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【トレンド・プレス】東海発「テレビ局×シネコン」新しい映画の楽しみ方が始まる

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【トレンド・プレス】東海発「テレビ局×シネコン」新しい映画の楽しみ方が始まる

「いい映画を見てもらいたい!」との願いから始まった新しい映画上映プロジェクト「メ~シネマ」。
東海エリア発で進められるそのプロジェクトの中心人物たちに話を聞いた。

新たな映画上映スタイルの創造

 映画の楽しみ方もハードやソフトの変化とともに様々なスタイルが生まれている。HuluやGoogleビデオといった動画配信サービスをマルチデバイスで視聴する人もいれば、DVDをリビングのソファーで寛ぎながら楽しむ人も。しかし、映画館の大きなスクリーンで観る臨場感に勝るものはない。
 そんなシアター派にとって気になる試みが東海エリアで始まろうとしている。それは、日本国内への配給予定が無い良質な映画をピックアップして、シネマコンプレックス(以後シネコン)で上映する映画上映プロジェクト「メ~シネマ」。

メ~テレ・名古屋テレビ コンテンツ局長・福嶋更一郎氏

メ~テレ・名古屋テレビ コンテンツ局長・福嶋更一郎氏

 このプロジェクトは、東海エリアを放送対象地域とするテレビ局「メ~テレ・名古屋テレビ(以後メ~テレ)」(テレビ朝日系列)と全国13カ所でシネコンを展開する「コロナワールド」が中心となり、東海エリアにあるコロナシネマワールド7館の1スクリーンをレギュラーで確保し、選び抜かれた海外の良質な映画を毎日昼間の時間帯に月替わり上映するもの。
 2月27日(土)から上映される、『猟奇的な彼女』『僕の彼女はサイボーグ』のクァク・ジェヨン監督による注目の最新作『更年奇的な彼女』を皮切りに、海外の国際映画際出品作品などが続々とラインナップされる。日本国内では配給予定が無いものの、映画好きなら思わず唸るような作品を選び抜き、シネコンの大きなスクリーンで上映する。東海エリア限定のプロジェクトだ。
 この「メ~シネマ」への事業参画社は、それぞれが得意とする分野で役割を担い、メ~テレは自社番組内やスポットCMで作品の宣伝・PRを担当。コロナワールドは映画作品の上映とスクリーンでの予告上映や館内でのポスターなどの掲出などを受け持つ。他にも、作品配給を担当する会社や事務局を受け持つ会社などが事業参画するが、それぞれの役割に応じ、決められた比率で興行収益から利益が配分される事業モデルになっている。上映される作品の魅力もさることながら、この取り組みの新しさも注目を集めそうだ。

良質な映画を日本人は見逃している?

 このプロジェクトがスタートするきっかけになったのは、プロジェクトを推進するメ~テレのコンテンツ局長・福嶋更一郎氏が、プロデューサーを務めた映画『あん』(※1)の関係者から言われた一言だった。
「映画『あん』はカンヌ国際映画祭に正式出品されたことがきっかけとなり、日本での興行が成功した作品です。この『あん』は日・仏・独合作で、そのフランスのスタッフたちから『日本の映画市場は閉鎖的だ』と指摘されました。例えば、昨年カンヌ国際映画祭に出品された作品の内、日本に配給されるのは半分にも満たない状況です。海外の大きな映画祭に出品されるような優れた映画でさえ、上映することが難しい現状が日本の映画市場のようです」
 福嶋氏が指摘するように、世界三大映画祭(※2)に出品されるような作品でさえ日本ではほとんど公開されていないのが実情で、「世界的に評価を受ける映画を日本人はほとんど見逃している」と憂う福嶋氏は、この状況をとても危惧している。

コロナワールド・シネマ事業部・深谷政文氏

コロナワールド・シネマ事業部・深谷政文氏

 なぜ、日本でこのようなことが起きているのか? 同じくこのプロジェクトに参画するコロナワールド・シネマ事業部の深谷政文氏と橋本和也氏に聞いた。
「配給会社は興行収益のことを考えればヒットしそうな作品を優先します。海外の国際映画祭で賞を受賞したとしても、ヒットが見込めそうにない作品は買い付けられないといったことが現実に起きています。それに加え、単館系(※3)の劇場の減少から、そういった作品を積極的に上映する映画館が少なくなり、スクリーンを確保できないのも原因の一つだと考えられます」と深谷氏は推測する。
 他にも、「デジタル化などにより映画の制作コストが下がったことも一つの要因では?」と橋本氏が指摘。確かにコストを抑えることができれば作品本数を増やすことも可能だ。現に2014年は邦画の作品制作本数が過去最高(615本)をマークしていることからもうなずける。
 いろいろなタイプの邦画が多くなれば、見る側としては嬉しい反面、それによりスクリーンの奪い合いが起き、海外の良質な映画を見る機会を失っているのかもしれない。

アクティブシニアの心をつかめ

 このような日本の映画市場に、「新たな風を吹き込みたい」というのが今回の「メ~シネマ」の目的だ。
 現在、50歳以上の男性シニア世代のテレビ離れが進んでいると言う福嶋氏だが、その理由として考えられるのは、その世代が見たいドラマや番組が少ないからだと分析している。
「その世代に合うドラマや映画があれば見たいと考えてくれるに違いありません。だからこそ、大人が満足できる良質な映画をレギュラー上映すれば、きっと劇場に足を運んでもらえるはずです」(福嶋氏)とプロジェクトに期待を寄せる。
 一方のコロナワールドは、特に平日の昼間の時間帯にアクティブなシニア層を集客できれば、映画館から同じ施設内にある飲食やボウリング、温浴施設などのアミューズメントに新たな人の流れを作ることができると考えている。

コロナワールド・シネマ事業部・橋本和也氏

コロナワールド・シネマ事業部・橋本和也氏

「シニア層に影響力のあるテレビを活用し、住んでいる地域のシネコンで質の高い映画が上映されると知れば、『よし、行ってみよう!』という行動につながり、繰り返し足を運んでもらえるきっかけになることに期待しています」(橋本氏)
 新たなファン作りとともに、新たな収益のカタチを作る。双方とも目的が合致したプロジェクトのようだ。さらに、このプロジェクトには更なる狙いがある。
「東海エリアの7館での上映ですが、単館で考えれば十分すぎる数のスクリーン数です。そこからSNSなどで『この映画がおもしろい!』と拡散されれば、上映エリア外にも広がりをみせる可能性も見えてきます」(深谷氏)
 マーケティングに最適なサイズの東海エリアだけに、このSNSでの拡散に深谷氏は期待を膨らませる。この「メ~シネマ」がショーケースとなり、海外の良質な作品を日本に紹介する手段の一つとして、他地域での上映や作品のヒットにつながれば、「メ~シネマ」が日本の映画上映の“新しいスタイル”になるかもしれない。
「この取り組みが成功すれば、上映された映画が日本全国から買い付けられると考えています。また、配給会社が買い付けたものの日本で公開されていない海外作品も多く、この『メ~シネマ』に作品を持ち込めば、テレビ局が宣伝してくれて、シネコンで上映できるといった流れから、このプロジェクトに賛同する会社も今以上に増えるはずです。さらに、将来的にはこのプロジェクから、独自制作のコンテンツをメ~テレ自身が発信できるようにしたいと考えています」と福嶋氏はプロジェクトの未来図を描いてみせた。
 将来この取り組みが認められ、より良質な作品が国内外から集まるようになれば、日本各地へ展開していくことも可能だ。この「メ~シネマ」が月1回の娯楽として、新たなライフスタイルを提案するプロジェクトとして全国に広がることに期待したい。
●作品ラインナップ
©New Classic Media Corporation

©New Classic Media Corporation

更年奇的な彼女
(2月27日名古屋先行公開)
ラブコメディ・韓国 監督:クァク・ジェヨン

『猟奇的な彼女』『僕の彼女はサイボーグ』のクァク・ジェヨン監督による最新作。大失恋の後、若年性更年期障害に陥ってしまった主人公が、生活の面倒を見てくれる従順なペットのような男性とひょんなことから同棲をはじめ、自分を取り戻していくコメディタッチのラブストーリー。

共同配給:アジアピクチャーズエンタテイメント/エレファントハウス/カルチャヴィル

©Sparrowglen Limited and the British Film Institute 2014

©Sparrowglen Limited and the British Film Institute 2014

クィーン・アンド・カントリー
(3月26日公開予定)
歴史ドラマ・英国 監督:ジョン・ブアマン

傑作『戦場の小さな天使たち』から27年、ジョン・ブアマンが再び半自伝的な物語を語る。若き兵士たちの恋ありイタズラありのコメディタッチの明るい戦記物。2015年カリフォルニア インディペンデント フィルム フェスティバル作品賞、監督賞受賞作品。

配給:エレファントハウス


「メ~シネマ」
コロナシネマワールド小牧、春日井、中川、半田、安城、豊川、大垣の7館で、2月27日(土)より毎月1作品を上映。

※1樹木希林主演で2015年に公開された日・仏・独合作映画。ハンセン病をテーマに描き異例のヒットとなる
※2ベルリン国際映画祭、カンヌ国際映画祭、ヴェネツィア国際映画祭
※3大手の配給会社や興行会社に属さないミニシアターのような映画館。また、そこで上映されるような映画

メ~テレ・名古屋テレビ
www.nagoyatv.com

株式会社コロナワールド
www.korona.co.jp

文|江崎充哉(編集部)

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