が必要かも試算したりしたんです。それに、えーっと、医療機器メーカー向けの改良すべきところは、うちの技術力を持ってすれば、十分対応可能だってことも、ちゃんと裏を取ってあったんです。あと、韓国とか中国のライバル会社の事例を調べたり、その他色々と打ち手を考えたりしたんですよ。

ふーん。課長には何て言われたんだ?

いやあそれが、「流れが悪いから、整理し直せ」って言われちゃいました。どうやら、たくさん資料を作った結果、ごちゃごちゃしてしまったみたいなんですよ。

なるほど、それは磯らしいな。まあでも話を聞いていると、課長が「整理し直せ」って言うのも無理なさそうだな。

そう言わないでくださいよ。悩んでるんですから。

まず、磯が言いたいことはいっぱいあるんだろうけど、プレゼン内容を作る時には、聞いている人が理解しやすいように整理しなきゃダメだ。ポイントは、「事実」「考察」「提案」の順に分けることだな。

今度は「事実」「考察」「提案」ですか? うーん、もうちょっと詳しくお願いします。

最初に、議論の前提となる「事実」を示す。さっきの場合だと、大手医療機器メーカーへのヒアリング結果とか、ライバルメーカーの動向だな。これはあくまで、誰もが納得できる客観的な情報として示すことが大切だ。

はい。調べたデータとかそういうことですね。

そうだ。そして次に、そこから導いた「考察」を示す。さっきの話だと、「医療機器メーカーのニーズはこれまでの家電メーカーのニーズとは違うから、技術的にはこんな改良が必要だし、営業スタッフの工数もかかりそうだ」とか、そういうことになるんだろう、きっと。

いや、そうなんですよ。課長にもそれを言い忘れて、試算結果だけを伝えたら、激しく突っ込まれちゃって……。

だろ? 「事実」と「考察」をちゃんと分けた方がしっかり議論しやすい。そして最後に、それを受けての「提案」を示す。例えば、「医療機器メーカーに対する営業体制のオプション」とか「技術部隊と今後何をどう詰めていくべきなのか」といったことになるのかな。多くの場合、ここは案として示すわけだから、聞く方も、最初の「事実」とは違った心構えで聞ける。

なるほど。だんだんわかってきました。

それに、こうやって「事実」「考察」「提案」に分けて整理していくことで、説明しやすくなるだけじゃない。そもそもどんな情報が不足しているとか、論理が飛躍しているとか、思いつかなかった打ち手のアイデアとか、色々と漏れていた視点に気付くこともできるはずだ。

うーん、奥が深いですね。今日も勉強になりました。ありがとうございます。

いかがでしたか? 磯さんの準備したプレゼンは、個々の内容は充実していたかもしれませんが、うまく整理されていなかったようです。皆さんも、プレゼンの準備をする際には、「事実」「考察」「提案」の順で整理してみてください。そうすれば、言いたいことをうまく伝えることができると思います。

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【次回のテーマ】
議論の相手を味方にする「聞く力」

なるほど思考術---戸部克弘戸部克弘(とべ・かつひろ)
企業受験ゼミナール 講師。東京大学大学院 工学系研究科 物理工学専攻修了(工学博士)。 マッキンゼー・アンド・カンパニー・インク・ジャパンを経て、株式会社NTパートナーズ代表取締役に就任。株式会社NTパートナーズが運営する企業受験ゼミナールにて、就職活動に取り組む大学生、大学院生に対する支援、プログラム(講習会、個人面談など)を実施
http://www.kigyo-juken.com/

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