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シャープが開く新たな扉

昨年11月16日、17日、大阪市とシャープ株式会社(以下、シャープ)は、行政と民間企業が連携した新たなイノベーション創出に向けた取り組みとして「CoCreation Jam(コ・クリエーションジャム)」を大阪イノベーションハブにて開催した。民間企業から提供された創作のテーマとなる製品をもとに、これまでには存在しない新たなサービスや価値を生み出すことを目的として、アイディア創出に加え、対象製品やクラウドと連携したオリジナル電子機器・アプリケーションの試作に取り組むイベントである。本イベントに参加した、ロボット家電COCOROBOのクラウド技術の開発を担当するシャープの松原敬信氏(研究開発本部クラウド技術開発センター第一開発室副参事)と竹内正樹氏(研究開発本部クラウド技術開発センター技術企画室係長)に新しいものづくりの形について聞いた。

はじめにココロありき

 主役はお掃除ロボット、COCOROBO(ココロボ)。ロボット家電と銘打っている通り、ロボット機能が特徴だ。自身で考えて行動し、スマートフォンからの指示により家電をコントロールでき、人と対話する。この人工知能「ココロエンジン」を核として掃除機能が搭載されている。家電という枠組みを超えてココロを持つ家族の一員としての位置づけだ。
「ロボット家電なので、家族の一員、パートナーとして愛着のある存在として特化していく方向性で開発してきました。『きれいにして』と声をかけると『ワカッタ!』と踊りながら返事をしたり、ダストボックスが満杯だと『クルシイヨ~!』とうめき声を出したり、外出先からCOCOROBOを介して家電のスイッチを操作したり、人工知能の活用やホーム機器との連動といったインタラクティブなコミュニケーション機能を重視しています。丸みを多用した愛らしいデザインであるせいか、COCOROBOに名前を付けて家族のように呼んでいるお客さまもいらっしゃいます」(松原氏)
 とはいえ、お掃除機能も手を抜いてはいない。日本の住環境に合わせた独特の進化を続けている。フローリング、畳、じゅうたんといったあらゆる床に適応できる長年の掃除機ノウハウが活きている。日本人のきれい好きは世界でもよく知られている。「クリーン・ジャパン」はサプライズを伴うポジティブ評価だ。空調機器のダイキン、プロ向け厨房機器のホシザキなどクリーンを武器に進撃中の日本企業は枚挙にいとまがない。清潔な環境で暮らしたいという人間の根源的欲求を満たすかぎりにおいては、ガラパゴス化へは向かわない。「ロボット×きれい好き」、世界に誇る日本の優位性を大いに深掘りしてほしい。

ココロ、ココ二、アラズ?

 COCOROBOの一部機種ではクラウド機能が注目だ。ココロエンジンはハードウェアに内蔵されているが、クラウド機能を調整することでサービスの追加やアップデートを容易に行うことができる設計である。ココロが機器内のみならず、クラウド上にも存在するイメージだ。
「この冬の新製品であるRX-V200はクラウド機能を強化しています。本イベントでもクラウド環境に接続してサービス提供するインタフェースを一部開放しました。今回、インタフェースが全面開放ではなく、部分的な開放であるのは理由がございます。ハードウェア内部の機能、例えば移動機能やカメラ機能、各種センサー機能などは移動の安全性や情報セキュリティ保持の観点から開放は見送っています。なにぶん、我々も初めての取り組みですので、制限された環境でまず一歩を踏み出し、様子を見ながら徐々に歩みを速めていく予定です」(松原氏)

クラウド機能を搭載した最新型のRX-V200

クラウド機能を搭載した最新型のRX-V200

 家電製品とクラウド・コンピューティング・サービスは親和性は高いが、製品ライフサイクルが異なる。クラウドサービスは一度始めるとなかなかサービスを止めることはできない。家電を積極的にクラウドサービスの生態系に組み込んでいくという覚悟の表れであろう。
「製品・サービス開発において、もはやクラウドサービスとの接続は無視できない流れだと思います。広くあまねくマスをターゲットにする部分は製品の基本機能で補い、個々のターゲットはクラウド側での追加機能でユーザ要求を満たします。例えば、見守りサービスの場合、ペット、小さなお子さま、高齢者を対象として、おおよその機能要求が同じでも、細部が異なります。この狭くなったターゲットを可能な限り、クラウド側で適応することが理想です。多様な専門家が集うこのようなイベントで期待していることの一つは、我々が気付いていないターゲットニーズを掘り起こすことです」(松原氏)


文|本丸達也(発行人)

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