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02 子ども乗せ自転車 (全4回)

子ども乗せ自転車

自転車は私たちの日常生活に欠かせない移動手段。子どもの幼稚園や保育園、お稽古事の送り迎えなどに自転車を使うブアイソー世代は多いはずだ。そしてまた、子どもを乗り降りさせる時に自転車が倒れたり、急ブレーキが間に合わずに、歩行者やほかの自転車、自動車とぶつかりそうになったり……そんなヒヤリ体験をしたことのあるパパ、ママもまた、多いのではないだろうか。
今回は、安全性と利便性の両立が厳しく求められる「子ども乗せ自転車」の今にフォーカスした。

デンマーク発の3人乗り自転車「トリオバイク」

デンマーク発の3人乗り自転車「トリオバイク」

代替できない移動手段

 まずはここ数年の動きをおさらいしておこう。そもそも自転車は、1人乗りが基本。2人乗りは禁止されている。このような乗車人数の制限は、道路交通法ではなく各都道府県公安委員会の規則において規定されている。公安委員会規則は各都道府県によって違いがあり、最も厳しい県でも、幼児1人との2人乗りは許されていたが、いずれにしても、09年までは、自転車に幼児用座席を2個装備して幼児2人を同乗させての3人乗りは認められていなかった。
 しかし、乗車人数のルールは現実にはほとんど守られていない状態にあり、それゆえの事故も多かった。06年、財団法人日本交通管理技術協会の「自転車に同乗する幼児の安全対策及び乗車定員に関する調査研究」では、当時一般に流通していた自転車を使い、走行安定性実験を行った結果として、「現状では安全性の観点からは(幼児)2人同乗を認めることは難しい」とされ、ルールと現実が乖離している状態を解消しようという動きが本格化した。そして07年、警察庁に設けられた部外有識者の検討懇談会において、3人乗りの問題が取り上げられ、その検討結果が報告書として公表された。
 公表後、その中の「幼児用座席に幼児を乗せる場合は1人までであることを明示すべきである」との指摘が新聞、テレビ等でたびたび取り上げられ、あちこちの子育て中の若い世代から反対の声が挙がった。それは当然。自転車は、自動車と違って、広い駐車スペースを必要とせず、維持費もそれほどかからないし、電車やバスと違って、自宅から目的地までドア・ツー・ドアで行くことができる。それに加えて、小さい子どもが2人いる家庭では、1人だけ家に置いて外出することはできないし、複数の幼稚園・保育園等に送迎せざるを得ない場合もある。つまり3人乗り自転車は、都市部に住んで2人以上の子どもを育てている夫婦にとって、他の乗り物では代替できない移動手段なのだ。
 実際、08年1月、6歳未満の幼児を持つ保護者3000人を対象に警察庁が行ったアンケート調査によると、過去1年間に自転車に子どもを同乗させた経験があると答えた人は45.1%。また、子どもを同乗させることの是非を聞いた結果では、「幼児2人同乗まで認めるべき」との回答が32.6%あった。

ヤマハ発動機の「PAS」は、PASユニットの小型軽量化やバッテリー性能の向上など、年々製品の熟成を重ねてきたが、11年にフルモデルチェンジした。高耐久バッテリーの採用や製品保証期間の延長、耐久性を高め静粛性にも優れた新開発のドライブユニットや新型フレームを採用するなど、安全性と利便性が高度なレベルで調和している。写真は「PAS Raffini」

ヤマハ発動機の「PAS」は、PASユニットの小型軽量化やバッテリー性能の向上など、年々製品の熟成を重ねてきたが、11年にフルモデルチェンジした。高耐久バッテリーの採用や製品保証期間の延長、耐久性を高め静粛性にも優れた新開発のドライブユニットや新型フレームを採用するなど、安全性と利便性が高度なレベルで調和している。写真は「PAS Raffini」

3人乗り解禁と残された問題

 このように、2人以上の小さい子どもをもつ親の切実なニーズがあること、そして、ルールを守れと強制するだけでは問題は解決しないことに気付いた警察庁は、08年、「幼児2人同乗用自転車」検討委員会を設け、「どんな自転車であれば3人乗っても安全か」を取りまとめるほか、広く議論を行った。その中で、安全性に配慮した新たな自転車の開発を行っている自転車関係団体から、幼児2人同乗用自転車の大きさを、長さ230cm、幅90cmに緩和するのが望ましい、という意見が出た。ちなみに現状では、歩道通行が可能な自転車(普通自転車)の大きさは、長さ190cm、幅60cm。これを超える自転車は車道のみを走ることになる。
 たしかにサイズの大きな幼児2人同乗用自転車(例えば、コラムで取り上げる「トリオバイク」のような)を認めれば、子どもの安全は確保できるかもしれない。ただ、日本の歩道はご存知の通り、狭い。看板や放置自転車のような障害物も、たくさんある。ビッグサイズの自転車が走れるくらいゆったりと造られた歩道はごくわずかだろうし、またそうなると、歩行者の安全もさらに検討しなければならない。という次第で、大きさの緩和については取りあえず先送りされたのである。
 そして09年、3人乗り自転車が解禁された。朗報は朗報だが、まだ問題があった。「幼児2人を同乗させても十分な強度を有すること」など厳しい要件が課されているので、通常の自転車に比べて重いのだ。そこへさらに、子どもが1人、2人と乗るのだから、重いのなんの。とくにこぎ出しは、フラフラヨタヨタしてしまう。なんとか頑張ってスピードに乗ったら乗ったで、こぎ手は「もう、こぎ出しの苦労は嫌だ。できるだけ止まらないようにしよう」と考え始める。そのためにブレーキの判断が遅れ、出合い頭の事故や、歩道での歩行者との接触事故が起こるのだ。

ニーズと時代にフィット
市場を広げる電動アシスト自転車

 そんな不幸を避けるため、ブアイソー世代には、ぜひ電動アシスト自転車を選択してほしい。電動アシスト自転車は、人のこぐ力を電動モーターがアシストする(手伝う)自転車。アシストしてくれるから、こぎ出しがうんと楽になる。1993年に世界で初めて電動アシスト自転車を開発・発売したヤマハ発動機の電動アシスト自転車「PAS(パス)」であれば、さらにこぎ出しは楽。筆者も試乗したが、まるでフワリと空飛ぶじゅうたんに乗って出発するかのようだった。
 電動アシスト自転車市場は堅調に伸長し、10年の年間総需要は約38万台(前年比約104%、社団法人自転車協会より)。しかも新規購入が多数を占めるというのだから、まだまだ成長が期待できる、今どき珍しいくらいに有望な市場だ。なぜこれほど有望なのかといえば、電動モーターは人間の動きを手伝うだけで、あくまで人間の感覚が優先、つまり、近年の、環境問題や健康に対する意識の高まりに、ちょうどよく馴染むからだろう。ちなみにユーザーは、通勤・通学層も増えているが、大半は、シルバー世代と子育て中のパパ・ママだ。

文:渡辺麻実

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