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【Digital Library】『火星の人』『ロスジェネの逆襲』

2016年を充実した年にするために! 今回は「面白いだけじゃない!仕事にも効く小説」をご紹介したいと思います。

実は「課題解決法」の教科書!?
『火星の人』

 まず初めにご紹介したいのは『火星の人』(アンディ・ウィアー著/小野田和子訳/早川書房)です。2016年2月公開の映画『オデッセイ』の原作本です。
 主人公のマーク・ワトニーは火星有人探査に参加した宇宙飛行士。彼を含むクルーは、火星でのミッション中に猛烈な砂嵐に巻き込まれ、ただちにミッションを中止して、地球に帰還することを余儀なくされます。彼らが火星から離脱する寸前、マークは不幸な事故に巻き込まれ、砂嵐の中に姿を消し、彼以外のクルーは地球への帰還の途に就きます。ひとり火星に取り残されるマーク、その絶望的な状況を彼はどう生き延びるのか!? 地球からはるか彼方の火星で繰り広げられるサバイバル・ハードSFです。
 この作品、純粋にエンターテインメント作品として優れているのですが、個人的に感じたのは下手なビジネス書より仕事に効くということです。主人公・マークは、ひとり火星に取り残されるという絶望的な状況に置かれますが、冷静な分析力、ロジカルな思考プロセス、さらに持って生まれたポジティブな性格などを総動員して、それに立ち向かいます。度重なるアクシデントもなんのその、生きることをあきらめずに、ひとつずつ課題を解決していくその過程は、よくビジネス書などに書かれている「課題解決法」をなぞっていると感じました。我々が直面する日常の困難に、彼の思考プロセスはとても参考になると思います。
 エンターテインメント作品としてハラハラドキドキさせてくれる上、仕事にも効くなんて、とても素敵な作品です。

『火星の人』 火星を離脱する寸前、折れたアンテナがクルーのマーク・ワトニーを直撃、彼は砂嵐のなかへと姿を消した。ところが——。奇跡的にマークは生きていた!? 不毛の赤い惑星に一人残された彼は限られた物資、自らの知識を駆使して生き延びていく。

『火星の人』
火星を離脱する寸前、折れたアンテナがクルーのマーク・ワトニーを直撃、彼は砂嵐のなかへと姿を消した。ところが——。奇跡的にマークは生きていた!? 不毛の赤い惑星に一人残された彼は限られた物資、自らの知識を駆使して生き延びていく。

『ロスジェネの逆襲』 人事が怖くてサラリーマンが務まるか!「半沢直樹」シリーズ第3弾は、バブル世代の主人公が飛ばされた証券子会社が舞台。親会社から受けた嫌がらせや人事での圧力は、知恵と勇気で倍返し。ロスジェネ世代の部下とともに、周囲をあっと言わせる秘策に出る。

『ロスジェネの逆襲』
人事が怖くてサラリーマンが務まるか!「半沢直樹」シリーズ第3弾は、バブル世代の主人公が飛ばされた証券子会社が舞台。親会社から受けた嫌がらせや人事での圧力は、知恵と勇気で倍返し。ロスジェネ世代の部下とともに、周囲をあっと言わせる秘策に出る。

ロスジェネ世代は必読
『ロスジェネの逆襲』

 次にご紹介したいのが『ロスジェネの逆襲』(池井戸潤/ダイヤモンド社)です。「倍返しだ!」の決め台詞で社会現象にまでなった半沢直樹シリーズの作品です。
 この作品では、銀行員である主人公の半沢直樹は、銀行から系列の証券会社に出向になっています。ロスジェネ世代(バブル崩壊後に社会に出た“失われた”世代)の部下とともに、知恵と勇気で、親会社の圧力に立ち向かう、痛快な企業エンターテインメント作品です。
 半沢直樹シリーズの魅力は、主人公の半沢直樹が、組織における様々な理不尽に対し、正論で立ち向かい、それらをぶった切っていくところです。程度の差はあれど、どんな組織にも理不尽はあるわけで、組織に属する人ならば、快哉を叫ばずにはいられないシリーズであります。
『ロスジェネの逆襲』も他作品と同じく、存分に爽快な思いをさせてくれる作品なのですが、それに加え、「働く」ということについて考えさせてくれるという点が、際立った魅力になっています。
 作品中、組織内で腐りかけていたロスジェネ世代のひとりが、半沢直樹とともに理不尽に立ち向かい、仕事人として復活していく過程は、同じロスジェネ世代として、感じ入る部分が多く、仕事に対する姿勢や、考え方をあらためる機会を与えてくれました。面白いだけじゃない、仕事にも効く、深い作品です。もちろん、バブル世代の方にも、それ以外の世代の方にも、おススメです。
 さて今回は、「面白いだけじゃない!仕事にも効く小説」ということで2作品ご紹介いたしました。年初に読むには最適な作品です。
 まだまだ寒い日が続きますが、どうぞご自愛くださいませ。

おすすめ作品

下町ロケット2 ガウディ計画

池井戸潤(著)/小学館
その部品があるから救われる命がある。ロケットから人体へ——。佃製作所の新たな挑戦!!日本中に夢と希望と勇気をもたらし、直木賞も受賞した前作から5年。遂に待望の続編登場!

若い読者のための短編小説案内

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「小説って、こんな風に面白く読めるんだ!」。村上春樹が小説家としての視点から、自らの創作の秘訣も明かしつつ、吉行淳之介、安岡章太郎、丸谷才一といった戦後の日本を代表する作家六人の短編小説を読み解いた“私的な読書案内”。

アンゴルモア 元寇合戦記(1)

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中世ヨーロッパを席巻し、恐怖の大王=アンゴルモアの語源との説もあるモンゴル軍。1274年、彼らは遂に日本にやって来た! 博多への針路に浮かぶ対馬。流人である鎌倉武士・朽井迅三郎は、ここで元軍と対峙する!


maeda (2)前田国敏(まえだ・くにとし)

情報サイト/情報誌を運営発行する会社で商品企画を経験し、2012年にソニーマーケティング株式会社に入社。同年5月から、電子書籍ストア“Reader Store”の店長として、サービスを運営する

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