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打ち合わせのスマートな切り出し方

さて皆さん、ここは本連載の舞台、電子部品メーカーNTテクノロジーズの営業1課です。そして、あちらで考え込んでいるのが、今年主任に昇進したばかりの磯さん、本連載の主人公です。
どうやら磯さん、就業時間後にも関わらず、机の上に色々な資料を広げていて、今日も遅くまで頑張るみたいですね。あ、そんなところに、磯さんの入社当時の直属の上司、今は経営企画室で活躍中の武藍室長補佐が通りがかりました。それでは、ちょっと2人の話を聞いてみましょう……

武藍室長補佐(武) よう、磯! 最近忙しそうだな。

磯主任(磯) あ、武藍さん、どうもこんばんは。いやあ、まあ、ええ、色々と大変ですよ。

あれ、なんか疲れきってるなあ。磯らしくないぞ、どうしたんだ?

実は今うちの課で、例の新型ICチップの販売戦略を練り直しているんですが、最近、課長に怒られてばっかりなんですよ。

それは大変だな。

今日も、来週の会議に使う資料について相談しようとして、午後の会議のあとにようやく課長を捕まえたんですが、いやあ、ひどいもんでしたよ。

ほう、何があったんだ?

それが、色々とまとめかけの資料を持っていたのが運の尽きで、いきなり細かい部分の表現について色々と言われ始めて、時間がなくなってしまったんですよ。僕は、「いや課長、それはまだ途中なので、こちらについてご意見を……」と、何度も言ったんですけど、ついには、「いやダメだ、お前、こんなんじゃまずいだろ!」って怒鳴られちゃって。

はっはっは。あの課長らしいなぁ。

いやあ、笑い事じゃないですよ。それが、しばらくして分かったんですが、課長は、別の奴に頼んでいた、明後日向けの資料と勘違いしてたんですよ。僕のは来週の会議用なので、まずは方向性についてすり合わせたかっただけなんですが……。結局、見てほしいところにたどり着く前に時間がなくなっちゃって。

そっか。でも、磯は最初にそのことを課長にちゃんと伝えたのか?

え? 「課長、例の資料についてちょっとだけご意見いただきたいんですが」って言いましたよ。

それだけじゃダメだよ。課長はお前の話を聞いても、いったい何の話で、どんなコメントをしたらいいのか、分からなかったんじゃないか?

そうですかね……。でも、もともとこの仕事は、課長が僕に指示した話だから、てっきり分かっているもんだと。

いいか、磯。課長は忙しいんだから、打ち合わせの最初に、しっかりと目的をハッキリさせることが大事だ。特に、話したい『テーマ』と、現時点での『結論』、そして何をしてほしいのか……つまり『期待反応』。この3つをハッキリさせれば、課長も迷うことなく、磯の期待したように答えてくれたはずさ。

うーん、どういうことですか?

例えばこんな感じだ。まず『テーマ』を、「課長、来週の会議向けに、ひとまず私が叩き台を作ることになっていた、○○向けの営業戦略の件ですが……」という風に伝え、これまでの状況を確実に思い出してもらう。

ああ、なるほど。

それで次に今の時点での『結論』を言ってしまう。例えば、「実は、売れ筋の競合製品をざっとみたところ、当初想定していた案だと厳しく、コストとスペックの両面で技術部隊と相談した上で、再度試算する必要がありそうなんです」といった感じだな。

今の時点で報告できること、ということですね。

そうだ。そして最後に、相手にお願いすること、つまり『期待反応』をハッキリさせる。例えば、「いくつかオプションが考えられるので、具体案を詳細に作り込む前にざっくり優先順位を付けたいのですが、仮案をざっと見た上での課長のご意見をいただけませんでしょうか?」といった感じだ。

うーん、なるほど……。それは確かにうまくいきそうですね。明日から早速気をつけてみます。武藍さん、どうもありがとうございます!

いかがでしたか? 皆さんも、顧客や上司と打ち合わせをする際には、最初に「テーマ」「結論」「期待反応」の3つを明確にしてみてください。そうすれば、迷走することなく、思い通りに話を進めやすくなると思います。

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【次回のテーマ】
理解しやすいプレゼンの流れ

なるほど思考術---戸部克弘戸部克弘(とべ・かつひろ)
企業受験ゼミナール 講師。東京大学大学院 工学系研究科 物理工学専攻修了(工学博士)。 マッキンゼー・アンド・カンパニー・インク・ジャパンを経て、株式会社NTパートナーズ代表取締役に就任。株式会社NTパートナーズが運営する企業受験ゼミナールにて、就職活動に取り組む大学生、大学院生に対する支援、プログラム(講習会、個人面談など)を実施
http://www.kigyo-juken.com/

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