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サバイバル投資本 2014年版アップデート

サバイバル投資本 2014年版アップデート

大回り3年

 2011年夏に書いた『勝ち抜け!サバイバル投資術』(実業乃日本社)から3年経った。今読み直してみても「いいこと書いているなぁ」と自分でも感心する良心的な投資ハウツー本で、多くの市場関係者や投資家諸兄にお読みいただいた。その結果かどうかは定かではないが、「従来の分散投資は暴落に通用しない」、「のんきな長期投資はリスクだらけ」、「春高秋安を利用した半年投資は効果的」といったことを、ついさっき発見したかのように書く株式評論家やマスコミが増えた。ともあれ、少しは世の中のお役に立てたようだが、しっかり実践できている投資家は少ない気がする。
 また、相場格言では「大回り3年、小回り3ヶ月」ともいわれ、3年も経つと相場の状況はかなり変わる。2011年当時の予想とは異なった展開になったものがある一方、普遍的な投資知識としてはずせないものも多い。さらにこの3年で利用可能となった制度・金融商品や有効と確認できた手法もある。そこで、3年前と変わっていないこと、大きく変わったこと、追記しておきたいことを、2014年版アップデートとしてまとめておきたい。

3年前と変わっていないこと

◎中国不動産バブル崩壊が最大の懸念
 3年前も現在も、中国不動産バブル崩壊が最大の懸念である。中国は2 0 0 8 年のリーマンショック時に自国の不動産バブルが崩壊しないように「4兆元投資」(約60兆円)というトンデモナイ額のてこ入れを行った。これに加えて地方政府はその数倍にも上る公共投資を行ったとされ、「バブル崩壊で別のバブルで凌いだ」というITバブル後の米国と似たような行動を採った。この結果、中国各地にゴーストタウンが出現し、怪しげな金融商品が出回り、需要の先食いで経済成長率は下方修正が続いている。実態を隠しているが不動産価格の下落が始まり、景気悪化で周辺部では暴動が相次いでいるようだ。対外強硬策で共産党一党独裁体制の正当性をアピールしようとしたが、隣国との対立が激化して裏目に出ている。日米欧のバブル破裂の経験から言えば、騒がれ始めてから数年後が危ない。となると2015-2016年に要注意だ。

◎長期分散投資はやっぱり無力。でも〝業者はすぐに変われない〟
「日本株だけでなく、REITや米国株、中国株、コモディティETF、外債などに分散投資しておけば、世界的な暴落でも安心」と本気で思っている業者はもはや絶滅危惧種だ。米国では“戦略を分散する手法”を実践するところが散見されるが、国内では相変わらず、てんこ盛り仕組み債やタコ足配当の毎月分配型外債投信、リスク分散ができていない資産分散型投信が、それまでと同じように販売されている。企業文化や凝り固まった発想はすぐには変わらないのだろう。

◎インド、プラチナ、海洋開発でプチバブルか?
 プチバブルの候補として、潜在成長力・市場規模から「インド」、新興国での環境規制強化と資源の希少性から「プラチナ」、国策による支援強化で「海洋開発」を3年前に挙げた。これらは時折人気化することを繰り返していて、いつ本格的に吹き上げても不思議ではない状況だ。

◎人口動態はやっぱりバブル
 人口動態が不利に働く中国や韓国で経済成長の下方修正が相次いでいる。これらの国々のエコノミストがいかに強気な予測をしても、人口動態は正直だ。これからの数十年で人口動態から有望な投資先といえるのが、インド、フィリピン、インドネシア、米国、ナイジェリア、タイ、ロシア、ブラジル。悲観的なのが、日本、中国、韓国、シンガポールとなる。

◎3つの投資術は引き続き極めて有効
 サバイバル投資術を実践する方法として、「“80%安全資産+リスク限定投資”で10年周期の大底を狙う」、「半年投資術で、機械的に10月末に買って4月末に売る」、「DOIモデルで上昇トレンドがはっきりしているときだけ買い、キャッシュで持つ期間を長くする」という3つの方法を紹介した。この3つの手法は、2011-2012年の難しい相場を乗り切り、2012年末から始まったアベノミクスで大きなメリットを享受でき、有効性が再確認された。まだしばらく使えそうだ。


土居雅紹(どい まさつぐ)

eワラント証券株式会社COO。CFA協会認定証券アナリスト、証券アナリスト協会検定会員。1964年静岡県生。88年一橋大学卒業後、大和証券入社。証券アナリストとして活躍。93年米国ノースカロライナ大学経営学大学院にてMBA取得。大蔵省財政金融研究所などを経て、ゴールドマン・サックス証券へ。00年同社でeワラントを開発・導入。11年8月より現職。時代に合った投資方法を研究、その分析力には定評がある。

実業之日本社 1500円(税別) ISBN978-4-408-10911-4

実業之日本社 1500円(税別) ISBN978-4-408-10911-4

バブルで儲け、暴落から身を守る 勝ち抜け!サバイバル投資術

証券業界で生き抜いてきた著者だから書ける「投資の嘘・ホント」。

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