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【プレパラート】アベノミクスで注目される女性の活躍、働き方や消費の現状は?

女性への注目

5月にアベノミクス成長戦略の第一弾として、女性の活躍が中核に位置づけられた。現在、育児休業期間の延長など、女性の就労環境をめぐる議論がすすめられている。働く女性が増えればサイフを持つ女性が増え、女性の消費の活性化も期待できる。また、仕事を持つ女性をサポートするための商品やサービスも増えるだろう。にわかに活気づいている消費市場がさらに勢いを持つためにも、働く女性に向けた政策に期待をしたい。
ところで、アベノミクスの政策では子どもを持つ女性が働くこと、あるいは働く女性が子どもを持つことに焦点があてられているが、未婚化・晩婚化によって独身女性が増えている。「おひとりさま」という言葉が世の中に広く浸透しているように、独身マーケット、特に独身女性マーケットは、すでに様々な業界から注目されている。この春も雑誌不況の中で、40歳前後の独身女性に向けたファッション誌『DRESS』が創刊された。
未婚化・晩婚化、少子化などにより女性のライフスタイルは多様化している。さらに、働き方の違いが多様化に拍車をかける。ひと昔前と比べてライフスタイルが大きく変化している20~40代の女性における結婚や出産、就業、消費の状況について、あらためてみていきたい。

結婚や出産の状況

20~40代の女性の未婚率は右肩上がりで上昇しており、現在、20代後半で60.3%、30代前半で34.5%、30代後半で23.1%、40代前半で17.6%である1。また、生涯未婚率2も10.6%であり、現在、女性の10人に1人は生涯未婚という世の中になっている。なお、男性の方が未婚率は高く、生涯未婚率は20.1%にも及ぶ。
また、平均初婚年齢も上昇しており、現在、男性は30.8歳、女性は29.2歳である3。晩婚化に伴い晩産化も進み、女性の第1子平均出生年齢は2011年に30歳を超え、現在、30.3歳である。
これらを背景に少子化が進んでいる。合計特殊出生率は2005年に1.26と底を打った後、ここ数年はわずかに上昇傾向にあり、現在、1.41である3。しかし、これは人口規模の大きな団塊ジュニア世代(1971~1974年生まれ)を含む30代で出産が増えた影響が大きく、今後は低下することが予測されている4。少子化は未婚化の影響が大きいが、近年、夫婦の子ども数も減少している。既婚夫婦の最終的な子ども数は、1970年代から30年にわたり平均2.20人前後を推移していたが、2010年に1.96人と、2人を下回るようになった5。

女性の就業状況

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縦軸に就業率、横軸に年齢をとると、結婚・出産期である30歳前後の女性の就業率が下がり、グラフがM字カーブを描くことが、日本では長らく課題となってきた(図1a)。近年、やや解消傾向にあるが、30歳前後の就業率は未婚女性では9割前後の一方(図は未掲載)、有配偶女性では半数程度に過ぎない(図1b)。
また、出産により女性の就業率は低下する。女性の第1子出産後の就業継続率は38.0%である6。女性の社会進出が言われて久しい現在でも、出産によって女性の6割は退職する。
この背景には①女性では非正規雇用者が多く、育休を取得して就労を継続することが難しい場合があること、②日本では依然として家事・育児の負担が女性に偏っており、仕事との両立が難しいこと、③都市部では保育所が不足しており、働きたくても働けないケースがあることなどがあげられる。
①の雇用形態については、現在、女性の非正規雇用者の割合は15~24歳で50.6%、25~34歳で40.9%、35~44歳で53.8%である7。近年、男女とも非正規雇用者が増加している背景には、1990年代後半の労働者派遣法の改正で派遣業務の範囲が拡大されたことや景気低迷の影響がある。このほか女性では夫の扶養控除枠を意識して、正規雇用ではなく非正規雇用という働き方を自ら選択するケースも少なくない。
なお、出産後の就業継続率は、正規雇用者(52.9%)と非正規雇用者(18.0%)では3倍程度のひらきがある7。また、育休取得率は、正規雇用者(81.5%)と非正規雇用者(22.2%)では、さらに差は広がる。ちなみに、自営業者の就業継続率は非常に高いが(73.9%)、育休取得率は著しく低い(5.8%)。
②の家事・育児負担の女性への偏りについては、数年前から「家事メン」「育メン」という言葉を耳にするものの、依然として日本人男性の家事時間は欧米諸国と比べて著しく少ない。例えば、米国では1日平均3時間13分に対して日本は1時間であり、育休取得率もごくわずかである(2.6%)7。日本では子育て期の男性の労働時間が欧米諸国と比べて長いという問題もあるが、家事・育児の負担は明らかに女性に偏っている。


1 国立社会保障・人口問題研究所「人口統計資料集(2013)」 2 50歳時点での未婚率であり正確

には生涯未婚者の割合ではないが、生涯未婚者を推計するために用いられる統計指標。 3 厚生労働

省「平成24年人口動態調査」 4 国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成24年

1月推計)-合計特殊出生率の推移(中位)」 5国立社会保障・人口問題研究所「第14回出生動向

基本調査」 6 内閣府「男女共同参画白書 平成24年版」 7 総務省「労働力調査」 8 厚生労働省

「賃金構造基本統計調査」 9 久我尚子「働く女性の消費実態 ~独身・妻・母の生活状況や消費志

向の違いは?」、ニッセイ基礎研レポート(2013/5/13)

久我 尚子(くが・なおこ)久我 尚子(くが・なおこ)

株式会社ニッセイ基礎研究所生活研究部門研究員。株式会社NTTドコモを経て現職。専門は消費者行動、心理統計学、金融マーケティング。早稲田大学大学院(工学)・東京工業大学大学院(MOT:技術経営、学術)修士課程修了。東京工業大学大学院博士課程在籍(学術)

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