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【プレパラート】 アベノミクスで活性化する消費市場、一般世帯の実態は?

【プレパラート】 アベノミクスで活性化する消費市場、一般世帯の実態は?

アベノミクスで活性化する消費市場

 昨年末の政権交代以降、高級時計や宝飾品などの高額消費を中心に消費市場が活性化している。百貨店の売上高は増加傾向にあり、特に6月の増加率は大きい(+7.2%)。また、売上高を品目別にみると、「美術・宝飾・貴金属」や「身のまわり品(靴やアクセサリー、バッグ等)」、「食堂・喫茶」は前年同月比プラスが続いている。
 また、外食産業も回復基調にある。売上高は5月以降、利用客数は3月以降で前年同月比プラスが続いており、「ファミリー・レストラン」や「ディナー・レストラン」を中心に上向いているようだ。これら消費意欲の高まりに加え、夏のボーナスも増加している。円安により自動車・部品などの輸出関連産業で業績が改善し、多くの業種で支給額が前年を上回った。
 アベノミクスの経済効果はじわじわと出ているようだが、一般世帯の家計収支にはどのような変化があらわれているのだろうか。

勤労者世帯の収入の状況

 12月以降の勤労者世帯の実収入は、2月以外は前年同月比プラスであり、3月以降は毎月2%前後増加している。なお、勤労者世帯の実収入は賞与月をのぞくと約8割が世帯主の勤め先収入によるものだ。また、世帯主の勤め先収入は定期収入や臨時収入、賞与からなる。定期収入は3~4月にわずかに増加している以外は減少しており、12月から6月までの前年同月比の平均値は若干マイナスとなる(△0.8%)。一方、臨時収入は2月以外は増加しており、賞与は6月の対前年同月比をみると+6.1%も増加している。
 ところで、勤労者世帯の実収入のうち1割程度は世帯主の配偶者の収入によるものだ。配偶者の収入は2011年11月から19ヶ月も連続して増加しており、配偶者を女性に限ると20ヶ月連続して増加している。
 よって、政権交代以降、世帯主の臨時収入や賞与の増加により勤労者世帯の収入は増えており、より長期的なスパンでは、配偶者の収入も勤労者世帯の収入の増加に影響を与えている。

年齢別にみた収入の状況

 世帯主の年齢別に勤労者世帯の実収入をみると、30歳未満(12月から6月までの前年同月比の平均値は+8.0%)と40歳代(+2.4%)の世帯では増加傾向がみられるが、そのほかの年代では上下しており一定の傾向はみられない。
 30歳未満の世帯における増加は世帯主の定期収入と賞与、配偶者の収入の増加によるものだ。世帯主の定期収入は4月以降、前年同月比+10%前後で推移している。賞与は6月の前年同月比が+53.8%と、昨年の約1.5倍に増えている。30歳未満の若年世帯では景気の影響を大きく受けているようだが、この背景には若年層では非正規雇用者が多いことがある。周知の通り、非正規雇用は契約社員や派遣社員、パート・アルバイトなどの臨時的な雇用形態であり、経済情勢の影響を受けやすい。なお、30歳未満の世帯では配偶者の収入も増加傾向が続いているが、これはいずれの年齢でも同様である。
 一方、30歳代以上の世帯では世帯主の定期収入がやや減少しているが、臨時収入や賞与は増加している。それぞれの増減率の違いにより実収入全体の状況が異なり、40歳代では定期収入の減少に対して賞与の伸びが比較的大きいため、実収入全体が増加している。一方、30歳代や50~60歳代では各収入項目の増減が相殺されることで実収入全体では大きな変化がない。


kuga久我 尚子(くが・なおこ)
株式会社NTTドコモを経てニッセイ基礎研究所入社。生活研究部門研究員。専門は消費者行動、心理統計学、金融マーケティング。早稲田大学大学院(工学)・東京工業大学大学院(MOT:技術経営、学術)修士課程修了。東京工業大学大学院博士課程在籍(学術)。

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