BUAISOトップページ > ビジネス > 書評 > “生命”を巡る戦い 「水」の現実を直視する『ミネラルウォーター・ショック』
ビジネス/business
書評
“生命”を巡る戦い 「水」の現実を直視する『ミネラルウォーター・ショック』
文:加藤紀子(編集部)
知っておくべき「水」のこと
生命の存続に不可欠な「水」。その水はそもそも誰のものなのか、一度でも考えたことがあっただろうか。島国に住み、世界一高い水道普及率の恩恵を受けている我々には、「水源」を巡る争いと言われてもピンと来ない。しかし世界では今、コモンズ(共有資産)であるはずの水源が、企業によって支配され始めている。
本著では、アメリカ東海岸の水源豊かな小さな町から、営利企業が膨大な水を汲み上げて荒稼ぎをしているとのエピソードから始まり、「干ばつに襲われて蛇口から水が出ないのに、企業のタンクローリーが水を積んで走っているような日がいずれ来る」と警笛を鳴らす活動家たちと、「地下水は回復する」と、学者や弁護士などあらゆるリソースを駆使して自らの無害を主張する巨大企業との戦いを追う。
そもそも我々はいつから、厳格な管理下で安全な数値をクリアした公共の水道水を敬遠し、高いお金を払ってボトルウォーターを買うようになったのか。この新しいライフスタイルが、「公共の水道から遠ざかり、もっぱらボトルウォーターを飲んでいる人々にとって、水道施設を改良するための公債の発行や水道料金の値上げに賛成する動機はほとんどない」ことにつながり、「公共の水道を疑って飲む人が減るほど、水道の状態は悪くなり、さらに多くのボトルウォーターが必要になる」と筆者は予見する。
国連は「水は基本的人権」だと言っているが、水はタダではない。では私たちは水の供給を誰に頼ろうとしているのか。企業が牛耳っても構わないとするか、公共の資源として行政によって守られるべきか。「金持ちはボトル入りの水、貧しい人々には汚れた水」という時代になってしまうのだろうか。
温暖化や人口増加も、世界の水不足に拍車をかけている。ボーダーレスな時代、地球の生態系から農業、工業、生活用水に至るまで、世界が向き合う困難は我々の生活に直結する。水を巡る問題が他人事でないことに改めて気付き、現実を直視するには充分すぎる、中立的かつ多角的視点に立った良書である。

『ミネラルウォーター・ショック――ペットボトルがもたらす水ビジネスの悪夢』BOTTLEMANIA: How Water Went On Sale and Why We Bought It by Elizabeth Royte エリザベス・ロイト 著 矢羽野薫 訳 (河出書房新社 1,600円+税)
命に欠かせない公共の資源であった水を営利企業が独占し、環境に多大な負荷をかけ安全性にも疑問が残るペットボトルに詰めて販売することは、倫理的なのだろうか、膨大な管理費がかかる水道システムを誰が守るのか、「金持ちにはボトル入りの水、貧しい人々には汚れた水」という時代がやってくるのだろうか、といった視点で現代の世界が直面している水問題に迫った一冊
エリザベス・ロイト(Elizabeth Royte)
アメリカのジャーナリスト。『ニューヨーク・タイムズ・マガジン』や『ハーパーズ』『ナショナル・ジオグラフィック』『アウトサイド』『スミソニアン』『ニューヨーカー』などに寄稿。著書に『追跡!私の「ごみ」』(日本放送出版協会)、『バクの朝風呂』(未訳)がある
自分で自分らしいスタイルを楽しむセレクトショップ SHINAZINA

-
送料無料【スマートジュエル】ホームボタン オーロラスパークリング
iPhone、iPadのホームボタンに貼って使うジュエリーシート。25粒散りばめられたスワロフスキーはとてもきらびやかで、小さいながらも存在感があります。3,100円
自分で自分らしいスタイルを楽しむセレクトショップ SHINAZINA
特集/Special
人気記事ランキング/Ranking
- 01
-
- BUAISOインタビュー
- 秋田に起きた奇跡 国際教養大学~中嶋嶺雄学長インタビュー~
- 03
-
- BUAISOインタビュー
- クロスメディア時代の広告 博報堂ケトル クリエイティブディレクター 嶋浩一郎氏
- 04
-
- BUAISOインタビュー
- ルミネ会長 花崎淑夫氏インタビュー「お客さまの期待の先を行く」
- 05
-
- 表紙の人
- 吉瀬美智子「幸せかどうか、それが基準」
- 06
-
- 表紙の人
- 原田知世「新しい扉が少しずつ開いた」
- 08
-
- 表紙の人
- 滝川クリステル「モナリザの新しい挑戦」
- 09
-
- 表紙の人
- 宮本亜門「演劇の可能性を知ってほしい」

















