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金融緩和縮小、2014年の金融市場を考える

金融緩和縮小、2014年の金融市場を考える

干支では午(うま)年は、年後半に株式下落の年ともいわれるが、そんなジンクスを現在の勢いで吹き飛ばしたいものである。FRBが1月からの金融緩和縮小を発表した。日本経済も日本人も自信を取り戻しつつある状況で、前向きな1年と考えたい。昨年の今頃、誰が8000円台から1万6000円近辺までの日本の株価上昇を予測できたであろうか。ドル円の為替レートも103円付近を予想できたエコノミストや為替ストラジストなども大多数ではなかったと思われる。今回は2014年の金融市場を見ていく上で、重要となるポイントを幾つか考えてみる。

低金利政策維持で金融緩和トレンドは継続

 FRB(米国連邦準備制度理事会)が金融緩和を縮小した。1月から国債、MBSそれぞれを50億ドルずつ減らして市場からの買い取り額を合計750億ドルと発表した。この縮小傾向は段階的に進められていくだろう。新イエレン議長のFOMC(連邦公開市場委員会)での発言に今後も注意深く耳を傾ける必要がある。
 基本的なシナリオは、FRBによる資産買い入れ額減少ないし終了を織り込んだ金融緩和の動向、米国の金利反転の時期とその程度で、市場がどう反応するかであろう。米国の失業率6.5%とインフレーション2%に達するかが政策のポイントとなる。金融チャートの動き、先物市場での売り買いの趨勢などが方向を示唆することになる。加えて、制度的な変更、消費税増税、証券優遇税制の変更など、投資家を取り巻く金融環境の変化にも注意を向けねばならない。

国内矛盾を外に転嫁する近隣国の動き

 外的リスク要因として、日本の領空や識別圏を取り巻く中国や近隣諸国との緊張関係にも目を離せない。強制力が乏しく、実効性に欠けるといわれる国際法は、その解釈でも、それを遵守しようとする国々と、それを無視する大国との駆け引き次第では、国際問題の方に依存した、平和的な解決は机上の空論に過ぎなくなる可能性も高い。
 東シナ海では、航空機や艦船のスクランブル、にらみ合いが頻繁に起こっている。こうした、既存の秩序の変更を求める覇権国がもたらす国際紛争のリスクも、金利、為替の変動など市場リスクと共に、2014年金融市場に影響を与える要因である。
 とりわけ、習近平率いる国家安全委員会をもつ中国における地政学的なリスクは、欧米主導で引かれた既存の国際秩序(例えば防空識別圏)に対する同国の不満、国内成長の伸び悩み、チベット、新彊ウイグル自治区の民族対立、不動産市場の過熱、貧富の格差の拡大など、国内的に問題が表出する。
 一党独裁体制の中国の政治家たちは、国内問題に引き続き真摯に取り組むことはもちろんだが、その国が温存する社会構造的な問題は容易に変更できない。それ故、共通の敵を外国に求め、国民の目を海外に向けるために、過激な行動に出る動きは、新年も続くと考えられる。こうした国際情勢に懸念を抱く米国は、旧年12月のバイデン副大統領の東アジア訪問に続き、2月には、オバマ米国大統領の訪日が予定にあがっている。

米国ワシントンとケネディ駐日大使

 昨年の政府機能の一部閉鎖は記憶に新しいが、再び債務上限の問題がワシントンでは議論される。民主党オバマの医療改革に反対する共和党は、保守的右翼的な勢力と考えられるティーパーティーと相まって、オバマ政権に再チャレンジするだろう。
 2月には再び議会は紛糾することも予想され、折から医療改革のコンピュータを通じたオンライン申し込みに不具合が生じており、2年の任期を切ったオバマ政治の先行きに障害となる。しかし、共和党も前回の政府機関一時閉鎖で評判を落としたために、国民から信頼と支持回復に極端な動きには出られない。
 加えて、現状の共和党陣容と政策では、民主党優位の状況が続き、オバマ政権の後継として民主党が政権を取ることが考えられる。従って、日本の政治家のみならず、国際金融関係者もより民主党の政策・行動様式に対して理解を進め、概して共和党に偏りがちな米国人脈を修正する必要があるだろう。また、日米同盟の将来など課題も多いが、キャロライン・ケネディ駐日大使の就任で前進があるだろうか。
 オバマ大統領を「私の父以外で最初に自分にインスピレーションを与えてくれた政治家」と演説で讃えた。故ケネディ大統領の令嬢であるこの新駐日大使は、日米関係に重要な意味があり、日本の国際政治経済に対する実体的な貢献も期待したいものである。


西村訓仁(にしむら・くによし)
ニューヨーク、パリの国立銀行、フランクフルトの多国籍銀行などでさまざまな国際金融業務を経験。ロンドンでは、欧州と日本の投資家をつなぐビジネスに従事。現在、ロンドン市場に上場している国際金融情報・分析会社のインフォーマ・グローバル・マーケット・ジャパン(株)代表取締役。国際政治学修士。

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