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【金融多論】2016年の金融経済を展望する

【金融多論】2016年の金融経済を展望する

世界中で様々な政治経済上の出来事があった2015年が終わり、また新しい年を迎える。
日本投資はチャンスとみるが、サウジアラビアなど産油国、新興国の一部、中国リスクには引き続き注意が必要だ。
2016年は一つの転換点、目的に照準を合わせ、確かな一歩を踏み出したいものである。

2016年はJapan Wayを引き続き推進

 金融市場は、米連邦準備制度(FRB)が12月に政策金利を正常化させることを織り込み始めた。永らく続いた量的緩和政策やゼロ金利政策の下でも、インフレーションは想定されたように昂進せず、実体経済にもさほど影響が顕著でなかった。経済学のテキストブックに書かれていることは学問的虚構であったのか。1バレル40ドル近辺に低下した原油価格だけでは説明がつきそうにない。欧州では12月に大型の量的な金融緩和が期待される。
 それはともかく、円安、原油などの原材料価格安、企業ガバナンスの強化、相対的に堅調な株式市場等を背景として、日本企業の業績が押しなべて好調で、年後半には株式市場に日本郵政関連の株式3銘柄が上場され、日経平均株価が12月に2万円を超すのも、現段階では時間の問題とみられる。
 円相場は、世界的な為替安競争や操作に対する牽制、金融規制の影響でダイナミックなスペックが減ったように思われる。そのため、期待したような円安にはならなかったが、機関投資家はボックス圏の動きでも収益を確保したようである。2016年の相場は米国の利上げのペースにもよるが、12月プラス来年2回が織り込まれつつあるようだ。
 安倍晋三首相も、国内では新三本の矢を放ち、外国に対しては日本をセールスするような積極的な外交を展開している。新年5月には、日本の神々を祀(まつ)る歴史的な地域に近接し風向明媚な伊勢志摩の賢島で、主要国が一堂に会す伊勢志摩サミットが開催される予定である。7月には参議院選挙である。

2016年に主要国首脳会議(サミット)が開催される三重県志摩市

2016年に主要国首脳会議(サミット)が開催される三重県志摩市

 2016年は一つの転換点である。即ち、失われたといわれる日本の20年がしっかりと身に染みつき、物事をネガティブに考えるマイナス思考から、家族ばかりでなく、自分の隣人、自分が属するチームを大切に、自己を信じて、従来の固定観念や形勢をポジティブに転換・逆転するようなマインド・セットで、競争を勝ち抜きながら、あるいは、革新的な戦略で大海原を悠々と泳ぎたいものであると考える。
 それは、ちょうど、日本ラグビーフットボール協会の皆様の永年の努力が結実し、多くの新規のファンを取り込みながら、積極的な攻めの戦略に支えられ、ワールドカップ・イングランド大会で、強豪・南アフリカを破り、その大会で3勝し、歴史の転換点を示した日本チームの活躍をイメージしていただきたい。
 前述の2016年5月のG7伊勢志摩サミット、2019年ラグビーワールドカップ開催、2020年の戦後2度目の開催となる東京オリンピックの進展、美しさや季節の移ろいを表現した日本食が国連ユネスコの無形文化遺産に登録されたこと、古都・金沢に延伸した日本が誇る新幹線ネットワーク、戦後2つ目となる国産航空機生産、世界の空を変えるかもしれない三菱リージョナル・ジェットの登場、年間2000万を目指す訪日外国人の増加、最先端ロボット、ノーベル賞を受賞した京大山中教授のiPS細胞が再生医学に応用される可能性、日本的なFinTechの進展など、日本人には嬉しい限りの「日本的な道」の認知であると考えたい。
 外国人はあまり気が付かないかもしれないが、街を走る私鉄バスの料金箱は、500円、100円、50円、10円、5円、そして1円玉とすべての硬貨を受け付け、お釣りも正確に出るのである。こんな日本人には当然なことでも、この精緻な技術ときめの細かさは、そうそう他国のバスにはなく、日本の新幹線と並ぶ正確さではないだろうか。
 TPP協定の大筋合意では、すぐに効果測定は出ないだろうが、批准に向けてさらに具体的な詳細が明らかになるであろう。8月に開催されるブラジル・リオのオリンピックでも日本チームの活躍が期待される。
 もちろん、外国企業で長年仕事をした自分の経験から、異文化の多様性、人々の自尊心に敬意を払いながらも、自分たちが活動し、生活する日本を上手に外国の人々にプレゼンテーションをしていくような心構えや努力が必要と思われる。プレゼンテーションの具体的なスキルや洗練については、BUAISOの「Point of View 〜女性経営者のグローバル視点〜」も参照いただきたい。


IMG_2390西村訓仁(Kuniyoshi Nishimura)

ニューヨーク、フランス、ドイツの国際銀行に勤務。ドイツ銀行本店、ロンドンなどでは日系企業向けファイナンスに従事。現在、国際金融、債券通貨、株式、コモディティー市場、新興国債券分析に加え、学術出版、軍事安全保障、医学、製薬、IT等のデータ分析、情報提供を行うロンドン株式市場上場の「インフォーマ」日本法人の代表取締役社長。2015年、インフォーマの日本ビジネスを統括するジャパン・カントリー・ヘッドに就任。大学院では国際政治経済学修士号を取得。

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