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【AS TIME GOES BY】 月影~Moonlight~

【AS TIME GOES BY】 月影~Moonlight~

 月が近い。

 東京の高層ビルを定規にして、満月の大きさを計る。ほぼ無意識の中ではあるが、窓の外を眺めた時のルーティンワークになっている。月影はいくらか膨張している。

 先日、久しぶりに離島に滞在した。人里離れた漆黒の闇。月の明かりがくっきりと自身の影をつくる。深夜といえども光源が数多ある都会では、月光から生じる影を意識することはない。地方で暮らしていた時には自然な感覚も、都市生活が長いと失われてしまう。

「地方」の定義は難しいが、私の脳内では「月による影がはっきりと現れる地域」と勝手に変換している。来年4月の統一地方選挙では「地方経済の活性化」が焦点の一つだ。

 地方は数あれど、気になるのは島々の経済活性化だ。「本土」も含めて日本は敷島。島なくして、日本の浮揚はあり得ない。7千弱の島々すべてを対象にするのは現実ではないので、まずは中核島を選び、生産年齢人口の減少を食い止めることが先決だ。

 従前から、国土交通省が所管する離島振興法によるインフラ整備やアクセス網維持支援、経済産業省が支援する島興しなどの地域振興策が存在するが、先細り感は否めない。観光振興にも私は懐疑的だ。一定規模までは国内外の観光客は見込めるかもしれないが、島内に余程のキラーコンテンツがない限り、島間での差別化は難しい。

 日本のODA(政府開発援助)もインフラ整備主体から、途上国の若手リーダー育成支援に一部シフトしつつある。離島振興は若手を育てる活動や若手が担う事業に支援の重心を移す頃合いだろう。加えて、新しい輸送技術を積極的に離島に展開することが国全体の産業発展に寄与するはずだ。国産リージョナルジェット(MRJ)やホンダのビジネスジェット、水素燃料エンジンによる環境型の高速船などを国策として離島アクセスに優先投入することで、時間距離を圧縮することは離島への側面支援になるだろう。社会保障費に膨大な国費を投入しながら、離島における生存権に影響する交通アクセス網の改善に抜本的に取り組まないのはナンセンスである。

 ある島での話だが、中学校を卒業すると4割が島外の高校に進学するそうだ。この時点で多くの若者が島を去ってしまう。従来型の通信教育ではなく、4K映像も含めたICTをフルに活用した質が高く、安価であるインタラクティブ教育システムの提供が若者の流出抑制のために求められている。本土4島、沖縄本島を除いた離島の人口は全国比0.33%(平成23年)にすぎない。しかし、担う水域や離島独自の風土・文化は無比の存在である。

 さて、今年は7月8月9月と連続3回のスーパームーン、10月8日には日本全土で皆既月食がみられ、月尽くしの1年だ。年に3度のスーパームーンは2034年までお預け。その時にも日本が敷島で在り続けられるか、結果は出ているはずだ。


大洗海岸写真:大森通明/アフロ

文|本丸達也(発行人)

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