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【Digital Library】『牛家』『闇の声』

夏も真っ盛りですが、いかがお過ごしでしょうか? このコーナーでは、毎年夏にホラーを紹介していますが、今年は「トラウマレベルにおぞましいホラー」2作品を紹介しようと思います。

「ゴミ屋敷にはなんでもあるんだよ」『牛家』

 まず最初にご紹介したいのが『牛家』(岩城裕明/KADOKAWA/角川ホラー文庫)。第21回日本ホラー小説大賞の佳作を受賞した作品です。
 主人公は、あるゴミ屋敷の清掃をすることになった特殊清掃員。与えられた期間は2日間。最初はテキパキとゴミを片付けていくのですが、何かがおかしい……? 畳み掛けるように不条理でおぞましい出来事が起こり、主人公はゴミ屋敷の迷宮に迷い込みます……。
 端的に言えば、非常に“グロい”作品です。人によってはまさにトラウマレベルのおぞましさなので注意が必要ですが、それらが妙に読みやすい、テンポの良い文体で書かれているので、作品世界にぐいぐいと引き込まれます。ふと気が付いた時には、読者も作品世界の迷宮に迷い込んでいることでしょう。
 不条理ホラー特有の、突き抜けたところにあるユーモアを、この作品にも感じました。本当におぞましく、目を背けたくなるほどなのになぜか思わず笑いが込み上げる……。そんな楽しみ方ができる作品だと思います。

『牛家』 あるゴミ屋敷の清掃をすることになった特殊清掃員。期間は2日間。作業は順調に進んでいたが……いてはいけないもの、片付けられない部屋、様相を変え続ける内装……これは現実なのか、それとも……!?

『牛家』
あるゴミ屋敷の清掃をすることになった特殊清掃員。期間は2日間。作業は順調に進んでいたが……いてはいけないもの、片付けられない部屋、様相を変え続ける内装……これは現実なのか、それとも……!?

『闇の声』 恐怖の裏に人間の哀しみがある。恐怖の裏に生きるおかしさがある。ホラー、ナンセンス、シュール——恐怖の名手が放つ新感覚のホラー連作!恐怖があなたを追いかける。

『闇の声』
恐怖の裏に人間の哀しみがある。恐怖の裏に生きるおかしさがある。ホラー、ナンセンス、シュール——恐怖の名手が放つ新感覚のホラー連作!恐怖があなたを追いかける。

ホラー漫画の鬼才・伊藤潤二の世界『闇の声』

 次にご紹介したいのは、『富江シリーズ』『うずまき』など、数々の名作ホラーを生み出した、鬼才・伊藤潤二が描く『闇の声』(伊藤潤二/朝日新聞出版)です。
 不条理さ、奇想天外さ、おぞましさ、救いのなさなど、伊藤潤二作品の魅力がぎゅっ!と詰まった短編集です。
 作品群の中で、特に読んでいただきたいのが、油まみれの家に住む家族の物語『グリセリド』です。この物語の持つ生理的な気持ち悪さは、漫画史上でもトップレベルであることは間違いなしで、まさにトラウマレベルにおぞましい作品であるといえます。本当に強烈で、最初に読んだときは少し後悔しました……。しかし、不思議な魅力がある作品で、何度も何度も読み返したくなる、そんな作品なのです……。
 そうなると、すでに伊藤潤二の世界にはまったも同然で、次々と他作品も読み漁ってしまいます。どうしてこんな物語を思いつくのでしょう? 著者の頭の中身をのぞいてみたくなる、そんな気持ちにさせる作品たちです。

 さて、「トラウマレベルにおぞましいホラー」ということで2作品をご紹介しました。これらの作品は、強烈にはまる人と、まったく受け付けない人で、はっきりと分かれる作品だと思います。あまりホラーに耐性のない方は、少しずつお試しいただくことをおススメします……。

おすすめ作品

黒い家

貴志祐介(著)/KADOKAWA/角川書店
若槻慎二は、生命保険会社の京都支社で保険金の支払い査定に忙殺されていた。ある日、顧客の家に呼び出され、期せずして子供の首吊り死体の第一発見者になってしまう。ほどなく死亡保険金が請求されるが、顧客の不審な態度から他殺を確信していた若槻は、独自調査に乗り出す。信じられない悪夢が待ち受けていることも知らずに……。

宮部みゆきの江戸怪談散歩

宮部みゆき(編集責任)/KADOKAWA/中経出版/新人物文庫
人の業がなせる、恐ろしくも切ない怪談話の語り部・宮部みゆき。稀代のストーリーテラーが織りなす物語には、どんな思いがあったのか。『泣き童子』が話題の「三島屋変調百物語」シリーズをはじめ、物語の舞台を歩きながらその魅力を探る異色の怪談散策!

ホーンテッド・キャンパス

櫛木理宇(著)/KADOKAWA/角川書店/角川ホラー文庫
八神森司は、幽霊なんて見たくもないのに、「視えてしまう」体質の大学生。片想いの美少女こよみのために、いやいやながらオカルト研究会に入ることに。ある日、オカ研に悩める男が現れた。その悩みとは、「部屋の壁に浮き出た女の顔の染みが、引っ越しても追ってくる」というもので……。


maeda前田国敏(まえだ・くにとし)

情報サイト/情報誌を運営発行する会社で商品企画を経験し、2012年にソニーマーケティング株式会社に入社。同年5月から、電子書籍ストア“Reader Store”の店長として、サービスを運営する

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