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外国人投資家が見る日本金融市場 ―他のアジア諸国との「差異」に着目した投資ポートフォリオ構築―

 EU(欧州連合)などによる90兆円のギリシャ財政危機への緊急支援策決定など、世界ではソブリン(国家)リスク問題が起きているが、日経平均が1万2000円を超えるかは外国人投資家の動向にかかっている。東証ではアローヘッドの稼動で取引スピードが一層改善された。値幅制限ルールも適用されている市場インフラのもとで外国人による取引は活発化するだろう。

キャスティング・ボードを握る外国人投資家たち

 4月の株式市場への投資家別の売買残高を東京証券取引所資料から概観すると、外国人が約3兆3650億円、個人1兆6220億円、信託銀行3695億円と外国人投資家の存在が大きい。09年以降、外国人投資家が日本株を6兆6000億と4年ぶり大幅に買い越した。また、邦銀勢を交え売買が交錯したが、外国人投資家は09年12月から10年3月までの約3兆6000億円買い越しを経て、足元では再び買い越し基調となっている。(野村証券投資部の調査資料)。国内主要3市場(東証・大証・名証)の信用取引買い残高を見ても1兆4289億円で、ネットで5760億円の買い越しとなっている。
 従って、今後、日経平均が08年9月のリーマン・ショック以前の水準1万2000円を超えるかは外国人の株式投資行動がキャスティング・ボートを握ると考えられている。大量の外貨準備を背景とした政府系ファンドの動きも注目される。
 リスク要因としては、ギリシャおよび欧州の信用不安増幅と連鎖である。世界的な国家信用リスクが拡大すれば、国々のソブリン債が格下げされ、資本フローに変化が出てくる。それは、伝統的なリスク資産である株式の投資から、本来、安全資産と考えられていた国債、預金を飛び越えて、金などの商品へ国際資本フローもシフトするだろう。また、後述する日本の不安定で決定力に欠ける政権・政治リスクも、外国人には日本売りの要因となると思われる。

外国人投資家のスタイル

 もちろん、一口に外国人投資家といっても、手法も収益率の目標も様々で、株式市場のみならず、多様な資産クラスへ分散投資を行うだろうし、またその性格も異なるだろう。例えば、日本のさらなる成長性を見守り投資してくれる投資家もいれば、日本を投機の対象にして一発屋的に徹底的に利益を絞り上げる投資家も存在するだろう。ヘッジファンドのように、オフショアから、株式のロング・ショートを行ったり、不良債権投資やリスク・アービトラージ(裁定)機会を探求する投資家もいる。
 すなわち、個々の投資家のスタイルも期待投資収益も多様であり、投資行動を決める要因の一つであるα値(期待投資収益率)も、リスク指標としてのβ値なども異なるということで、外国人投資家も様々である。


文|西村訓仁 構成|羽田祥子(編集部)

西村訓仁(にしむら・くによし)
米国・仏系国立銀行、独系などの外資系金融機関で様々な金融に従事。ドイツ銀行ロンドンでは、欧州ファイナンスなどを担当。現在はロンドン株式市場に上場しているインフォーマ・グループの金融分析会社、インフォーマ・グローバル・マーケット・ジャパン株式会社代表取締役。国際政治経済学修士号。金融を政治経済の視点からユニークに分析する

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