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【プレパラート】アベノミクスで注目される女性の活躍、働き方や消費の現状は?

働く女性の収入

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前述の通り、20~40代の女性では正規雇用者と非正規雇用者がそれぞれ半数程度を占める。雇用形態別に女性の年収をみると、正規雇用者の年収は年齢とともに緩やかに増加するが、非正規雇用者は年齢によらず同様である(図2)。よって、年齢とともに正規雇用者と非正規雇用者の年収差はひろがり、40代後半ともなると正規雇用者の年収は非正規雇用者の2倍近くになる。また、男女の年収を比べると、いずれの雇用形態でも女性の方が少なく、その差は年齢とともに拡大する。また、男女差は非正規雇用者より正規雇用者の方が大きい。これは、いわゆるガラスの天井という昇進における男女差という問題もあるかもしれないが、男性の正規雇用者は学校卒業後に就職した企業で継続就労して順調にキャリアを形成している者が多い一方、女性の正規雇用者は結婚や出産で一旦退職して再就職した者も少なくないことがあるだろう。
なお、この10年、景気低迷の中で男性の収入は減少しているが、女性の年収は変化がない。正規雇用者が多く年収水準が高い男性では景気悪化の影響を受けやすいが、非正規雇用者が多く、正規雇用者であっても再就職者が混在し、男性と比べて年収水準の低い女性では景気の影響を受けにくいようだ。

女性の消費状況

現在の日本では依然として結婚・出産を機に退職する女性が多い。また、働く女性でも持っているサイフの大きさは、さほど大きくない。しかし、消費は女性が牽引してきた印象が強く、家計を握っているのは妻という家庭も多いだろう。女性たちは何にお金を費やすのだろうか。
女性が日常生活でお金をかけているものについて、未既婚や子の有無、就業状態別にみると、いずれも「普段の食事」が首位あるいは2位にあがる(図3)。未既婚による違いをみると、未婚者では就業状態によらず「趣味」「ファッション」など、自分のために費やす項目があがるが、既婚者では、子なし層は「旅行」「外食」「貯金」、子あり層は「子どもの教育費」「貯金」「ローンの返済」など、それぞれのライフ・ステージに沿って家庭のために費やすものがあがる。既婚・子あり層では、他層のように「趣味」「ファッション」といった自分のために費やすものはあがらず、自分よりも家族を優先している様子が窺える。また、就業状態による違いをみると、就業者では非就業者に比べて、未既婚・子の有無によらず「旅行」など、まとまったお金を要するものがあがる。

働く女性の購買志向

最後に、自分の自由になる額が比較的多い就業女性の購買志向をみていきたい。
弊社実施の調査に基づき、働く女性の購買行動を分析したレポート9では、働く女性の購買行動要因には影響力が大きなものから「安全・環境配慮志向」「情報収集・比較検討志向」「こだわり志向」「ブランド志向」「衝動買い志向」「感覚志向」の6つの存在が示されている。「安全・環境配慮志向」は、その名の通り、安全や環境に配慮して商品を選ぶという意味であり、「情報収集・比較検討志向」は事前に情報収集をする、また、人の評判を気にするという意味合いがある。「こだわり志向」は多少高くても品質を重視する、「ブランド志向」は無名なメーカーのものより有名なメーカーのものを好む、「感覚志向」は自分の感覚を頼りに物を買うということを意味する。なお、「感覚志向」は男性にはみられない女性特有のものであり、「衝動買い志向」は専業主婦にはみられない働く女性特有のものである。
さらに、これらの志向の強さについて、働く女性を「独身(未婚)」「妻(既婚・子なし)」「母(既婚・子あり)」の3つにわけてみると、独身は「感覚志向」「ブランド志向」、妻は「情報収集・比較検討志向」「こだわり志向」、母は「安全・環境配慮志向」「情報収集・比較検討志向」「衝動買い志向」が強い。つまり、独身時代は自分の感覚や好みで商品を選ぶが、家族形成とともに、様々な情報を比較検討し、安全や環境も配慮して商品を選ぶようになる。また、母で「衝動買い志向」が強い背景には、家事・育児と仕事の両立で吟味する時間が少ない一方、働いているために手元に比較的お金はあることがあげられる。
以上、女性の結婚や就業、消費の状況をみてきた。結婚や出産の状況は大きく変化しているが、既婚者の働き方に大きな違いはない。また、女性の年収は男性に比べて少ないが、就業者の方が高額を要する消費項目があり、働く女性には衝動買い志向もみられた。女性はさほど大きくなくとも自由になるサイフを持つということで、消費意欲が増す可能性がある。日本の消費市場を活性化させるには、まずは自分で働いて得たサイフを持つ女性を増やすことで一定の効果があるだろう。また、男性に近い働き方をする女性が増えることによって、さらなる活性化が望めるだろう。


1 国立社会保障・人口問題研究所「人口統計資料集(2013)」 2 50歳時点での未婚率であり正確

には生涯未婚者の割合ではないが、生涯未婚者を推計するために用いられる統計指標。 3 厚生労働

省「平成24年人口動態調査」 4 国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成24年

1月推計)-合計特殊出生率の推移(中位)」 5国立社会保障・人口問題研究所「第14回出生動向

基本調査」 6 内閣府「男女共同参画白書 平成24年版」 7 総務省「労働力調査」 8 厚生労働省

「賃金構造基本統計調査」 9 久我尚子「働く女性の消費実態 ~独身・妻・母の生活状況や消費志

向の違いは?」、ニッセイ基礎研レポート(2013/5/13)

久我 尚子(くが・なおこ)久我 尚子(くが・なおこ)

株式会社ニッセイ基礎研究所生活研究部門研究員。株式会社NTTドコモを経て現職。専門は消費者行動、心理統計学、金融マーケティング。早稲田大学大学院(工学)・東京工業大学大学院(MOT:技術経営、学術)修士課程修了。東京工業大学大学院博士課程在籍(学術)

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