ホーム / Business / 金融 / 【実践サバイバル投資術】半年投資を週ベースにチューンアップ
【実践サバイバル投資術】半年投資を週ベースにチューンアップ

バブルもショックも乗り越えて

【実践サバイバル投資術】半年投資を週ベースにチューンアップ

知れ渡ってもなぜか消えない半年効果

 毎年11月から翌年4月末頃まで株式相場が堅調となり、夏から秋にかけては相場が軟調になることが多い「半年効果」(または「ハロウィン効果」)という株式相場のアノマリー(特異現象)は今年も概ね当てはまっている。このアノマリーは“クリスマス明け頃からガンガン働き、夏休み前には安心して遊べるようにポジションを減らし、秋にはその年のボーナスを確定するために投資を手仕舞う”という欧米の機関投資家の投資行動に起因しているとか、“夏から秋に世界的に戦争や市場の混乱が多く、秋にもっと大変なことになる”という北半球の季節性が主因という見方があるがはっきりしたことは分かっていない。しかし、かつては半年効果とは無関係だった日本株が、外国人投資家の存在感が増すとともに半年効果が顕著になってきたことから考えるなら、世界的な投資(投機)資金の流れと関係ありそうだ。
 さらに不思議なことに、プロ・アマ投資家だけでなく、マスコミまで半年効果について注目していたにもかかわらず、2015年には日米独中に加えインドや韓国までこの半年効果が当てはまっている。すると、このアノマリーはよほど市場の構造的な原因によるとも考えられ、投資のグルーバル化によって今後も続く可能性がありそうだ。
 ここでちょっと機転を利かせるなら、他の投資家を1日でも出し抜く方法は無いものかと考えたくなる。そこで、別のアノマリーを組み合わせて投資パフォーマンスを向上できないか調べてみた。車のエンジンをチューンアップするように投資戦略の改良を考えるのだ。

月中アノマリーと週ベースのアノマリー

suv (2)_1 拙著『最強の「先読み」投資メソッド』(ビジネス社)で紹介している半年投資は、「10月の最終営業日に日本株や米国株に投資して、半年後の翌年4月末日に淡々と売却し、それ以外の期間はキャッシュポジションでひたすら待つ」というものだ。極めて簡単な投資手法だが、今年のように半年効果のアノマリーが繰り返されるなら、下手な相場勘で動くよりも投資パフォーマンスが良い。さらに、相場のクラッシュが多い初夏から秋の時期に投資をしていないことと、一年のうち半年間はキャッシュポジションにしておけるので、自然災害が多い日本に住む投資家にとってはコア戦略の一つに組み込む有力な候補となりうる。
 これに他のアノマリーを組み合わせるなら、10月末日の購入タイミングと4月末日の売却タイミングを前後にずらすことによって投資パフォーマンスが向上するものが売買の手間が増えないので望ましい。
 そこで候補となるのが、「月中アノマリー」と「週ベースのアノマリー」だ。どちらも半年効果のアノマリーほどは知られていないので、半歩先を行く投資ができる可能性がある。
 まず、「月中アノマリー」だが、私の分析によれば、近年の日本株全体の各月中の値動きは、「毎月7日から13日頃に下落」しがちで、「毎月25日~月末に上昇」しやすい傾向がある。これを活かすなら、大きく下げた後(のはず)の10月13日頃に日本株に投資して、上げきった頃合となる(はずの)4月末日頃に売却すれば良いことになる。
 次に、もうちょっとマイナーな週次アノマリーも調べてみた。図1は1995年から2015年9月18日までの毎年の応答週(1年のうち第何週目にあたるか)の週次のリターンの平均値を示したものだ。これを見ると、平均値でみるなら、第18週(4月最終週か5月第1週)までは相場が堅調なものの、第19週から崩れやすいことが分かる。その後5月は軟調で、6月後半はなぜか堅調なものの、再び9月まで軟調となる。ここで興味深いのが第40週が9月最終週のときは大きく上げている一方、第40週が10月第1週になるときはパフォーマンスが悪いことだ。10月は総じてパフォーマンスが悪い週が多いものの、第44週が10月の最終週となる場合は大きく上昇している。その後は年末まで総じて堅調で、半年効果のアノマリーが確認できる。
 ここで週ベースで半年投資の投資タイミングの微調整を考えるなら、筆頭候補は大きく下げている第43週(10月半ば)となる。というのは大きく下げた週の金曜日に買えば安く仕込むことができるからだ。なお、「5月に売って…」という半年効果についての投資格言のアメリカ版は「ハロウィン(10月末)に相場に戻って来い」だが、実はイギリス版では「9月半ばに相場に戻って来い」となっている。その意味で、9月半ばに当たる第39週も株式を買い始めるのに良いポイントとなっている可能性がある(図中緑の横線の区間に株式を保有し、それ以外の期間はキャッシュにしておく投資法だ)。

従来の半年投資をチューンアップ!

suv (3)_1 図2は1995年1月から2015年9月18日までの期間で、月中アノマリーを考慮して「10月13日を含む週末から翌年4月30日を含む週末まで保有」、週ベースで半年投資を微調整した「第43週末買い・翌年第18週末売り」と「第39週末買い・翌年第18週末売り」、「従来の月次ベースで10月末に買い、4月末に売る半年投資」と「TOPIXで普通に運用」した計5つの投資戦略の累積リターンを試算したものだ(配当・税金・売買手数料を考慮せず)。
 この20年間には、ITバブルとサブプライムバブルがあり、また、アジア通貨危機、ロシア危機、りそなショック、リーマンショック、ユーロ財政危機などの多くの暴落局面があった。その間のTOPIX(図中黒ライン)を見ると、20年間大きなボックス圏にあり、現在でも結局20年前と同水準にとどまっている。
 この時、相場が弱くなるアノマリーがある月にポジションを採らない従来の半年投資では、同期間で2倍強(図中赤チャート)になっていたので、かなり効果があったといえる。
 ところが、月中アノマリーを活かして「10月13日を含む週末から翌年4月30日を含む週末まで保有」していたら、なんと3.3倍にもなっている(図中黄緑線)。また、週ベースのアノマリーを活かした「第43週(10月末)に買って、翌年第18週(4月最終週か5月第1週)に売却」するチューンアップ(図中緑線)でも、同期間に3.1倍にもなっているから、これらのチューンアップはどちらも極めて有効と言えそうだ。
 一方、週ベースのチューンアップでも9月半ばの第39週スタートという戦略では従来型の月ベースの半年投資と同程度のパフォーマンスとなっている。

早速今年から使ってみるなら

 現在の相場状況は2007年の株価天井の頃に極めて似ている。ここで、何もしないでキャッシュを温存するのも有効な戦略の一つだ。それでも、その判断が早合点である可能性も常に残るので、資金の一部は自らの相場観を反映させないで淡々と運用する手法も有効だ。そこで、投資戦略を分散するのであれば、今回紹介した半年投資のチューンアップ版は有力な選択肢の一つとなるだろう。ちなみに、2015年の10月13日を含む週の応答日は10月16日(金)、第43週の応答日は10月23日(金)となる。翌年2016年の4月30日を含む週と第18週の最終取引日はともに4月28日(木)だ。この戦略を採用しない場合でも、頭の片隅に入れておけば役に立つ場面がありそうだ。
(念のため付言すると、上記は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではない。)


doi-san土居雅紹(どい まさつぐ)
eワラント証券株式会社COO。CFA協会認定証券アナリスト、証券アナリスト協会検定会員。1964年静岡県生。88年一橋大学卒業後、大和証券入社。証券アナリストとして活躍。93年米国ノースカロライナ大学経営学大学院にてMBA取得。大蔵省財政金融研究所などを経て、ゴールドマン・サックス証券へ。00年同社でeワラントを開発・導入。11年8月より現職。時代に合った投資方法を研究、その分析力には定評がある。

最強メソッド『最強の「先読み」投資メソッド』(ビジネス社)

さらに進化したサバイバル投資術。2016年から2017年の何に注意すべきか。NISAや退職金はどう運用したらよいのか?独自のデータ検証から生み出した、資産を増やす5つの投資戦略と資産を守る5つの堅実戦略を徹底伝授。

Scroll To Top