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【ある女性経営者のグローバル視点】プレゼンテーション(2)~『アナと雪の女王』は日本だけが「薄い」?!

ある女性経営者のグローバル視点

【ある女性経営者のグローバル視点】プレゼンテーション(2)~『アナと雪の女王』は日本だけが「薄い」?!

空前のヒットとなっているディズニー映画『アナと雪の女王』。無題2010年の『トイ・ストーリー3』の興行成績を抜いてアニメ映画の堂々第1位を塗り替え、実写含めてトップの『アバター』(2009年)も超える可能性が囁かれています(右図にある順位は執筆時の4月28日現在)。
その主題歌『Let It Go』を各国で吹き替えた女優さんたち23人が順にワンフレーズずつ歌う『Let It Go (25か国バージョン)』が、ネット上で話題を呼んでいます。各国で似た声色の声優さんを集めたからなのか、あたかも一人の人が一曲の歌を少しずつ別言語で歌い上げているようにも聞こえます(実際の吹き込み風景も映っているものがYouTubeにもアップされていますので、ぜひご覧になってみてください)。英語、フランス語、ドイツ語と進み、日本語はサビで登場するのですが、何度聴いてもそこの部分だけがなぜか薄く平たい感じに聞こえるのです。担当した松たか子さんだけとりわけ声量がないということではないのですが、薄いのです。なぜか。
これは常日頃お客様のプレゼンのサポートをする際に感じていたことと何か関係があるかもしれないと思い、調べてみました。

1.日本語が平たく聞こえるわけ

仕事上で、カンファレンスや説明会の場で発言されるスピーカーの方には「自信を持って、通る声でお話しくださいね」などとお伝えすることが多いのですが、これが口で言うほど容易ではないのは承知です。これは以前の号でお話ししたように、日本人には人前でズカズカ発言するという教育を受けていないという背景があるものと考えていましたが、さらに複雑な要因があるように思い、今次執筆にあたり、関係のありそうな分野の方にヒアリングしました。以下三点が仮説でした。声が通らないのは①日本語のせいか、②日本人の声の出し方なのか、③日本人の声そのもののせいなのか。

①日本語が原因か?

なんとなく平たく感じるのは日本語という言語の特性が理由か、という仮説に対して、まずは日本語がどこから来たのか、という点から簡単に調べました。日本語の起源については古くは「朝鮮語」や「アルタイ語」との関係性が強調され、今ではそれらを否定する形で論争が数多ありますが、どうやら日本にある土着の古語に海外からどんどん単語が輸入されて形成された孤立語であるというのが現在では多数説のようです。そして日本語は発声法の観点からも、口の筋肉を駆使してはっきりとした子音や深い母音を発する欧米の言語とはもちろんのこと、喉の奥を使う深い発音もある韓国語や中国語とも異なり、かなり独特な言語として完成されたというのが事実のようです。

②日本人は声が小さい?

米国人に、「アジア人は何人か分からなくても、声の大きさで判断できる。一番声が小さいのは日本人だ」と言われてそんなものかなと思ったことがあります。そう言われてみれば、お隣韓国との文化的な違いを実感するお葬式の悲しみ方や謝罪の仕方等を見るに、日本人と違うところは感情表現のみならず、その声の大きさかもしれない、と感じます。ユーラシア大陸の一部を形成し、乱の歴史に翻弄された中韓とも違い、日本という島国で守られた民だから大声を出さずに済んだからなのか、大声を出すことがそれほど良しとされない文化だからなのか、とにかく腹式呼吸で話すことも、口の筋肉をさほど動かすこともなく過ごしてきてしまったという事実だけは確かです。日本人が中韓の二国民に比べて外国語が不得意という事実も、教育というよりはこの言語や発声の特性によるところが大きいのかもしれません。乳幼児が泣いているのを聞くと、日本の赤ちゃんたちも腹式呼吸で大きな声で泣くわけで、成長の過程で変わるのでしょうか。不思議です。

③声帯が原因?

日本人の若者が楽器のコンクールやバレエなどで国際的な受賞の常連となるようになって数十年が経ちましたが、「声」に関係する日本人の声楽家や歌手が海外で活躍する例は限られているように思います。それは声量というものは他の分野に比べ、ある程度持って生まれたもので、その声量を司るのは喉にある「声帯」に規定されるからなのだそうです。声帯が太く厚い方が朗々と歌うのには適しており、訓練ではどうにもならない部分が多い、と。
バリトンドクターとして知られたはぎの耳鼻咽喉科の故・萩野昭三先生は、声帯をビデオで診断する医師として多くの歌手や声楽家が喉を痛めた時の救世主だったそうで、日本人の声帯を数多くご覧になった方でした。日本人は他の民族に比べて体が小さいこともあり、その声帯は短く薄く、それがまた世代を超えて遺伝しているのだそうです。
外部環境もあり浅い発声で済む日本語を話しているうちにそのような声帯になったのか、声帯の作りに心地よい発声をするうちに日本語が形成されたのか、鶏と卵の関係かもしれません。いずれにしてもこれは世界で戦うオペラ歌手などにとっては非常に厳しいお話で、他の分野の音楽家に比べても非常に苦しい戦いを強いられるわけです。


竹内 明日香(たけうち・あすか)
日本興業銀行(現みずほフィナンシャルグループ)にて国際営業や審査等に従事後、2007年に独立し、海外向けに日系企業の情報提供を開始。2009年にアルバ・パートナーズを設立し、国内企業の海外事業支援と情報発信支援(プレゼンサポート等)を提供。東京大学法学部卒業。日本証券アナリスト協会検定会員

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