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実践サバイバル投資術 出遅れ感ムクムク:儲け損なったら喜ぶべし?

実践サバイバル投資術 出遅れ感ムクムク:儲け損なったら喜ぶべし?

損した気持ちがムクムク?

「あ~なんか損した気分。最近は儲かった話をよく聞くのでちょっと悔しい!」
 昨年11月の衆議院解散から日経平均は4割超もの上昇となった。この連載を読んでいて「10月末に買って春に売る」という投資戦略を実践していれば、ホームラン級の大成功だったことになる。相場が動き出した後の本誌12月号を読んだ後で投資しても、たいていの株なら3割から6割も上昇していた。なにせ、ほぼすべての銘柄が上昇する「サル・ネコ相場」(サルでもネコでも、投資さえしていれば簡単に儲かる上げ相場の意)だった。「手持ちが少なくて…」は自分への言い訳に過ぎない。eワラントのコールを使っていれば、お小遣いは倍増していたはずだ。
 それでも、大部分の方は「あ~、買おうとは思って気になっていたんだけど、なにかと忙しくてね。でも、やっぱり買っておけばよかったな」という状況に違いない。首尾よく儲ける事ができた方でさえ、「なんでもっと買っておかなかったんだろう。そうすれば〇〇が買えるぐらいの儲けが出たのに」と考えているはずだ。なぜそう言えるかというと、「相場とはそういうものだから」。全員が買い出動していたら、その瞬間に相場は天井を付ける。相場が半年間上がり続けたということは、徐々に市場参加者が増えてきた、あるいは注ぎ込まれたお金が増えてきた状況といえる。

出遅れてあせる状況がもっとも危険

 実はムクムクと出てきた「出遅れて損をしてしまったかのように思ってしまう感情」が投資パフォーマンスの最大ともいえる難敵である。実際は何もしていないのに、「儲け損なった」と思うのはあくまで後講釈にすぎない。株価チャートを見て、「なんで、ここで買って、ここで売れないの」などと投資運用者を責め立てる困った運用依頼者のようでもある。
 自分で投資して何回も手痛い目にあうと違う見方ができるようになる。「実際の損失」と「儲け損なった」のは雲泥の差があるのだ。一般的なプロ運用者なら、運用指標(ベンチマーク)に対して運用成績が比較されるから、極論すれば儲かっても損してもベンチマークと同程度であれば良い。一方、世界の株式や商品相場が同期する(リーマンショックのように下がるときは全部下がる)状況で個人投資家が目指すべきなのは、どんな状況でも大きく負けない「サバイバル投資術」である。この観点から見れば、実際に損失を被ればお金が減っているマイナスな状態なのに対して、儲け損なった状況はプラスマイナスゼロであって、あせる必要は全くないのだ。逆に、次に動ける資金を温存できただけ上出来と言っても良い。繰り返し説明しているように、相場の大きな波は7年から10年の周期で来る。今回は相場初期のサル・ネコ相場を逃したとしても、また何年かすれば同様の状況がやって来る。その時に役立つ教訓を授業料を払わない(損失無し)で今回は勉強できたということだ。「兜町には明日もある」(チャンスはいくらでもある)は繰り返し唱えるべき投資マントラなのである。
 これを「損した気がする」とか「乗り遅れた」と思ってしまうと、通常以上の大きな儲けを狙ってリスクが過大になったり、ちょっと前なら投資を考えもしないような対象に手を出してしまったりしがちだ。また、どうしても希望的な観測を持ち、都合の良いニュースしか耳に入らなくなる。

アベクロ相場の第二波と
インテリトラップ

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 通常の大相場と同じ展開を歩むとすれば、これからアベクロ相場は数ヶ月の調整を経て、各セクターが順繰りに上昇する循環物色が始まると考えられる。その後、3つの増税の影響で天井を付け、自信家の投資家が大損することになる「インテリトラップ」から大暴落へと進む可能性が高い(図参照)。もちろん、その間に、戦争や大災害がなければという前提付きだ。
 そこで、これから投資機会を探すのであれば、第二波の上昇で投資テーマになりそうな銘柄を株式やeワラントで今年の夏から秋にかけて仕込み、実際に雑誌や新聞で株価急騰が大きく取り上げられるようになったら売却を考えるといった手法が効果的と思われる。具体的なテーマとしてはおそらく下記のようなものが何度も繰り返し話題となると予想する。

.首都圏の土地や株式を多く保有する企業の株式
.円安進展なら自動車、機械、電機、鉄鋼などの主力株
.メタンハイドレートやレアメタルなどの海洋資源関連株
.日露関係改善で恩恵を受ける天然ガス、北海道、電力輸入関連株
.業績が大きく改善すると思われる東証1部や2部の中小型株
.iPS、3Dプリンター、クローンといった先端技術関連株
.日本国内の軍需関連株

 なお経験則から言えば、第二波で儲ける事以上に重要なのが、消費増税と相続税の引き上げの後には、いかに相場が堅調で、大きな儲けが出ていて、自分を「投資の天才」だと思うようになっても、粛々と投資ポジションを縮小し、その後の大波乱に備えることだ。強欲がムクムクと出てくると危険なのである。

シナリオ2:日銀が非公開の為替・株価ターゲットを狙っているとしたら

 4月初めの黒田新総裁の為替介入ばりの「すべて2倍という次元の違う金融緩和」からすると、バブルにつきものの「今度ばかりはいつもと違うかもしれない」という考えが海外のヘッジファンドを中心に共有され始めている。黒田総裁は物価をできるだけ早く2%上げると断言しているが、国内のエコノミストの多くは「できっこない」とタカをくくっている。しかし、相手は日銀だ。自国通貨を無制限にばら撒くことができるのを甘く見てはいけない。通常の金融緩和や公共投資で物価が上がらないと考えたとき、日銀は大幅な円安による輸入インフレと株・不動産上昇による資産インフレを狙ってくるはずだ。この場合、為替や株式で大多数の塩漬けポジションの損益がプラスになる2007年当時の125円/ドル、日経平均18,000円という日銀の非公開の目標が存在する可能性がある。また、昨年11月からの値動きで、為替が円安が5 円進むと日経平均が約1,000円上がるという関係とも整合的だ。
 日銀のこのターゲット達成に邁進するなら、ちまたの弱気エコノミストたちに勝ち目は無い。輸入物価だけで1ドル80円の時から5割も上昇し、株高・不動産高で巨大バブルに一直線に突入することになる。なお、バブルの匂いのする時こそ、キャッシュを手厚く持って備えるというサバイバル投資の鉄則は守りたい。とすれば、投資予算の3分の1程度で日経平均コールやETFを保有し続け、果報を寝て待ちながらも国内外の突発ショックに備える手法が効果的となるはずだ。
(念のため付言すると、上記は筆者の個人的な見解であり、eワラント証券の見解ではない。)


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土居雅紹(どい まさつぐ)
eワラント証券株式会社COO。CFA協会認定証券アナリスト、証券アナリスト協会検定会員。1964年静岡県生。88年一橋大学卒業後、大和証券入社。証券アナリストとして活躍。93年米国ノースカロライナ大学経営学大学院にてMBA取得。大蔵省財政金融研究所などを経て、ゴールドマン・サックス証券へ。00年同社でeワラントを開発・導入。11年8月より現職。時代に合った投資方法を研究、その分析力には定評がある。

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