ホーム / Business / 企業 / 日本の源企業「有限会社アイヴエモーションの源」

日本の源企業「有限会社アイヴエモーションの源」

63年香川県さぬき市生。千葉大学大学院で環境デザイン学を学んだ後、03年まで(株)計画技術研究所にて勤務。04年アイヴエモーション設立。

63年香川県さぬき市生。千葉大学大学院で環境デザイン学を学んだ後、03年まで(株)計画技術研究所にて勤務。04年アイヴエモーション設立。

 香川県さぬき市、周囲を田畑に囲まれたのどかな場所にアイヴエモーションはある。従業員5名の小さな工房。ここで造られているのは、いまやアジアを中心に海外からも注目を集める“Tyrell(タイレル)”の自転車だ。東京で13年間都市デザインコンサルタントとして活躍していた廣瀬氏が、故郷であるこの地に戻ったのは2003年のこと。戻ったはいいが、特に何をしようと決めていたわけではなかった。時間がたっぷりある中で、趣味で乗っていた自転車をゼロから造ってみようと思い立った。「当初は会社を立ち上げることはまったく考えていませんでした。自分の好きなものを造ろう、ただそれだけでしたね。」既製品の分解や研究を重ね、独学で自転車造りを学んだ。初号機S-Zが完成し、発売を開始したのは2005年のことだ。良い製品に仕上がったという手ごたえはあったが、ビジネスとして成り立つかどうかの自信はなかった。自転車産業が衰退の一途を辿っていた日本国内では製造を請け負ってくれる企業が見つからず、台湾で製造を開始した。2007年までは自宅の小さなガレージで廣瀬氏1人で設計・試作などを行っていたという。「ものづくりの主役はあくまで自分です。乗りたいものを造っていたら年々進化して、気づけば現在の状態になっていました。余暇にスポーツ車に乗る人が、女性も含めて増えてきましたよね。乗ってみて、風を感じられたり、遠くまで行けたりといった自転車の楽しさを再発見しているんでしょう。」専門雑誌が続々発刊されるなどスポーツ車ブームの追い風があったものの、販路の開拓は地道なものだった。「撮影からデザインまですべて自分で手掛けたカタログを手に、自転車の完成品を持ってメディアや販売店を巡りました。」初年度は10社の販売店がこの無名のブランドと契約してくれた。今では、モデルが7タイプに増え、販売店は全国に200社を数える。
「どれだけ情熱を注ぎ、どこまでこだわって体力や能力を出し切るかがものづくりの価値を決めると思います。これだけ物があふれている世の中で、その物に魅力やオーラがあるかは、造り手の顔がはっきり見えるか、造り手が納得いくまで集中して造り上げたかにかかっていますから」。「ロゴがなくてもTyrellと分かる」ボディーのデザインも廣瀬氏のこだわり故だ。廣瀬氏にとって情熱を注げる対象とは「自分がカッコイイ、欲しいと思えるものです。特に男はプロダクトに対して道具を超えた何かを感じてるでしょ(笑)。造りたい物がなくなったら辞めますよ。」自分のこだわりのためものづくりをしている現状は「仕事であって、仕事でない。」という。しかし会社組織にしたからには社員のことも考えなくてはならない。「やりがいを感じて、仕事を楽しんでもらいたいですから、そのためには何をすべきか常に考えています。」今後、部品の輸入を除き、製造は極力国内で行うという同社にとって、製造工場の拡大と人員の増強が急務だ。ますます組織は大きくなるが、「私以上に社員がワクワクしている会社にしたい。社員が『こんなものが造りたい』といつでも発言できる環境を整えたいと思います。」それを実現するため、新工場にはカフェやショウルームを併設する。「工場じゃないような工場にします。」香川の小さな企業の情熱はまだまだ広がっていきそうだ。

Tyrell FX

有限会社アイヴエモーション
香川県さぬき市寒川町石田東1000-3
www.tyrellbike.com

Scroll To Top