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【ある女性経営者のグローバル視点】その空欄、必要ですか?

空欄は「空欄」を埋めるために作られていたりしない?

私、ちょっと今、怒っているんです。

何故って?この時期は年度の変わり目で、お役所の申請やら税務の申告やら学校の書類やら、とにかく書き込まないといけない書類が多いのです。
その書類の記入欄を埋めながらいつも思うこと。何のためにこの記入欄がそこにあるのか?何度も繰り返し同じことが聞かれてはいないか?もしかしてA4のこの紙で、これだけしか記入欄がないと格好が付かないから、その「空欄」を埋めるための空欄を作ったりしてるんじゃないかとまで思えるほど、空欄や枠があまりにたくさんあり過ぎるように思うのです。
作る側は、恐らく何の悪気もなく、むしろ丁寧に聞くことが良いことだという思いに駆られて書類を作っているのかもしれません。お役所の役人さんも、学校の先生方も、お医者さんも、「でもこれだけは大事なんです」「確認する必要がある」っておっしゃるでしょう。でもそのことによって、誰かのなけなしの時間が奪われている、ということに気付いていただきたいのです。特に世帯員が複数の場合、そうした書類の記入は、一家の中で女性が負担していることが多かったりしないでしょうか?
もちろん疲れた時にキコキコ書類に記入するのが息抜きに感じられる方もいらっしゃるとは思うのですが、パソコン入力が主体になってしまった今の私には、この手書きの作業は苦痛でしかありません。拙宅には、子供が上は小学4年生から下は0歳児まで3人おりまして、結構切実な状況です。ある時、「そうだ!」と気付いて、住所やら家族の名前やらのハンコをハンコ屋さんで作って書類にパコパコ押すようになりまして、幾分かは勝ち誇った気分にはなったのですが、やはり根本的な問題は解決されていないと感じます。年度初めを控えて、新年度の「持ち物への記名」という行為もこれまた相当な負荷がかかる分野です。子供の持ち物だけではなく、外で介護サービスを受けられているご家族をお持ちの方も、衣服や持ち物への記名が大変だと聞きます。
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学校という名の負担

申し上げたいことは多々あるのですが、以下は学校に話題を絞って考えたいと思います。まず学校で配られる資料やプリント。物事には軽重がなくてはいけないのに、学校からはすべて同じサイズで同じように配られます。これらすべてに目を通してようやく大事なものを判別し、その中で、何日までに工作のために道具を持参して、何日までに集金があって……。幼稚園、小学校低学年の間までは少なくとも親の時間の多くを取られる部分です。集金はひどい時には一円単位で(おつり不可!)、しかも時期はランダムにあります。
保護者会についても、これまた公立の小学校では各学期に2回ずつあります。これは平日の昼間です。一般的なPTA活動も親がボランティアで時間を捧げることになります。私立小学校の中には、保護者が草むしりをしたり、学校を掃除したりするところもあると聞きます。これらが平日だった場合は、もし親が働いていれば会社を休んで対応しなくてはいけないでしょう。愛校心や団結力を高めなければならないが、もう少し時間帯もやり方も違っても良いのではないかと思う部分が多々あります。
今回、執筆するにあたり、海外の友人たちにヒアリングをしましたが、先進国計5カ国のうちすべてが、学校の保護者会は平日の夜間か週末に開催という回答でした。日本では保護者会が平日の昼間に行われているという話をすると、「そんなことしたら大問題になるね」という反応も多くありました。もちろん、先進国であっても、財政状況が厳しく教育予算が削られた米国の州では、音楽の授業がなくなったために親が代替教員になっているという話まであるようですので、一律の教育を享受できている我が国の教育制度は素晴らしい面ももちろんあるのですが、教育の「周辺」と呼べる部分では、日本の常識が先進国間での非常識となっている面も多いように思います。

女性の労働力を活用という前に

日本の25~39歳の女性の就労率の落ち込みは、諸外国に比べて低水準である旨、以前の号で触れましたが、ここ20年の推移を見ると、下の図のように確実に労働市場への女性の復帰が見られます。2013年には90万人増えたといわれる非正規雇用者の8~9割を女性が占めたともいわれます。
こうした就労形態の柔軟化や、政府の後押しもあり、女性の社会進出が少しずつ加速してきているように感じます。ただし、職場の側がいくら変わっても、これまで「女性=家を守る人=無償労働力」という図式に依拠して成り立ってきた社会環境そのものまで変えない限り、ただ職場に駆り出すのでは女性の負担が増すだけであるように思います。
この図の25~39歳という世代は子育て中の女性も多いと思いますが、会社での拘束時間が長く、帰宅が遅い方もいらっしゃると思います。また、短時間勤務にしたり、あるいは出産を機に専業主婦となった方であっても、子供が起きている時間は子供のお世話や宿題の相手をするために時間を取られた上、保育園・幼稚園や小学校からの手紙を読んで処理する時間、書類を記入する時間、翌朝の朝食やお弁当のための冷蔵庫の食材チェック……っと時間を取られていくうちに、必然的に睡眠時間が削られて……、というケースも多いのではないでしょうか。
家電の進化によって、家事の多くの部分で自動化・機械化が進みました。ロボット掃除機や食洗機が活躍しているご家庭もあることでしょう。世帯収入が増えれば、さらに家事代行や家庭教師の採用など、アウトソースできる世界も広がるでしょう。ただし、これらを「ハード」な側面だとすると、「ソフト」部分にあたる書類記入などは、なかなか規格化できる部分がなく、個人で抱え込むしかないことが多いように思います。
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竹内 明日香(たけうち・あすか)
日本興業銀行(現みずほフィナンシャルグループ)にて国際営業や審査等に従事後、2007年に独立し、海外向けに日系企業の情報提供を開始。2009年にアルバ・パートナーズを設立し、国内企業の海外事業支援と情報発信支援(プレゼンサポート等)を提供。東京大学法学部卒業。日本証券アナリスト協会検定会員

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