ホーム / Business / 企業 / 職場でより女性が活躍することの重要性 ~クリストフ・デュシャテリエ(アデコアジアパシフィックCEO)

職場でより女性が活躍することの重要性 ~クリストフ・デュシャテリエ(アデコアジアパシフィックCEO)

長時間労働が女性活躍を阻害する

2013年、私はアデコのアジア地域と日本の責任者に就任し、家族とともにシンガポールから東京へ移り住むことになった。日本食をはじめとする日本の文化を私はとても愛しているが、こと「働き方」に関しては、母国であるフランスとの違いに最初は驚かされることが多かった。

一番驚いたのは、夜の8時を過ぎても多くの社員がオフィスに残り、仕事をしていたことだ。フランスでは、定時になったら仕事を終えて、家族や友人とともに自分たちの時間を楽しむのが一般的だ。

フランスばかりではない。EUの多くの国では、週の労働時間が時間外労働も含め48時間以下に制限されているため、日本のように、場合によっては最終電車の時間まで働くといったことはない。

長時間にわたる労働は、女性の活躍を大きく阻害する要因の一つであると私は考えている。日本の女性の就労率の特徴を表すものとして、いわゆる「M字カーブ」がある。周知のように、結婚、出産、育児などのライフイベントが続く25歳から45歳の間の女性の就労率が大きく下がり、まるでアルファベットのMのようなカーブを描いている。最新の総務省の労働力調査によると、だいぶ改善されてきているが、これはEU諸国では見られない現象だ。

この現象を引き起こす要因は2つあると考えている。一つは、前述のように長時間労働が常態化しているため、子育てと仕事が両立しにくい職場環境があること。一つは、「子どもを育てるのは女性の仕事である」という考え方が依然根強くあること(現在、諸外国ではこうした認識は変化しているが)。そしてもう一つが、子供を預ける仕組みが十分ではないことがあげられる。

仕事と育児を両立できる仕組み

欧州では、育児は男性と女性と協力して行うものであるという意識も浸透している。アデコが実施している人材競争力に関する国際調査「Global Talent Competiveness Index」では、スイス、スウェーデン、ノルウェーといった国が上位にランキングしているが、これらの国では80%以上の父親が、子供が生まれた際に育児休暇を取っている。

出典: Global Talent Competitiveness Index 2015-16 rankings

出典: Global Talent Competitiveness Index 2015-16 rankings

また、すでに述べたように、欧州では長時間労働は忌避されるので、女性が仕事と育児を両立しやすく、男性が早めに帰宅して妻とともに育児に従事することが一般的だ。

加えて、ベビーシッターが普及していること、「保育ママ」などの私立保育システムが充実していること、保育サービスを利用する世帯に対する手厚い手当が出ることなども、働く世代をサポートするのに大いに役立っている。

OECD(経済協力開発機構)によれば、2013年における働く女性の割合はフランスが世界1位で、およそ84%となっている。これは日本のおよそ72%を10ポイント以上引き離す数字である。また、1990年代まで続いていた少子化にも歯止めがかかり、2010年の出生率は2.01と、ヨーロッパではアイルランドに次いで2位になっている。

出典:OECD (Organization for Economic Co-operation and Development)  就労適齢期女性の就労推移

出典:OECD (Organization for Economic Co-operation and Development) 
就労適齢期女性の就労推移


【執筆者プロフィール】
1962年、フランス生まれ。88年、パリ・ソルボンヌ大学卒業。2010年にアデコフランスに入社後、アジアへ移転し、地域の先頭に立ちリードしてきた。現在、家族とともに日本で暮らし、日本文化と日本食を楽しんでいる。

Scroll To Top