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「Cook Medicalリーダーシップフォーラム2016 in Japan」開催リポート。ワーク・ライフバランスが取りにくい業界にも打開策はあるのか

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米国医療機器メーカー「クック メディカル」の日本法人「クック ジャパン」が、4月15日に都内で「働き方のイノベーション」をテーマにリーダーシップフォーラムを開催した。

近年、仕事と私生活両面の充実や企業の競争力の強化の視点からワーク・ライフバランス(以下WLB)が注目されているが、中小企業では従業員数に余裕がないため、こうしたWLBの実現には常に困難が付きまとい、特に従業員個人のスキルやネットワークに大きく依存するような仕事ではその傾向が顕著となっている。

例えば、クックのような医療機器の営業は、手術前後の持ち込み、手術立ち会い、緊急時対応など医師のスケジュールに合わせる必要があり、前もって計画を立てることが難しい。また、早朝や夜間に拘束されるなど勤務時間帯が不規則になる傾向がある。

一方で、企業が成熟した経済の中で競争力を維持していくためには、人材の能力を引き出し、離職を防ぎ、さらに新たな人材を集めることが、かつてないほど重要に。そこで、現在の働き方やその環境の課題を改めて共有・認識するとともに、本テーマに造詣が深い多彩なパネリストを招いて、参加者とともに考えるフォーラムを開催した。

パネリストは、多忙で競争の激しい金融業界にありながら元祖「イクボス」として自身や職場の働き方改革を進める三井物産ロジスティクス・パートナーズ株式会社代表取締役川島高之氏、二児の母であると同時に、日本の風土に合わせたワーク・ライフバランス施策提案に定評がある株式会社ワーク・ライフバランス共同創業者、パートナー・コンサルタントの大塚万紀子氏、10年の海外ビジネス経験から日本の働き方改革のノウハウを提示するノンフィクション作家・田中健彦氏の3氏。

ディスカッションはクックジャパン代表取締役の矢込和彦氏からの「川島さんは、経営業と父親業を両立されていますが、そのバランスを築いたきっかけは何だったのでしょう?」という質問から始まった。

川島氏は「よく聞かれることですが、逆に、なぜ父親業をやらないのか不思議です。子供を持った30代は総合商社でもちろん多忙でした。でも子供はかわいい。世話できることは親の特権。共働きなので家事・育児は親の責任でもあります。特権と責任から、父親業は当然やるべきとの意識です」との回答で、根本的な意識が異なることが分かった。

次に、管理職ながら母親として時短勤務をし、それでも会社設立当初からトップセールスを誇る大塚氏に「成果を出し続ける秘訣は?」と聞いたところ、「かつて、私は長時間労働をむしろ楽しんでいました。でも出産をきっかけに、改めて働き方を見直しました。そこで最も変わったのは、『時間は資源、しかも増えない』という視点を持ったことです。24時間にどう優先順位を付けるかを常に考えるようになりました」と、時間管理の意識をドラスティックに変えた経験が紹介された。

クックのバリー・トーマス氏(Cook Medicalバイスプレジデント)は、「皆さん、口を揃えて忙しいと言います。でも自問自答すべきは、“何に”忙しいのかということ。私たちは組織に価値をもたらす存在です。その忙しさは、効率的に価値を生み出しているアクションなのか、を意識しなければなりません。さらに、子どもたちにどれだけ時間を割いているかも重要です。未来を担う子どもたちは、私たちの未来でもあります。意識して時間と労力をかけなければなりません」とコメントした。

さらに、『フィンランド流 社長も社員も6時で帰る仕事術』という著書を持つ田中氏は、「海外の好事例を日本に応用するポイントは?」という問いに対し、「日本では、いくら効率的に働いても、自分だけ5時に帰るのは難しい場合が多いと思います。つまり、個人の力には限界があります。そこで重要なのがトップの意識。強い問題意識とリーダーシップのもと、職場の全員に、自分達に合うソリューションを自ら考えさせることが成功の秘訣です」と、自身の経験を共有した。

また、元祖「イクボス」の別名を持つ川島氏は、その名の由来について次のように語った。
「イクボスとは、部下のWLBを配慮し、自分のWLBも推進し、さらに業績も出す、という三要素を満たすボスと定義しています。2年前からNPO法人ファザーリングジャパンで提唱し、現在約400社がその同盟に参加しています。この活動の背景には、制度を導入しても運用が進まない理由に、男性管理職の意識が昭和モデルから変わっていないという問題があり、そこを変えるために始めました。実は、働き方の変革は今日の午後からできることばかりです。行動に移せるか否かは、経営者、管理職、担当者の全員がその必要性を認識しているかにかかっています。つまり、意識だけなのです! もっと言うと、僕らのようなおじさんは、“やりたいこと”を見つけることも大事ですね」

最後に、WLBを実現するメリットを各パネリストが一言でまとめた。

川島氏:「会社は儲かる、個人の生活が豊かになる、社会が活性化する。損する人はいますか? いいことしかありません」
大塚氏:「時代の変化に応じて、過去の人口ボーナス期(高度経済成長)から、今の人口オーナス期(労働人口減少、社会保障費増大)に合わせた働き方へ、飛び移ることを可能にします」
田中氏:「時代の変化に合わせて働き方のイノベーションを起こさないと、そのしわ寄せが必ず来ます。話題のTwitterになぞらえて“働き方変えろ、日本死ぬぞ”と言いたいですね」

クックのバリー氏は、「変革は簡単ではありません。でも、必ず変えることができます。そして、それをドライブするのは自分の行動です。仕事もプライベートも充実するほど成果を出しやすくなります。“何に”忙しいのかを意識した時間管理を今日から実践してほしいと考えています」と、効率を上げる必要性を再度述べ、大きな拍手とともにフォーラムを締めくくった。


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