ホーム / Column / 少子化時代の子どもビジネス / キッズデザインの家づくり

キッズデザインの家づくり

三谷
これからのグローバル社会で生きていくのに必要なのは、そうした自ら考える力ともう1つ、コミュニケーション力だと考えています。
髙橋
その通りですね。私たちも、家族とのコミュニケーションをとりやすい家づくりを意識しています。例えば、キッチンからリビング、2階の吹き抜け上まで見渡せる間取りや、子どもが帰ってきて2階の自室に上がる前に、必ずリビングやキッチンを通る間取りなど、動線によって家族のコミュニケーションが自然に深まるように配慮しています。
三谷
弟がマンションをリフォームするときに、私の提案で、廊下と寝室3つの一部を寄せ集め小部屋を作りました。そこにはぎっしりと本棚が並んでいて、親の本も子の本もある。子どもたちはそこで本を読んだり、洗濯物を片付けたりしますが、この部屋の妙味は、そこを通らないと自分の部屋へ行けないことです。我が家では、2階の踊り場の壁の空いている面すべてに、薄型の本棚を設置し、トイレの壁にもCDや雑誌を見せながら収納しています。これは私が自分のためにやっていることですが、子どもも読んだり聴いたりしていいことになっています。小部屋をつくるのは大変ですが、こうした工夫なら簡単にできるのではないでしょうか。
髙橋
小さい頃に本に触れるのはいいことですね。本棚に親の本も混在させておくと、成長とともに手に取る本が変わっていくのがよく分かります。
三谷
だんだん近づいてくるんですよね。うちの娘も、自分のハリーポッターシリーズを読んでいた段階から始まって、中学生になると、私に「これ、面白いと思うよ」と自分の本を貸してくれるのです。私が普段読む本が分かっているから「お父さんは、こういうのが好きだな」と分かるのでしょう。
BUAISO
コミュニケーションというと、本を読んだ感想を話し合うといったイメージがまず浮かびますが、それだけではなく、貸すという行為を介してコミュニケーションをとることもできるのですね。
三谷
私がサーバーに管理している音楽データを、娘たちも自分の音楽プレーヤーにダウンロードして聴いているのですが、どうも、曲ごとの評価をまとめた私のリストも共有されているようなのです。娘が先日、「お父さんの星5個リストは、まあまあいいよね」と言っていましたから(笑)。うちの場合は、子どものために何かするというよりは、大人の趣味に子どもがいつの間にか巻き込まれている、と言った方がいいかもしれません。
そういうことも含めて、コミュニケーション力を向上させるために重要なのは、子どもにできるだけ多くの「異文化体験」を積ませることだと考えています。これによって他人に共感できるセンスを養うことができるのです。この点を意識して、我が家は人が集まりやすい家になっています。まず、先ほどお話しした昇り綱。登るだけでなく、小さい女の子が来ると、ブランコのようにいつまでも揺られています。男の子には、ゲームができる55型のテレビ、壁一面のマンガ。私はもともと、子ども同士で遊ばせるのが良い、大人が入るのはかえって良くないと考えていますし、今日、さまざまな安全性を考えると、外で遊ばせにくい状況があります。だとすると、徹底的に“遊べる家”にして、友だちに来て一緒に遊んでもらうのが良いのではないでしょうか。
髙橋
子ども同士で遊べる家、というのは良いと思います。大人は楽ですし、大きい子は自然と小さい子の面倒を見るようになります。私自身、子どもの頃、川で遊んで溺れかけた時に上級生に助けられ、命拾いをした経験があります。昇り綱については、私たちも、吹き抜けからではなく2階の勾配天井からですが、提案をしています。
三谷
実は福井の実家は、鬼ごっこができる家なのです。三谷家の本家なので、法事を考えると、30人くらいが集まる大きな家が必要です。ここに帰るだけで楽しい、そんな家にするためにはどうしたらいいか、と考えて出た答えが鬼ごっこでした。2階の納戸の両側に扉を付け、テラスも通り抜けできるようにして、回遊性を持たせました。小さい子が鬼になると、「誰も捕まえられない」と泣いてしまうほどです。
髙橋
私たちも、バルコニーなどは回遊性を考え、子どもが伸び伸びと安全に遊べるように設計しています。鬼ごっこまでは考えていませんでしたが(笑)。
また、家族ばかりでなく、友人や近隣・地域の方々、いろいろな人とのつながりをつくる家が必要ではないかと考え、人が自然と集まるプランを用意しています。例えば、家の外と内をつなぐ土間の役割に学び、近所の方が気軽に立ち寄れる土間リビング、自然を感じながらパーティーやティータイムを楽しめるウッドデッキなどです。
高橋司郎 株式会社LIXIL住宅研究所キッズデザイン研究所 執行役員所長。82年トーヨーサッシ株式会社(現 株式会社LIXIL)入社。08年より現職。家では7歳の娘の父

高橋司郎株式会社LIXIL住宅研究所キッズデザイン研究所 執行役員所長。82年トーヨーサッシ株式会社(現 株式会社LIXIL)入社。08年より現職。家では7歳の娘の父

三谷
我が家には毎年恒例の「お花見パーティー」がありまして、もう20年以上続いています。いわゆるオープンハウスで、私の友人知人、そのまた友人知人が、2日間で延べ100人から200人、食べ物、飲み物持参で集まります。娘たちは、食べ物、飲み物を運んだり片付けたり、お手伝いをするのですが、最大の収穫は「知らない大人たちと話す」経験でしょう。子どもの大人とのコミュニケーション能力を上げる方法として、ホームパーティーは最適だと思います。
土間に近いものとして、我が家は駐車場スペースのうち1台分をつぶして庭にしました。閉じていても中が見えるシャッターを設置した上、家に誰かいるときはシャッターを上げるようにしています。そして、カエルの置物などを置くのです。人通りの多い道なので、子どもが「何だ、このカエルは」とのぞいていく。ずっとその地域に住んでいますから、子どもたちの友だちも通ります。前を通った男の友だちが娘に「気になる子がいるんだけど」と相談を持ち掛ける。家の中には入らないで、1時間立ち話。何となく人が立ち寄れる場所になり得ているかな、と思います。こういうスタイルで心配なのが防犯面ですが、我が家は、完全に閉ざす防犯ではなく、オープンにして、何かあったら外から助けてもらおう、と考えています。
BUAISO
二人ともお子さんがいて、今日はお父さん同士の対談でもありますね。
髙橋
特に都会のサラリーマンの場合、父親が子どもと一緒に過ごせる時間は大変少ないのが現状です。そこで、せめて少ない時間を存分に楽しんでもらおうと、泥だらけの遊び道具をそのまま収納できる「玄関土間収納」や、どろんこでも、玄関からリビングを通らず、直接洗面所経由でバスルームに入れる「お帰りどろんこ動線」を提案するなど、さまざまな工夫をしています。
三谷
先ほど、お手伝いをさせることで自ら考える力が養われると言いましたが、もう1つ、お手伝いをさせる目的として、価値観の伝達があります。私の実家は八百屋でしたから、子どもの頃は山のような「家業手伝い」があり、それによって親を自然と尊敬するようにもなりました。本当は家業を手伝わせるのが良いのですが、私の仕事はコンサルタントでしたから、さすがに手伝わせることはできません。何とか父親の存在感を出そうと、我が家では、南側の一番いい部屋を「お父さんの仕事部屋」にしています。知人には、まるで司令塔のように、吹き抜けの上に仕事部屋を置いている人もいます。
髙橋
子どもの頃、私の母は「お父さんが帰ってくるまで、ご飯を食べてはいけません」と言っていました。父は地方公務員でしたが、畑仕事や日曜大工もやっていて、その手伝いによく駆り出されていました。迷惑でもありましたが、山の中でキノコ採りに行き「よく迷わないで歩けるな」とか、「魚をさばいて料理までしてすごいな」とか、今思えば、父の背中を見て育ちながら、自然に父親を尊敬するようになっていました。
三谷
次はぜひ「住むだけで自動的にお父さんの地位が上がる家」をつくってください(笑)。

子どもの就職力を高める「ヒマ・ビンボー・オテツダイ」習慣 お手伝い至上主義でいこう!

子どもの就職力を高める「ヒマ・ビンボー・オテツダイ」習慣
お手伝い至上主義でいこう!

三谷先生が実践した子育て論が詰まった1冊。実験台(?)の娘たちが証言するその成果とは?
プレジデント社発行・ISBN978-4-8883-1953-6 1400円(税別)
www.mitani3.com Twitter ID:mitani3

Newセシボ

Newセシボ

“こどもにやさしい は みんなにやさしい”をコンセプトに、子ども目線で家族を見つめた「家族の絆と夢を育む住まいを」提案。家族みんなが楽しく、ハッピーになれるアイデアがいっぱいです。詳しい内容やお問い合わせはwww.eyefulhome.jp まで

文:渡辺麻実

Scroll To Top