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納豆容器に革命が起きた!? 「パキッ!とたれ」は凄い

納豆容器に革命が起きた!? 「パキッ!とたれ」は凄い

オリジナリティーが際立つ商品開発力でヒット商品を次々と生み出す、納豆ブランド『金のつぶ』。
さらに今年、それまでの概念を覆すような画期的な新商品が発売された。

『パキッ!とたれ』の新容器で簡単ステップ

 容器のふたにたれを封入した『金のつぶパキッ!とたれとろっ豆(以下『パキッ!とたれ』)』。愛知県半田市にある株式会社ミツカングループ本社(以下、ミツカン)の商品だ。たれと一体型の容器は、業界初。パキッ!と真ん中を折るだけで、液状のたれが出てくる。
 この商品は、2008年に発売された『あらっ便利!超やわらか納豆とろっ豆(以下、『あらっ便利!』)』をより便利に進化させたものだ。『あらっ便利!』は、通常あるはずの、納豆を覆うビニールのフィルムとたれ小袋が無い。「毎日のように食べる納豆にとってはちょっとした不便さも大きな問題です。」製品企画部の森田氏が言うように、新商品の開発の際に最も参考になるのはクレーム・データである。『あらっ便利!』は、ビニールのフィルムに納豆がついたり糸が引いたりする、小袋を開けそこねてたれが飛び散るなど、消費者から寄せられた不満を解消するために開発された。納豆の発酵に必要な空気にほどよく触れながらも乾燥を防ぐ、新しい形状の容器にすることでビニールのフィルムを省き、たれをゼリー状にして本体に直接入れることでたれの小袋を無くした。
 この新しさ、便利さは消費者の支持を集め、目標以上に売り上げを伸ばしていったが、ある時点で変化が起きた。「ゼリー状のたれは豆に馴染みにくい、たれポケットのついた容器は混ぜにくい、という声が寄せられるようになりました。」新たな不満を解消するため、再び商品改良が始まった。
 問題点の解消とともに「楽しめる納豆」になってほしいという思いも込められ、完成した『パキッ!とたれ』。ふたを「とる」「わる」「まぜる」の3ステップは、簡単で快適だ。ふたを割る時のパキッ!という音と感触がたまらない。

最後発の参入ながら主力商品に成長

「金のつぶ食べよう〜」のCMソングで一躍有名になった納豆ブランド『金のつぶ』。納豆の国内シェアは第2位(2011年)。ミツカン製品の中では最後発の参入でありながら、同社の主力となっている。
 ミツカンは1997年、納豆事業に参入している。「日本の食文化に深く根づいている納豆の商品開発には以前から興味を持っていました。さらに納豆事業は当社が食酢醸造で培った菌の育種や発酵技術を生かせる分野でもあったのです。」翌年1998年にはブランド第1号『ふくまろ』を発売。2000年に発売された、気になるにおいの成分を抑えた『におわなっとう』と骨の形成を促すビタミンを多く含む『ほね元気』はたちまちヒット商品に躍り出た。
 納豆は主に納豆菌の種類によって味や食感が変わる。従来の納豆に使われていたのは、無限の数と言われる納豆菌のうち、わずか2、3種類。そこでミツカンは納豆菌の研究から始め、業界の常識にとらわれない製品を開発し、他社との差別化を図っていった。このオリジナル商品が消費者の大きな支持を得たのだ。

関西市場の拡大を狙う

「『パキッ!とたれ』の使命として納豆市場全体の拡大を狙っています。使命というとちょっと大げさですが。」納豆の年間消費量は伸び悩んでいる。
「これまで当社ではほぼ全国一斉に新製品の販売を開始してきましたが、この製品は西日本限定商品としてスタートしました。それは、関西に市場拡大の余地が大きいと考えているからです。全国の売上高の比率でみると、関東の約50%に対して関西は約10%。しかも納豆を食べることが苦手というより、食べたことがないという人が多いということが調査で分かりました。」先行販売における関西消費者の反応を分析・検証することで商品の改良や販売促進に役立てるという。
 商品特長を生かした個性的なプロモーションも目を引く。黒木瞳さんを起用したCMは、彼女の気を惹こうと「マドモアゼール」と囁くように「トルワルマゼール」と声をかけながら集まってくるパリジャンたちのコミカルな演技が笑いを誘う。家族や友人とパキッ!としている様子を撮った写真を投稿するというプレゼントキャンペーンも面白い。「割る時の音や感触がついつい癖になるように工夫しましたから、それを楽しんでもらえるように仕掛けていきたいですね」

商品化までに1年半

「最も時間がかかったのは、たれを入れたふたにフィルムを付けることです。たれを含めた容器は柔らかく、圧力をかけることは考えられていませんでした。フィルム装着を容器メーカーさんに話すとすぐに断られました。」しかし容器の厚みや材質を変えることはできない。発酵状態が変わってしまうからだ。そこで圧力をかける温度や時間、深さなどを微量な単位で検証し、地道に適正数値を探り出した。商品化までに1年半。納豆の開発期間としては長い。完成時はスタッフ一同拍手喝采、感無量だったという。
「納豆に新しい付加価値を付けることが目的です。これからもおいしさに、楽しさと便利さも兼ね備えた商品開発に努めます。明るく楽しい食卓は、身体にいいものですから。」個性溢れる『金のつぶ』は、まだまだ進化する。

地域別の納豆市場

MD本部  製品企画部 製品企画5課 森田浩正氏

MD本部  製品企画部 製品企画5課 森田浩正氏

株式会社ミツカングループ本社
愛知県半田市中村町2-6
www.mizkan.co.jp

文|竹井雅美(編集部)

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