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2010年への希望

各国の証券取引所の値動きは絶えず流動的。日本は国際金融市場で生き残ることができるのか (出典:Bloomberg、写真はイメージ)

各国の証券取引所の値動きは絶えず流動的。日本は国際金融市場で生き残ることができるのか (出典:Bloomberg、写真はイメージ)

経済は回復基調
誇り高き挑戦者たれ

 資産デフレに見舞われた「失われた10年」から完全に抜け出せないまま、国際金融危機の津波に飲み込まれ喘いでいる日本経済である。しかし日本の社会・金融システムにそれほどの欠陥があるわけではない。昨年、日本人は政治改革と社会の公正さを求めて政権を変えた。今までのところ、690兆円という巨大なストックを抱えた国債市場も株式市場も通貨価値も暴落はしていない。依然5%を超える失業率だが、米国の半分のレベルだ。日本の繊細な工業技術力、リチウム電池など世界の最高水準と言えるし、環境対応車に代表されるように地球環境保護への貢献度も非常に高い。
 日本経済が目覚ましい発展を遂げた昭和30〜40年代、集団就職で上京し社会の厳しさに泣かされても諦めずに頑張ってきた若者や、映画『三丁目の夕日』の中で目を輝かせて東京タワーを見上げていた子供たちが築き上げてきた日本の豊かさ、現代の迷える日本人はその遺産にすがり、その利子で食いつなごうと姑息なことを期待してはいまいか。
 勤勉で我慢強い日本人のルーツ、その原点に立ち返って謙虚に現実を受け止め、一から経済を作りなおそうという意欲と姿勢が我々には必要だ。中国やインドの勢いに完全に後れを取っている今、日本独自の特性を活かしながら、グローバルな課題には協働する姿勢で、また、資源・市場確保など経済権益では挑戦者として彼らに勝負を挑む気概を持ちたい。
 さて、前置きが長くなってしまったが、具体的に何が不況克服のキーとなるのか。そのポイントをいくつか考えてみたい。

できることから問題解決を

 2009年、外国投資家は新興国に目を向け日本市場には無関心だった。しかし、新興国の買われすぎでリスク回避を考える外国人投資家、安定した企業経営の株式や不動産に割安感の見えてきた日本市場に、景気回復の兆しが見えてくれば、グローバルな投資家の動きもまた素早い。国の借金が今までの緊張感を欠いた財政政策と支出のためにGDP対比で200%となった今、政治家が適切に優先順位を決めて問題に対処していくことは不可欠である。財政政策を締めすぎると、後で述べるデフレを招いてしまい舵取りが難しいことも経済史が教えてくれる。民主党政権が昨年行った事業仕分けは、内容はともかくとして、その第一歩としては評価できると思う。
 今の日本ほど極端な数値ではないにしても、かつての借金王イタリアもベルギーも紆余曲折を経験しながら財政を立て直している。日本は「製造業の技術力など経済は一流、政治は二流」と言われてきたが、政治もこれからは二大政党による政権奪取競争により切磋琢磨していくはずだ。少しでも改善が見られれば、様々な社会矛盾が蓄積され投資リスクが高まる中国などの新興国とは異なり相対的に安定性のある日本に世界の余剰資金も目を向けるだろう。以下では、2010年に日本が直面する主要な問題について述べてみたい。


文:西村訓仁 構成:羽田祥子(編集部)

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