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【ある女性経営者のグローバル視点】女性は「フラット」が気持ちいい?

【ある女性経営者のグローバル視点】女性は「フラット」が気持ちいい?

今号では、女性とヒエラルキーの問題を取り上げてみたいと思います。論点は、「女性」と「ヒエラルキー」は相いれないかもしれない、そしてそのことが、女性が社会において活躍する上で数ある阻害要因の一つになっているのではないか、という問題です。
一時、女性の間で「勝ち犬」「負け犬」論がちまたを賑わしたり、最近でも女性らしい行動ができる人とそうではない人を分ける「女子力」の高低という尺度が話題になったりしていますが、今回はそういうお話ではありません。わたくしがよくご依頼をいただき「女性の社会進出」といったお題で、皆様の前でお話しする時に、女性の社会進出を妨げる要素の一つとして必ず触れる事柄で、女性はフラットな組織が心地よいのでは? という話です。

子どもの頃の育ち方

女性も子どもの頃から何となく序列みたいなものを意識する場面はあるでしょう。「○○ちゃんの家はおもちゃがたくさんある」とか、ちょっとかわいい子が男子からモテたりとか。上述の大人になってからの「勝ち負け」に連続性がある部分もあるかもしれません。ただわたくしは、女性の場合には、男性ほどその「勝ち負け」が意識される場面がない、と感じるのです。
子どもの習い事の上位を調べてみると、地域によってかなりのばらつきはありますが、都心のある公立小学校全体での調査(n=407名)では、高学年になると男女ともに学習塾が上位に入ってくるものの、それ以外では男子はサッカー、スイミング、野球が、女子はピアノ、スイミング、英語が上位を占めました。
そして、親がその習い事に求めるもの、という質問では、男子の親がチームワークや協調性と答えたのに対し、女子の親は所作や集中力という回答が上位でした。
この結果から浮かび上がってくるものは、まず幼い頃からおかれている環境が違うこと、そして周囲から求められるものが違うということです。
男子は、参加するチームの中で敵チームに勝つという目標を掲げ、その敵と競争して倒すために、仲間と力を合わせて戦うという訓練を積んでいるということ。そしてスタープレーヤーは一目おかれ、リーダーシップがある子はチームをまとめる役割を期待される一方で、下手であれば2軍やベンチを余儀なくされる、という階層社会。したがって、1軍の座を勝ち取ろうと努力もすれば、自分はここでは活躍できないから別のスポーツをやろうか、と別の選択肢を選んだり、はたまた守備でのポジションやチーム内での役割など、自分の位置付けを否応なく考えながら育ちます。また監督やコーチから厳しく叱られるという経験をする場合も多いかと思います。
翻って女子の習い事の代表格であるピアノを例にとってみると、全員が等しく発表会での出番をもらい、きれいな衣装を着て銘々が主役になれます。もちろん弾く曲の難易度で上達具合は判明しますし、上手な子がトリを飾ったりもするのですが、それもあまり露骨に外から見えないようにする場合が多いように思われます。上記ランキングの次点の4位に挙がったバレエでも、いわゆる踊りの巧拙により「選ばれし人」が出てくるのは小学校の高学年くらいからで、それまでは同じ衣装を着せて、集団内で個が目立たないような形で発表されることが多いようです。女子は一人だけ名指しで叱られるということも、男子のチームプレー内での叱咤や罵声に比べれば少ないように思います。
このように幼い頃から男子はヒエラルキーを意識せざるを得ない環境で育ち、また親もそこでチームワークが身につくことを期待するのに対し、女子は序列がそれほど顕在化しないように扱われながら育っていく例が多いように感じます。

中高生になって

中高生になると、この傾向がますます助長されるように思います。教育ジャーナリストのおおたとしまさ氏によると、東京近郊に多い伝統的な中高一貫の男子校と女子校とでは運動会の行い方に特徴があるそうです。

ほとんどの男子校は、学年を縦割りにした「組対抗」で争う。高3が中1を指導したりする。共学でもほとんどこの形式だろう。しかし少なくない女子校で、運動会を「学年対抗」で行う。高3と中1がリレーで競ったりする。勝負は見えている。それでは面白くないのではないか。しかし女子校の教員によれば、女子は、勝ち負けよりも、自分たちのチームワークを高めることに重きを置くから、学年対抗のほうが盛り上がるとのこと。ある女子校では縦割りでの運動会を実施していた時期もあったが、「つまらない」と生徒から不評を買い、結局学年対抗に戻したという。男子は「命令」によって縦型の組織を作るのが好きだが、女子は「共感」によって横型の組織を作るのが好きということだ。
(PRESIDENT Online『名門校はいかにして名門校になったのか【1】』 より)
歴史的にこの形に落ち着いたという同氏の指摘が正しいとすると、一年の中でも生徒が注力する運動会という行事において、男女の性差に基づいて各々が心地よい「最適な形」が形成されたというのは象徴的な話のような気がします。


竹内 明日香(たけうち・あすか)
日本興業銀行(現みずほFG)にて国際営業や審査等に従事後、2007年独立、海外向けに日系企業の情報提供を開始。2009年にアルバ・パートナーズを設立し、国内企業の海外事業支援と情報発信支援(プレゼンサポート等)を提供。2014年12月に次世代の世界での発言力向上を目指す一般社団法人「アルバ・エデュ」を設立。音羽の森オーケストラ「ポコアポコ」(アマチュアオーケストラ)主宰。東京大学法学部卒業。日本証券アナリスト協会検定会員。

 

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