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コラム/Column
なるほど思考術
10 納得感のあるフィードバックの手順 (全10回)
みなさんは、善意でフィードバックをしたにも関わらず、相手から言い訳をされたり反論を受けたりして、がっかりしたことはありませんか? そんなときにも、順序立ててうまく伝えていけば、相手に納得感を与えられるかもしれません。
2011/05/25
ここ最近、磯さんは営業力強化プロジェクトのメンバーとして活躍しているみたいです。今ではすっかり若手社員の中でも期待の星となりつつあるようですね。今日は、そのプロジェクトの中間報告会があり、報告会終了後に磯さんと武藍さんの2人が話しています。少し様子を覗いてみることにしましょう。
武藍室長補佐(武) さっきはプレゼンご苦労さん。プロジェクトは随分大変みたいだけど、これからも頑張ってくれよ。
磯主任(磯) ありがとうございます。でも、とりあえず中間報告会が無事終わったので、ホッとしています。
武 そういえば、磯のプレゼンを見たのは久しぶりのことだったな。あ、そうそう、後で言ってやろうと思っていたことがあるんだけど、ちょっといいか?
磯 え……!? なんかまずかったですか?
武 いやいや、ちょっとフィードバックしておきたいってだけだから、まあ、そんなに構えなくてもいいって。
磯 あ、それならぜひよろしくお願いします。
武 うん。さっきのプレゼンの中で、磯が、営業トークの教育について説明を始めたときに、山本部長が「そもそも、営業成績が悪いのは、トークの問題じゃなくて、ちゃんと取引先に行っていないことが問題なんじゃないのか?」って発言したときのことだけどな……。
磯 あ、はい。
武 あのとき磯は、ちょっと困った顔をして、不安そうにプロジェクトリーダーの松田課長の方を振り返ったんだよな。それで、松田課長がフォローしてくれた。
磯 いやあ、あのときは困っちゃいました。
武 実はあれで、磯は少し頼りないという印象を与えてしまったんだと思う。だからその後の質問も、直接松田課長に対して向けられるようになってしまったんじゃないかな。
磯 あ、はい……えーっと。確かにあの時は、その場で答えようかなとも思ったんですよね。でも、取引先に行くことについては別チームの担当範囲だったので、どうしようかな、と思って……。
武 まあそうなんだろうけどな。でも今後は、プレゼン担当者として、自分自身が自信を持って対応する、という心構えが大切だな。
磯 はい、そうですね。
武 例えば今回なら、最初に「ええ、山本部長がおっしゃる通り、取引先に行くことは大切で、実際に別のチームでスケジュール管理について検討しています」と、相手の発言を一旦受けた後で、「ただ、本プロジェクトで、営業トークについてもかなりの改善機会があることが分かりましたので、これから詳しくご説明します」と、自分の流れに戻すことができていたらスマートだったろうな。
磯 うーん、なるほど。参考になります……。いやあ、それにしても、僕が言うのも失礼ですが、武藍さんって、こうやってフィードバックをするのが、本当に上手ですよね。
武 そうか?
磯 はい。僕が部下にフィードバックするときには、いつも反論を受けてばかりですよ。
武 そうなんだ。まあ、フィードバックする際には、最初に「これはフィードバックです」ということを明確に言うことが肝心だ。そうして相手に心の準備をさせておかないと、せっかくいいことを言っても、相手は素直に受け入れられないからな。
磯 なるほど。他にもコツはあるんですか?
武 そうだな。話していく順序も大切だ。まずは観察結果を述べる。例えば、「さっきのプレゼンで、あなたが○○したときのことだけど……」といった具合にな。ここはできるだけ、責めるような口ぶりにならないように気をつけることだ。
磯 はい。
武 そして次に、それが与えた影響を指摘する。つまり、「あなたがやったことによって、どうなったか」ということだな。
磯 なるほど、分かりました。それで?
武 そしてここで、一旦話を止める。
磯 え? 一旦止めるんですか?
武 そう、矢継ぎ早にいろいろ言われると、フィードバックを受ける側としては、ついつい耳をふさぎたくなってしまう。だから一旦、指摘したことを消化してもらうわけだ。
磯 なるほど。
武 ここでもし、相手に反論があれば、聞いてあげればいい。
磯 はい。
武 そして最後に、改善策の提案をする。ダメ出しだけでは良いフィードバックとはいえないからな。ただし、「こうすべき」と押し付けるのではなく、「例えば、こうする方法もありますよね?」というトーンで伝える方が、相手としても受け入れやすい。
磯 なるほど。えーっと……つまり、まとめると、最初に事実認識を共有して、次にそれが与えた影響について伝え、最後に改善策の提案をする、ということですね。なんだか、プレゼンの全体的な流れと似てますね。

武 その通り。基本的には似たようなものだな。まずは、お互い納得できる事実認識を共有することから始め、順に伝えていくんだ。
磯 なるほど、参考になりました。今度部下にフィードバックする際に試してみます。
武 あと、フィードバックに関してついでに言っておくと、うまく与えることだけでなく、受けることも大切だぞ。上司からだけでなく、時には部下からもフィードバックをもらうようにすれば、自分自身の成長にもつながる。
磯 へえ、なるほど、部下からフィードバックをもらうなんて、考えていませんでした。具体的に、気にすべきことってあるんでしょうか?
武 そうだな。まずは、常に「フィードバックは自分の向上のため」という前向きな態度で受け取ること。意識しておかないと、どうしても反論や言い訳をしてしまいがちだからな。
磯 そうですね。
武 また、言われたことに納得できなくても、一旦は落ち着いて、なぜそのようなフィードバックを受けたのかを考えてみる。つまり、自分としてはそのつもりがなくても、第三者からはそう見えているわけだからな。
磯 ああ、確かにそうですね。なるほど。
武 そして何より、フィードバックをくれる相手への感謝の気持ちを忘れないことだ。
磯 はい、それは大切ですね。

武 フィードバックを積極的に求め、素直に受け取っていく。それを実践することはなかなか難しいが、それができる人の方が、早く成長していくし、そうしていれば、自然と上司も部下も自然と磯の味方になってくれるだろうからな。
磯 はい。心掛けます。今日も勉強になりました。ありがとうございます。
いかがでしたか? フィードバックをする際、あるいは受ける際には、ぜひ、武藍さんのアドバイスを参考にしてみてください。さて、武藍さんと磯さんの2人でお送りしてきた「デキるあの人のなるほど思考術」は、ついに今回が最終回です。これまで、物事を分かりやすく捉えたり、自分の話をうまく相手に伝えたりするためのコツを10回にわたって紹介してきましたが、いかがでしたか? 長い間、ご愛読ありがとうございました。
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