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【プレパラート】 最近の消費者動向~若者・女性・シニアの状況は?

世の中をスライスして覗き込む

【プレパラート】 最近の消費者動向~若者・女性・シニアの状況は?

消費者心理の動き
~増税後、盛り返すものの元は安倍政権発足前の状況に

 年末には消費税10%への引き上げの判断がなされる予定だが、4月の増税後、結局、個人消費は戻ったのだろうか。
prepa_2 まず、消費者心理の動きを確認してみよう。安倍政権発足以降の「消費者態度指数」の動きをみると、政権発足直後は消費者の新政権への期待感から、ぐっと上がっている(図1)。その後、昨年の春から夏にかけては高めで推移している。金融政策により市場が活性化したことで株高の恩恵を受けた層や、企業業績の改善により収入が増えた層が牽引しているのだろう。しかし2013年10月に、2014年4月の消費税8%への引き上げが決定したことで、「消費者態度指数」は低下している。増税後は夏にかけて盛り返すものの、物価の上昇に対して収入が伸びず、実質所得が減少していることなどから、9月は安倍政権発足前の状況に戻っている。
「消費者態度指数」を構成する個別指標の動きをみると、安倍政権発足以降、「雇用環境」と「資産価値の増え方」は比較的高めで推移している。この背景には、企業業績の改善や公共工事の増加により、昨年末に6年ぶりに求人数が求職者数を上回る人手不足となったこと、また、金融市場の動きは必ずしも安定的ではないが、依然として株高の恩恵を受けている層も多いことがあるのだろう。一方、「収入の増え方」や「暮らし向き」は政権発足以降も大きな盛り上がりはみせず、比較的低めで推移している。賞与や残業代などの臨時収入の増加はみられるものの、ベース賃金の増加はさほどみられないことが影響しているのだろう。

収入と支出の動き
~物価の上昇が収入の増加を上回り減少傾向

prepa_3 では、実際の収入と支出の動きはどうなっているのだろうか。二人以上勤労者世帯の実収入と消費支出の対前年同月実質増減率の推移をみると、いずれも昨年はプラスの月も多い(図2)。特に、消費支出は金融市場活性化の動きも受けて、春に大きく伸びている。しかし昨年の秋頃から、円安による原材料価格の高騰などにより物価の上昇が収入の伸びを上回ったこと、また、今年3月頃からは昨年ほどの収入の増加が見られなかったこと、さらに、4月の消費増税による物価高が拍車をかけたことで、実収入は実質減少している。

年代によって異なる動き
~若者は収入増・支出微増、シニアは収入減・消費増

prepa_1 実は、実収入と消費支出の動きは年代によって異なっている。図2に示した2012年12月から2014年7月までの二人以上世帯の実収入と消費支出の対前年同月実質増減率について、世帯主の年齢別に、この期間の平均値を計算した。要するに、年齢別に、アベノミクスが始まってから、実収入と消費支出が増えているのか、減っているのかをみると、世帯主の年齢が30歳未満の若年世帯では、いずれも増えている(図3)。しかし、収入の増分ほど支出は増えていない。30~40代では、いずれも減っている。一方、50~60代では、収入は大きく減っているが、支出は比較的大きく増えている。
 この背景には何があるのだろうか。若年層では、非正規雇用者も多く、景気による影響を受けやすいことがあるだろう。人手不足による時給の増加や、より条件の良い就労先の選択、企業業績改善による残業代や賞与の増加等の影響を受け、収入が伸びている可能性がある。一方で、非正規雇用という不安定な立場であったり、正社員でも過去と比べて将来の収入増が望みにくい状況もあり、収入が増えても全てを使ってしまわずに貯めておくという慎重な態度となるのだろう。
 高年齢層では、収入が減っているにも関わらず支出が増えている。この背景には株高の恩恵を受けている層も多いことがあるだろう。株式などの有価証券保有率は世帯主の年齢に比例して上昇する。30~34歳では13.6%だが、40~44歳では20.9%、50~54歳では25.3%、60~64歳では35.4%である1。保有率は、65~69歳の35.7%が最も高いが、70歳以上でも3割を超える。デパートでは宝飾品が売れ、ビジネスクラスやファーストクラスを使う高級旅行プランが売れているといったニュースは、株高の恩恵を受けたシニア層が牽引しているのだろう。
 このように、現在、年代によって消費動向は大きく異なる。これから、今後の若者やシニア、そして、働く女性が増え行く中で期待される女性についての消費動向をみていきたい。


1.総務省「平成21年全国消費実態調査」
2.久我尚子「若年層の結婚観~未婚化・晩婚化の一方で若者たちは結婚を望んでいる」、ニッセイ基礎研究所、基礎研REPORT(2012/12/25)
3.国立社会保障人口問題研究所「人口統計資料集(2014)」
4.前田展弘「高齢者市場開拓の視点~100兆円市場が求める商品サービスとは」、ニッセイ基礎研究所、研究員の眼(2012/12/27)
5.株式会社博報堂エルダーナレッジ開発 新しい大人文化研究所「新大人研レポートⅡ”新しい大人時代”の言われて嬉しい言葉」(2012/2/11)

顔写真_kuga久我尚子(くが・なおこ)

2001年、早稲田大学大学院終了後、株式会社NTTドコモ入社。2010年よりニッセイ基礎研究所。現在、生活研究部准主任研究員。専門は消費者行動、心理統計、マーケティング。内閣府統計委員会専門委員。著書に「若者は本当にお金がないのか?統計データが語る意外な真実」など。

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