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インド経済について ―巨大な人口と国内市場に大きなビジネス機会をもつインド、日本文化の歴史的ルーツを持つ親日国家―

様々な分野で大きな成長力を有しているインド

様々な分野で大きな成長力を有しているインド

インドと日本の共通項近そうで遠い国

 インドは、現在ヒンドゥー教徒が80.5%を占めるが、歴史的に仏教などのインド文化が日本人の思考形成や生活習慣に影響を及ぼしたことはよく知られている。サンスクリット語の字母表と「かな」の50音図にも共通性がある。7世紀以降、遣隋使も遣唐使も漢字音写のサンスクリット経典を学んだためだ。弁財天、阿修羅など一般の日本人が信仰する神々の実に80%は「メイド・イン・インディア」の神様であるという。
 時々、辛いインドカレーも食べたくなる。東京・神保町にある有名な本格的なインドカレー店には、平日のお昼時、わざわざ日比谷のオフィス街からもレストランの巡礼者があるという。食文化に加えて、ヨガや、また笑いのリラクゼーションなどのストレス解消法も、インド文化の一端である。
 また、インドは、共産党が一党独裁支配の中国に対して民主主義国家といわれ、親日国家と考えられている。しかし、日本人と異なり、インド哲学に見られるような抽象的思考力に長け、時に敵わないほどはっきりものを言い、また法治主義国家でビジネスでもアメリカ以上の訴訟社会としても有名だ。インドで自動車販売量第1位の合弁自動車企業、マルチ・スズキもそうした法律の洗礼を乗り越えている。
 親日国家のインドに対して、日本も1991年のインド危機では経済大国としてインドに力を貸した。インド金融および外貨準備危機では、IMFや他国に先駆けて、日本政府、日本銀行、輸出入銀行(当時)などの制度金融とアジア開発銀行経由で素早く8億ドルに及ぶ援助をし、インドの国家破綻を救っている。それから約20年後の2010年1―3月期のインドは年率8.6%の成長を遂げている。

BRICsの中で、唯一人口がダイナミックに成長するインド

 一人っ子政策を推進した中国が、2025年を境にして人口が減少するのに対して、インドは人口増加が続く見通しである。2030年には高齢化する中国を抑えて、17億人と世界一の人口になるといわれる。中国は高齢化の進展も早く、2050年の65歳以上人口は日本を超えて、26%(日本の比率は20%)に達するのに対して、インドの労働人口は全人口の6割程度を維持するという国連の統計が出ている。BRICsの中で、出生率が1.3のロシアは中国以上に高齢化が進み、ブラジルも外国移民で人口減少を賄うと考えられる。このように人口動態で、インドが世界一であるばかりか、2030年にはGDP規模で37兆ドルに達すると見られ、日本を抜き、米・中・印と世界3位になると予想される。

成長の中心であるボリューム・ゾーン

 2010年1―3月期、インドのGDPは+8.6%(前年同期比)、4月の鉱工業生産指数では+17.6%を記録した。貿易収支は石油など資源輸入のために113億ドルの赤字、しかし、外貨準備は2729億ドル保有する。このインドの成長のエンジンは何か。
 新興諸国の中核を占める「ボリューム・ゾーン」といわれる、富裕層に次いで購買力を持つ中間層(インドは約2億1千万人と推定される)が拡大しつつあり前年同期比で+40%程度増の自動車販売に象徴されるように消費を盛り上げている。例えば、ジャガーを買収したタタ自動車は、日本円で30万円を切る車を販売し、このゾーンでのさらなる販売拡大を狙う。インドの高い成長率の中で、タタスティールの粗鋼生産量も400万トンに増加している。インドは、米国のITアウトソーシングで名を馳せたが、病院のベッド数や医薬品が人口と比較して不足しており、ヘルスケアの分野、また電力不足などインフラストラクチャーの整備、「ボリウッド」と呼ばれる映画産業、貧困の原因となる教育育成にもまだまだ大きな成長力を有しているといえる。


文|西村訓仁 構成|羽田祥子(編集部)

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