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【実践サバイバル投資術】ポンジ・スキームを避ける

バブルもショックも乗り越えて

【実践サバイバル投資術】ポンジ・スキームを避ける

繰り返されるポンジ・スキーム

 2012年末から始まったアベノミクス相場で大儲けした方は「自分には投資の才能がある」と信じ、2016年初の急落で儲けを吹き飛ばしてしまった方は「何とか取り戻す方法はないものか?」と考えているかもしれない。こういった相場の高値圏で注意すべきは、投資手法云々の前に「ポンジ・スキーム」と呼ばれる投資詐欺である。
 ポンジ・スキームとは、1919年に米国で発生したチャールズ・ポンジによる切手投資詐欺事件に由来する古典的な詐欺手法のことだ。高利回りを騙って資金を集め、新規資金の一部を初期の投資者への“配当”に充当して安心させ、新たな資金を呼び込んでいく。しかし資金を流用して私腹を肥やしているだけなので、新規資金の流入が止まると必然的に破綻する。実際には、投資家に階層を設け、初期に参加した人たちを共犯にしてさらに資金を呼び込むネズミ講(英語では「ピラミッド・スキーム」)となっているものも多い。
「投資詐欺なんて独居老人狙いでしょ。私は騙されないよ」
 と思った方は考え直す必要がある。近年は獲得した資金の一部だけは実際に投資を行うとか、実現可能性がありそうな好リターンと“安定運用”を打ち出すなど詐欺の手法が極めて巧妙になっている。また、運営者が初めのうちは実際に事業を行っていたものの、経営不振から資金繰りに困って顧客のお金に手をつけ始め、結果的に投資詐欺事件となることもある。さらに、政治家、金融機関、大手新聞、マネー誌、市場関係者などが“お墨付き”を与えたような演出も多用され、“投資のプロ”であるはずの企業年金やヘッジファンドの目利きであるはずのファンド・オブ・ファンズさえ騙されることがある。せっかくコツコツお金を貯め、株式相場のクラッシュを上手に凌いだとしても、ポンジ・スキームに引っかかると努力が水泡に帰してしまう。このため、(なぜか高校や大学では教えないようだが)少なくとも過去のポンジ・スキームを知り、投資詐欺を避ける方法を知っておく必要がある。

ポンジ・スキームは相場とともに育つ?

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 図1は日経平均株価とNYダウの推移に、大型投資詐欺が破綻した年を重ねたものだ。日本の投資詐欺をより多く取りあげているが、現実には毎年世界各地で次々と新手のポンジ・スキームが作りだされ、多くの被害者を出して、結局は破綻している。
 これらは一見すると相場とは無関係に思える。しかしどうやら、ポンジ・スキームは株式相場が天井をつけたあたりから下落する過程で露見、あるいは破綻する傾向があるように思える。これは詐欺スキームの内情を考えれば整合性がある。景気拡大期は一般に人々の金回りが良く、高いリターンにつられてドンドン資金が集まる。ところが、相場が天井をつけると新規資金の流入が細り、“みせかけの配当”に回す資金が枯渇してしまう。また、景気が冷え込めば解約したい投資家も増えてくる。そうなると、ポンジ・スキームにはクレームが殺到し、詐欺師は逮捕されるかドロンし、投資家は泣き寝入りとなるのがお決まりのパターンだ。


doi-san土居雅紹(どい まさつぐ)

eワラント証券株式会社COO。CFA協会認定証券アナリスト、証券アナリスト協会検定会員。1964年静岡県生。88年一橋大学卒業後、大和証券入社。証券アナリストとして活躍。93年米国ノースカロライナ大学経営学大学院にてMBA取得。大蔵省財政金融研究所などを経て、ゴールドマン・サックス証券へ。00年同社でeワラントを開発・導入。11年8月より現職。時代に合った投資方法を研究、その分析力には定評がある。

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