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【金融多論】 拡がる投資信託への投資-多様な金融市場・資産へのゲートウェー

【金融多論】 拡がる投資信託への投資-多様な金融市場・資産へのゲートウェー

本稿では、国内外の様々な金融市場の金融商品へと連なる投資信託について考えてみたい。投資信託は、既に多くの方々により投資されており、商品の種類も多く、ほぼ毎月新商品が生まれている。本年から開始されたNISA(少額投資非課税制度)を経由して、ますます個人の投資家の関心を集めている投資商品の一つで、市場規模は85兆円(純資産額)に拡がりを見せている。

プロに投資を任せる投資信託

 個人投資家は、銀行や証券会社の窓口やネットを経由して、自分の投資したい多様な本邦や外国の株式、債券などの金融商品のバスケットに、少額の資金で投資が可能である。
 株式、債券新聞や日本株式βの統計などを読みこなし、個別銘柄のニュースや価格を常時追える、時間のある個人投資家も存在する。その一方で、若いビジネスパーソンを含めて、時間が限られる潜在的な投資家も多い。そうした人々が、多様な運用メニューの中から、利回りの高いもの、安全な投資対象に投資を行うものなど、幾つかの選択肢から投資を行うファンドもある。後述するように、一般に投資先を決めるに際しては、投資や投資資産の内容についてよく分かっているアドヴァイザーの話を参考にすることである。その際、自分の投資に対する考え方、すなわち、どのくらいの期間でどの程度リスクをとり、収益を上げるかなどにより、選択する投資信託商品に違いが出てくる。投資の原則は、リスクをコントロールしながら、価格の高い資産を売り、安い資産を買いにいくという考えだが、とにかく分かりやすい商品に投資するのが良いと考える。
 投信の良さは、自分の生活設計に合わせることができる点も挙げられるだろう。例えば、安定した投資を考えて、毎月一定額(購入数ではない)を積み立てる形で投資信託に投資する商品も考えられる。繰り返しになるが、投資対象や仕組みについて分かりやすいものに投資することが最初のポイントと思われる。
 また、10年というようなライフサイクルに合わせて、リスクの高い資産から安定したものに投資資産を見直すリアロケーションなど、投資家の年齢、経験などを配慮した商品も出ている。年金のように定期的に分配金の受け取りを考えるシニアの投資家は毎月分配型も検討に値するだろう。
 なお、広範な資産に投資する投信に関わるトピックスや投資信託のデータは、弊社インフォーマ・グローバル・マーケット(株)が、毎週土曜に朝日新聞紙上に寄稿している投資信託のコラムをご覧いただきたい。

現在の金融市場環境――出口を模索する国々と緩和継続する国々

 それでは今、投資信託と関連する金融市場はどのような環境にあるのだろうか。金融緩和のトレンドが継続する国々、ゆっくりと転換を示唆する国々などと金融政策の方向に違いが見られる。新興国投資では、それぞれ異なる政治経済社会の事情、地政学リスクを中長期的に捉えることも肝要である。
 米国は量的緩和の解除を行うが、金利の上昇については、米国の雇用や住宅の伸びなどについて見方が異なり、FRB内でも意見が分かれるものの、早ければ来春にも金融政策が転換され、金利が上昇する気配である。現在、景気が良いといわれる英国も不動産バブルの兆候が見られ、引き締めに動く可能性が高い。
 背景には、超金融緩和後に予想される金融市場、システムの変調、バブルや国債・住宅ローンなどの金利上昇の動きに対して、どの程度のコストが伴うのか予見が難しいことが挙げられる。そのために、できるだけ早く、金融市場の正常化を進めたいと考える政策担当者も増えている。
 それに対して、景気上昇を伴った目標値を伴うインフレーションを志向する日本、欧州では、ECBがマイナス金利を導入、欧州の優等生といわれるドイツ経済も減速、ドイツ10年国債の金利も1%を割った。このように日本化とまで言われるようなデフレ傾向の見られる欧州などはしばらく低金利が続くと考えられる。
 4̶6月期のGDPが下落した日本では日銀による追加緩和の可能性が高まる。もちろん、いずれどの国も、時間軸に開きがあるものの、現在の超低金利下から正常化へと向かうと考えられる。長期的には、運用についてもインフレーションをヘッジするような仕組みが求められる。
 結論としては、いずれ金利が上昇するであろう世界の金融環境の下で、対応できる運用が必要だ。資産を少しでも増やしたい、インフレーションや金融市場の転換から自分の資産を防衛したい人たちには、投資をする資産クラスの多様化や組み合わせ、通貨為替の収益をベースにした運用を検討する必要があろう。


西村 訓仁(にしむら・くによし)
米国、フランスの国立銀行、ドイツ系金融機関等で主に国際金融業務、ファイナンスに従事。ロンドンなど欧州駐在では、汎欧州の金融ビジネスを経験。現在は、ロンドンに株式を上場している世界的なネットワークを有するインフォーマグループの金融市場・国際政治経済の分析会社「インフォーマ・グローバル・マーケット(株)」の代表取締役。大学院では国際政治経済学を専攻。

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