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【Digital Library】『掟上今日子の備忘録』『弱虫ペダル』

小説やコミックの魅力は、どこに現れると思いますか?
 ストーリー、プロット、文体、設定、メッセージ性、伏線の張り方、トリックの仕掛け方、絵柄、構成……等々、作品を構成する要素はいくつも考えられるのですが、とりわけ「キャラクター」という要素には、その作品の魅力が色濃く反映されているといえます。個性的な愛すべきキャラクターが、縦横無尽に活躍する作品は、それだけで非常に魅力的です。

難事件をスピード解決
『掟上今日子の備忘録』

『掟上今日子の備忘録』 掟上今日子――またの名を、忘却探偵。すべてを一日で忘れてしまう彼女は、事件を(ほぼ)即日解決! あらゆる事件に巻き込まれ、常に犯人として疑われてしまう不遇の青年・隠館厄介は今日も叫ぶ。「探偵を呼ばせてください――!!」

『掟上今日子の備忘録』
掟上今日子――またの名を、忘却探偵。すべてを一日で忘れてしまう彼女は、事件を(ほぼ)即日解決! あらゆる事件に巻き込まれ、常に犯人として疑われてしまう不遇の青年・隠館厄介は今日も叫ぶ。「探偵を呼ばせてください――!!」

 まず最初にご紹介したいのは『掟上今日子の備忘録』(西尾維新〈著〉、VOFAN〈イラスト〉/講談社)です。
 掟上今日子(おきてがみきょうこ)は、忘却探偵。その日経験したこと、記憶したことを翌日には忘れてしまう彼女は、事件の概要を忘れてしまう前に、その事件を(ほぼ)即日で解決してしまいます。内容的には、少しライトなミステリーで、スピーディーな展開に、読んでいて心地よさを感じるほどですが、この作品を魅力的にしているのは、今日子さんをはじめとする、個性的な登場人物たちです。
 著者は、『物語シリーズ』『刀語シリーズ』の西尾維新。著者の作品は、際立った個性のあるキャラクターが登場しますが、この作品にも、著者ならではの筆致で個性的に描かれたキャラクターが登場します。
 主人公である今日子さんや、ワトソン役である隠館厄介(かくしだてやくすけ)はもちろん、事件にかかわる他の人物たちが、設定が極端であったり、展開がスピーディーな中でもしっかり描写されていて、しっかりとシーンが映り込んできます。個人的に、映像を見ている感覚に近いと思いました。
 他の西尾作品と比べ、非常に読みやすい印象も受けました。まだ西尾ワールドを体験したことのない人にも、最初の一冊としてお勧めです。

とにかく熱い!
『弱虫ペダル』

『弱虫ペダル(1)』 ママチャリで激坂を登り、秋葉原通い、往復90km!! アニメにゲーム、ガシャポンフィギュアを愛する高校生・小野田坂道、驚異の激コギ!! ワクワクの本格高校自転車ロードレース巨編!!

『弱虫ペダル(1)』
ママチャリで激坂を登り、秋葉原通い、往復90km!! アニメにゲーム、ガシャポンフィギュアを愛する高校生・小野田坂道、驚異の激コギ!! ワクワクの本格高校自転車ロードレース巨編!!

 次にご紹介したいのは『弱虫ペダル』(渡辺航/秋田書店)です。
 アニメにゲーム、ガシャポンフィギュアを愛する、いわゆる典型的な「オタク」である高校生・小野田坂道が、自転車ロードレースに出合いその世界に飲み込まれていく、スポーツ感動コミックです。
 とにかく熱い! そしてキャラクターが本当に個性的!
 坂道くんをはじめとするキャラクターのセリフに、行動に、読んでいるこちらも熱くなってしまい、心が動かされます。私は彼らの熱にほだされ、ロードバイクを始めるか! と思い立ち、ロードバイクを購入するために価格まで調べたのですが、その価格に冷や水をかけられ、購入を思いとどまりました……。私は踏み込めませんでしたが、この作品がきっかけになり、ロードバイクを始めた方も多いのではないでしょうか?
 それほどまで読者の心を熱くし、行動さえ起こさせようとするこの作品ですが、舞台化もされていて、そちらも人気のようです。登場人物たちのキャラが際立っているからこそ、舞台として実現しているのでしょう。
 個人的なおススメキャラは、京都伏見高校の御堂筋くんです。彼の突き抜けたキャラ性を、本作品でご堪能ください。

 さて、今回は「個性的で愛すべきキャラクターが目白押しな作品」をご紹介しました。今年も、あと少しで、暑い夏がやってきます。くれぐれも体調を崩されませぬようご自愛ください。


おすすめ作品

ローマは一日にして成らず──ローマ人の物語
[電子版]Ⅰ
塩野七生(著)/新潮社
知力ではギリシア人に劣り、体力ではケルトやゲルマン人に劣り、技術力ではエトルリア人に劣り、経済力ではカルタゴ人に劣るローマ人だけが、なぜ巨大な世界帝国を繁栄させることができたのか? ささやかな建国伝説から始まる一千年の興亡史がいま幕を開ける。

若冲
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奇才の画家・若冲が生涯挑んだものとは……緻密すぎる構図や大胆な題材、新たな手法で周囲を圧倒した天才は、底知れぬ悩みを抱え、姿を見せぬ好敵手を憎みながら描き続けた。

未来からのホットライン
ジェイムズ・P・ホーガン(著), 小隅黎(訳)/東京創元社
スコットランドの寒村の古城で暮らすノーベル賞物理学者。この老科学者が地下の実験室で開発したのは、60秒過去の自分へ、6文字までのメッセージを送るプログラムだった。ハードSFの巨星が緻密に描き上げる“時間間通信”の姿。大胆不敵な時間SF!

 

前田国敏(まえだ・くにとし)
情報サイト/情報誌を運営発行する会社で商品企画を経験し、2012年にソニーマーケティング株式会社に入社。同年5月から、電子書籍ストア“Reader Store”の店長として、サービスを運営する

電子書籍ストアReader™ Store
ebookstore.sony.jp

文|前田国敏

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