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【実践サバイバル投資術】「今晩、世界的な株価暴落が始まっても大丈夫?」という視点で再点検すべし!

【実践サバイバル投資術】「今晩、世界的な株価暴落が始まっても大丈夫?」という視点で再点検すべし!

株式相場は頂上付近?

 2014年も「荒れる10月」となった。そして今回の下げでも世界の株式が同時に下げ、従来の分散投資が役に立たなかった。この先、株価が戻すのか、想定よりも早く世界同時暴落に突入するかは、エボラ出血熱、イスラム国、中国不動産バブル、米国の利上げ、ウクライナ、日中武力衝突、ユーロ経済、香港デモ、北朝鮮、異常気象、噴火や大地震などに大きく影響される。こういった局面で、あれこれ全てのシナリオを決め打ちしてポジションを採ることはサバイバル投資術では勧めない。仮に10個のイベントすべてを70%の高確率で当てる超人的な予測ができたとしても、0.7の10乗は0.028だ。すべて思った通りになる確率は3%以下に過ぎないのに、大イベント一つでクラッシュの引き金になる。
 極意15の「サバイバル投資本2014年版アップデート」で紹介した時価総額とGDPの比を見る「バフェット指標」で見ると、米国株はさらに下落しても不思議ではない水準だ。同様の分析で日本株を見ても相当危ない。登山で言えば8合目か9合目、もしかしたら頂上で一休みした後、下山しはじめた頃かもしれない。
 こういった時に、どういう準備をすべきか簡単に知る方法がある。「今晩、世界的な株価暴落が始まっても大丈夫?」と自問自答してみるのだ。

「短期間だけ勝負」が大怪我のモト

 まず、暴落に備えるために一般的にやってはいけない事例を挙げた。これが全てではないが、一つでも該当していたら要注意だ。

● 本格的な暴落は数年先だろうから、3ヶ月で儲かりそうなゲーム株で勝負!
[ダメな理由]「あと少し」と小さな欲を出して短期ポジションを採るとロクな事はない。こういった銘柄は、暴落が始まると安値で投げるか、途中で倒産する憂き目を見ることが多い。

●この1年で2000万円ほど投資で稼いだので、脱サラして専業トレーダーになるつもり
[ダメな理由]アベノミクス相場はほとんどの人が利益をあげることができた10年に1-2回しかない時期だ。これからも同様に稼げるとは限らない。サバイバル投資を目指すなら、岩山登りと同じでしっかりと安全を確保しながら次に進むべきだ。

● 相続税対策で目一杯借金をして賃貸用タワーマンションを購入した
[ダメな理由]2015年1月の相続税増税に備えて不動産取得が流行っている。しかし、景気が悪くなれば予想通りの賃貸収入は望めない。また、大きな借金をして不動産を購入するのは、数十倍のレバレッジ投資と同じなので、不況期に自己破産する確率が増す。また、暴落時に流動性が落ちる不動産に保有財産を集中させるのは危険。

● 中国不動産バブル崩壊はありえないから、売り込まれている中国株に投資しよう
[ダメな理由]「中国は全体主義国家だから、政府はどんな事でもできる。民主主義国と違って不動産バブル破裂はありえない」という説が巷にある。これは、「今回は違う」といういつものバブル天井圏の珍説である可能性が高い。

● 今回の下落は軽そうだから、日経平均が14000円台まで落ちたので買い増した
[ダメな理由]典型的なインテリトラップに嵌るケース。根拠のない値ごろ感による投資には、他の投資家に対する優位性(エッジ)は無い。

● 円高になりそうだから内需株にシフトした
[ダメな理由]相場がクラッシュすれば株価=1株当たり利益×株価収益倍率(PER)のうち、PERが全ての銘柄について下がる。つまり、一部の内需株が円高の恩恵で2割や3割増益になっても、PERが20倍から10倍に下がれば株価は暴落する。「木より森を見よ」だ。自分の選んだ銘柄だけは相場状況に拘わらず上がると思い込むのは勘違い。

暴落に備えるチェックリスト

 暴落に備える方法は、資産の多寡、年齢、健康状況、現在の投資ポジション、現業の収入、借入金の有無、精神面でのリスク耐性等によって百人百様だ。例えば、大資産家で、現業で十分稼ぎ、余裕資金の大部分がキャッシュなら、世界的な同時株安は格好の投資機会となる。
 一方、数年後に確実に必要となる資金を、数年間だけ運用して増やそうといった目算で赤字のバイオ株に集中投資しているような状況は、暴落への備えが全くできていない。
 そこで、仮に「今晩世界的な株価暴落が始まる」と想定して、以下のチェック項目を確認することをオススメする。

□ 半年間の生活資金は確保されているか?
[確認すべき理由]リーマンショックのようなクラッシュ時ほど、お金が必要になる。一か八かの勝負は暴落時に投げ売りする結果に終わることが多い。まず足元を固めよう。

□ キャッシュと購入リストは準備したか?
[確認すべき理由]大底で好条件の投資をするには、社会全体が萎縮している時こそチャンス。NISA(非課税投資制度)も暴落時にだけ使うなら失敗は少ない。そのためには、高値圏では投資を控え、キャッシュを温存しておく必要がある。また、暴落前に有望な購入対象と希望価格をリストアップすべきだ。

□ 10年間の人口動態の変化に耐えられるか?
[確認すべき理由]暴落に備えるには10年塩漬けでも儲かる投資対象にすべき。急成長しそうな国内個別株か、生産年齢人口が増えている米国、インド、インドネシア、トルコ、メキシコ、フィリピンなどへの投資なら、仮に暴落があっても早い戻りが期待できる。

□ 日本、中国、韓国、ロシア、ユーロ圏の割合が高すぎないか?
[確認すべき理由]生産年齢人口が減る国々は、暴落時には世界各国の株式と同時に下がるが、上昇する時はなかなか上がらない。日本株は長らくその立ち居地だし、中国や韓国も仲間入りしそうだ。ロシアと欧州も人口減少に悩む。これらは暴落後に長期間困ったことになる可能性が高い。

□ 富士山噴火、東京直下地震、パンデミックなどの大災害は想定しているか?
[確認すべき理由]身の安全、食糧・飲料水の確保が最優先。また、投資金額以上の損失が出る先物、FX、上場オプションの売りポジションでは、過去にロスカットが上手く機能せずに市場から退場させられた投資家も多い。一方、「富士山噴火なら物流は麻痺するが、日本経済への影響はおそらく数週間程度」、「首都圏直下型地震やエボラ出血熱の日本での流行があれば、日本株はしばらく取引不能もある」と具体的にどういうことが起きえるかイメージしておく事も重要だ。その場になってあせった頭で考えても、まともな投資判断ができる可能性は少ない。

□カリスマ経営者、各国指導者が交代したら?
[確認すべき理由]カリスマ経営者が去った後の企業は迷走することが多い。これからの10年間を考えるなら、高齢であったり、健康不安があったりする場合には経営者交代とその後の不振を念頭におく必要がある。また、各国の指導者も選挙や任期切れ、疾病、事故、クーデターなどで変わり、投資環境にも大きな変化がある可能性が高い。

□ アジア危機やリーマンショック直後にどんな行動をとった国・企業か?
[確認すべき理由]過去の市場ショック時に外国為替取引の規制をした国、何回もデフォルトした国、外貨準備が不良債権の山と露見した国、為替介入で自国通貨を切り下げた国、株価が下がっても構わず大型増資をした企業などは、次回も同じような行動を採る可能性が高い。暴落前には避けておくべき投資先といえる。

□ PER水準と5-6年前の財務諸表は見たか?
[確認すべき理由]PER150倍(株価が1株当たり利益の150年分)という場合、ほぼ例外なくクラッシュ時の下げが大きくなる。また、景気変動で赤字に転落する企業の下げはさらにひどくなるので、過去の超円高時やリーマンショック後の業績も見ておくべきだろう。

□ 投資戦略の分散はできているか?
[確認すべき理由]クラッシュでは米国株も日本株も同じように下落するため、買って長く持つというだけの戦略だけではリスクを分散することができない。半年投資術、トレンド重視、業績重視、ロング・ショート、暴落時のみ投資というように投資戦略を併用すれば暴落に強いポジションとなりうる。

□ 株主優待目当ての企業の業績は大丈夫か?
[確認すべき理由]株主優待は不況になれば突然やめることも多いし、良すぎる株主優待を出す企業は破綻が近いこともある。10年持つなら投資先を株主優待だけで判断してはいけない。

□ 投信はまとまった金額になったらETFに
[確認すべき理由]10年寝かせると年1%のコストの違いは大きくなる。毎月積み立てなどで投資信託の資金がまとまったら、維持コストが安いETFに乗り換える方がよい。

(念のため付言すると、上記は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではない。)


土居雅紹(どい まさつぐ)

eワラント証券株式会社COO。CFA協会認定証券アナリスト、証券 アナリスト協会検定会員。1964年静岡県生。88年一橋大学卒業後、大和証券入社。証券アナリストとして活躍。93年米国ノースカロライナ大学経営学大 学院にてMBA取得。大蔵省財政金融研究所などを経て、ゴールドマン・サックス証券へ。00年同社でeワラントを開発・導入。11年8月より現職。時代に 合った投資方法を研究、その分析力には定評がある。

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