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市民が資産形成と街や産業の発展に直接参加するJ-REIT市場

先行する米国REIT市場とJ-REITのポテンシャル

 米国のREIT市場(US-REIT)は1960年に開設され、資産譲渡益について繰り延べが可能なUPREITを創設し、1990年代には不動産不良債権問題を乗り越えながら飛躍的に成長した。2011年12月末時点で160銘柄を有する。米国はグローバルなREITシェアの約62%を占める。J-REITとUS-REITは、必ずしも同じ仕組みではなく、投資範囲、関連する税制、バランンスシート構造も異なる。
 これに対して、J-REITはアジア市場で中心的なポジションを占めるために、後発のシンガポール(S-REIT)、香港(H-REIT)市場に負けない市場づくりを考えて時価総額10兆円を目指す。外国資本参入によるREITの設立もあり、例えば、シンガポールの物流不動産会社グローバル・ロジスティックス・プロパティーズは、2013年には上場予定である。
 J-REITは世界に占めるシェアはまだ6%程度だが、低迷する日本の不動産市場と金融市場を活性化する一つの商品として期待したい。それと同時に、懸案となっている国際制度との調和、税制問題などさらなる進展を望みたい。

 金融政策面でのサポートは、アメリカのFRB(連邦準備制度理事会)が市場からMBS(住宅ローン担保証券)を購入し景気浮揚と雇用増進を図るように、一層の日本金融市場の緩和とデフレ経済の修正を意図して、日本銀行がJ-REITの発行する投資法人債、J-REIT投資口(普通株式に相当)を追加購入する予定である。実際の投下額にもよるだろうがJ-REIT市場にはプラスの要因となろう。
 J-REIT投資法人のサイドも、スポンサーとの利益相反やコンプライアンス問題に配慮しながら、一方でIPOを行い、外部借入比率をコントロールしながら、競争力の高い物件を取得する。外部に向けた成長、同時に低金利の活用と財務力、稼働率の改善など内部成長を組み合わせた戦略で成長を目指すREITに対して、今後も投資家の期待は高いだろう。


参考文献:ニッセイ基礎研究所・金融研究部門発行レポート4/2012年 ほか

西村訓仁(にしむら・くによし)
ニューヨーク、フランスの国立銀行、ドイツの多国籍銀行などで金融業務に従事。ロンドンなど欧州駐在では、国際金融業務を経験。現在はインフォーマグループの英国ロンドン市場に上場する、金融市場・国際政治経済の情報分析会社インフォーマ グローバル マーケット ジャパン株式会社の代表取締役を務める。銀行、事業法人、コンサルティング会社、研究所に向けて市場や政治経済の情報を執筆。大学院では国際政治経済学を専攻。

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