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フォーシーズンズホテル丸の内 東京

スモール・ラグジュアリー

東京駅隣接。ビジネスパーソンにとってこれ以上ない利便性の高い場所にフォーシーズンズホテル丸の内 東京はある。全57室とこじんまりしたホテルのコンセプトは「スモール・ラグジュアリー」。まるで外国の知人の邸宅に招かれたような、温かみのあるサービスを提供している。Wホテルニューヨークを手掛けたデザイナー、ヤブ・プッシェルバーグによる内装デザインは「コンテンポラリー・モダン」をテーマに、直線的なデザインと、色みを抑え質感にこだわった素材とで構成されている。
すべてのスタッフにカジュアルな雰囲気ともいえる温かみとゲストへの適度な距離感が感じられるところが非常に心地良い。適切なもてなしは徹底しつつ、ゲストが気兼ねなく寛げるよう、過剰なサービスがないのだ。例えばゲストにはほとんどスタッフの姿が目に入らない。スタッフに気取った感じがなく、フレンドリーだ。高級ホテルにありがちな、背筋が伸びてしゃんとするようなよそ行きの感覚がない。それでいて必要なサービスは徹底している。だからこそ心から寛げて、何度も滞在したくなる。リクエストがあれば東京駅ホームでゲストを出迎える。多くのゲストが利用するというホテルの無料サービスだ。スタッフが荷物を持ち、わずかな距離をゲストと一緒に歩きながらホテルにチェックインする。小規模だからこそできる、まるで地方の温泉宿のような温かいもてなしである。
内装デザインにも心地良さの大きな理由がある。カナダ人デザイナーから見たオリエンタルな雰囲気が全館に漂う。しかしそれはことさら強調されているわけではなく、すべてが自然に感じられる。全客室にある美しい艶のある黒い扉はピアノと全く同じ塗装だという。スモール・ラグジュアリーならではの贅沢はここにもあった。

計算し尽くされた居心地の良さ

部屋に入ると全体にバランスが取れた、落ち着いた空間が広がる。主張しすぎることのない落ち着いたデザインだが、見るほどにその良さが伝わる計算し尽くされたものだ。アイボリー、ベージュやグレーなど一見地味な色合いが、それぞれの素材感とマッチしている。すべてのリネンはエジプト綿を使用。グレーのベッドリネンが部屋全体を引き締め、落ち着かせている。グレーのリネン類はすべて特注品で、57室ならではの贅沢である。美しいアイボリーのレザーを天板とするデスクの上は物が何もなく、すっきりとしている。座ってすぐ仕事ができるようにとの配慮だ。通常はホテルの案内などが並べられ、仕事前にまず一通り片付けなければならないビジネスパーソンの手間を、ホテルは熟知していた。
同じアイボリーのレザーを使った、天蓋、リーディングランプ、ルームランプなど、随所に散りばめられた同系色で異素材の感覚が、おしゃれで心地良い。枕元にはスピーカー。ドッキングステーションにiPodをセットすれば、いつもの自分の音楽で部屋を満たすことができる。全面の窓の向こうは八重洲通り。ビジネスタイムの車が行き交い、都会の喧騒が広がっている。1枚のガラスを隔てて別世界であるこちら側との差異が不思議でもあり、心地良くも感じられる。都心の別世界。このホテルのコンセプトの一つだ。

新幹線が飛び込む部屋

多くのビジネスパーソンから「この部屋」との指定が多いというスイートルームがある。デスクが窓の正面になるように斜めにデザインされており、座ると目の前に東京駅のホーム近くの線路が広がる。目線の高さに新幹線が飛び込んでくるのだ。目を遠くに向けると、幅広い線路を挟んで東京駅前のビル街が広がっている。距離を置いて、低い位置から都心の光景を眺められる場所は非常に珍しい。電車と、都会の喧騒と、ビル街と。ダイナミックな景色は夜になるとさらにその躍動感を増す。見下ろすのではなく、目線の高さですべてを視界に入れる。東京を制したかのような感覚に陥る。ひとり静かにビジネスを考えるのに最適な場所といえそうだ。
仕事が一段落したら、卵を半分に割ったようなバスタブに浸かり、窓の外に広がる喧騒を眺めながら明日への英気を養いたい。人間工学に基づいた形のこのバスタブは、イタリアのアガペ社のものだ。アコヤ貝で覆われたクローゼットは真珠の光をまとった美しい工芸品であり、この部屋だけの特別の贅沢である。前もって自分のスーツをホテルに送り、プレスしてこのクローゼットに掛けておいてほしいとのリクエストも多いという。
ホテルの隣にBMW本社がある。双方のトップともヨーロッパ出身で意気投合したという経緯もあり、嬉しいプランが誕生した。ホテルに滞在期間中、BMWに自由に試乗できるというものだ。部屋も車種もそれぞれ2種類から選択できる。早めにチェックインしてドライブを楽しむ。そんな男性ゲストが増えているという。週末の予約は早めに抑えたほうがよさそうだ。
3~6階と低層階のため、遠くを見渡す景色はない。しかし、この躍動感溢れる景色と、滞在するほどに落ち着く居心地の良さは、計算し尽くされた格別のものだった。


フォーシーズンズホテル丸の内 東京
東京都千代田区丸の内1-11-1 パシフィックセンチュリープレイス
TEL 03-5222-7222
www.fourseasons.com/jp/marunouchi/

文:羽田祥子(編集部)

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